弁護士大窪のコラム

2020.09.05更新

朝日新聞によれば、インターネットサイト上のやらせ投稿(依頼により低評価のレビューを付ける投稿)を行なった者について、刑事罰が出されたとの報道がなされたので事例として紹介します。

アマゾンで「星一つ」やらせ投稿 依頼者に異例の刑事罰

投稿によれば、ライバル会社の商品に低評価のレビューを書かせた(対価を支払いやらせ投稿を行なわせた)会社役員に対して、信用毀損罪で罰金20万円の略式命令が出されたとのことです。

サイト上の口コミ・レビューについて低評価を受けているという相談は良くありますが、多くの場合で問題となっているのは、匿名での口コミ・レビューを誰が行なったか特定するプロセスです。特定のための法的手続にもコストがかかり、かつサイト側も発信者情報開示の要件についてはきちんと争ってきますのでハードルは低くありません。この点本件でも、投稿者を「苦労の末特定し」たということで、方法については明らかではありませんがなんとか特定にたどり着き被害届を出すまでに至ったようです。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.04更新

事務所での相談やメールでの問い合わせにて頻繁にいただく内容として、紛争解決のための弁護士費用について相手に負担させることができないか、というものがあります。

弁護士費用については、相手方には負担させることができないのが原則です。この点、一昔前に訴訟になった場合の弁護士費用について敗訴者負担させるべきであるとの議論が行なわれたこともありましたが、敗訴者負担させると財力を持たない市民への悪影響が大きいなどの弊害があるとの批判もあり、結論として弁護士費用を敗訴者負担させるという立法も行なわれませんでした。

例外として、不法行為に基づく損害賠償請求事件では、訴訟で判決が出る場合、損害認定額の1割程度が弁護士費用として認められるのが一般的です。これは損害の一部として弁護士費用相当額を認めるという扱いになります。実際には1割を超える費用を弁護士に支払っていると言うことは多いと思われますし、理屈としては実際の弁護士費用を損害に含めるという考え方もあり得るところではありますが、裁判所はそのような考え方は採用していません。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.03更新

判例タイムズにて、犯罪報道が拡散されていることを理由とした名の変更が却下された家裁の審判例(令和元年7月26日東京家庭裁判所審判)が掲載されていたのでご紹介いたします。

事案としては、公然わいせつの罪で執行猶予付きの有罪判決が出た後、逮捕時の実名報道がインターネット上に拡散されてしまったため、就職できない状態にあるから、家庭裁判所に対して名の変更を求めたというものです。

申立人は、犯罪報道の内容が掲載された投稿については、いったん拡散してしまうと削除するのが困難であること等を理由に申立を行なっています。しかしながら、裁判所は「犯罪歴の性質に鑑みれば,インターネット上の犯罪記事が一因となって採用を拒否されることがあったとしても,その不利益は応募者において甘受すべきものであって,それにもかかわらず,インターネット上の全記事の削除が不可能であるとの理由で名の変更を認めることは,前記告知義務に違反した応募を容認することにも繋がりかねず,相当でないことは明らか」だとして申立人の主張を認めませんでした。

本件は事例判断であって、罪名が違ったり、犯罪からの時間の経過等事情が違えば違う判断が出される可能性はありますが、犯罪報道の拡散についての裁判所の考え方を知る上で参考になると考えご紹介いたしました。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.02更新

ITmediaの記事によれば、最新のiOSの更新により、

「iOS 13.7以降では、各国の公衆衛生当局(日本では厚生労働省)がExpressの採用を決めれば、ユーザーは接触通知アプリ(日本では「COCOA」)をインストールしなくても、[設定]で「接触通知」を有効にすれば接触通知を受けられるようになる」

となるそうです。

新型コロナウイルスの陽性者との接触に関しては、各国で接触通知アプリが開発・運用されていますが、ダウンロードして使われないことにはその役割を果たせないという難点があります。日本の「COCOA」でも、そもそもダウンロード率が想定よりも低いといった問題点が指摘されています。今回のiOSのアップデートはその問題点をクリアするものです。

もっとも、日本で利用されるためには厚生労働省がAppleとGoogleが5月に提供を開始した接触通知システムであるExpress(Exposure Notification Express)を採用することが必須であり、現時点ではまだ「COCOA」をダウンロードして利用していくことは必要でしょう。

【追記】

日本ではこの機能が使えない(厚労省が使わせない)とのことです。大変残念。

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.01更新

2020年8月31日(昨日)付けで、インターネットでの投稿を行なった発信者の電話番号を特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)の発信者情報開示の対象に追加する内容の総務省令が交付・施行されました。

詳細についてはこちらのURLの通りです。

SNS等で電話番号を登録させ、運営先は電話番号を把握している場合でも、今まではプロバイダ責任制限法に関する総務省令で、開示の対象に電話番号が含まれていないことから開示をさせることは困難でした。

今後は開示の根拠が法的に明確に定められましたので、投稿者の特定がより容易になったと言えます。

現在「発信者情報開示の在り方に関する研究会」において発信者情報開示についての議論が行なわれており、今回の総務省令の改正はその議論をふまえたものとなります。今後も制度については変わる可能性が高く、チェックしていく必要はあるでしょう。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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