弁護士大窪のコラム

2017.09.11更新

 昨年7月にポケモンGOがリリースされ、社会現象化しています。ダウンロード数は現在iOSで1億ダウンロード、androidで5000万ダウンロードにも達していますし、町中にもポケモンを求めて歩く人が本当に多いです。特に都内の公園はポケモンを求める人で溢れており、ゴミの問題等が顕在化しています。
 

 現実の世界とリンクさせた仮想空間を舞台とするゲームはポケモンGOが初めてではありませんが(ポケモンGOの開発元が製作したイングレスが先駆けとしてプレイされています)、ユーザー数の多さからポケモンGOは仮想空間を舞台とするゲームの問題点を顕在化しました。現在進行形中の問題ですが整理するためここにポケモンGOに関する法的問題をまとめておきます(あとで追記するかもしれません)。

○ポケストップの撤去請求の問題

 ポケモンGOにはアイテムを手に入れることができる「ポケストップ」という仮想空間上のポイントがあります。これは現実の公共施設や、歴史的建造物等があるところに設置されています。この「ポケストップ」がある場所にはモンスターも集まる(モンスターを呼び寄せる「ルアー」というアイテムを設置することもできます)ため、プレイヤーがやってくるということになります。特に「ポケストップ」が複数設置されている公園などは、多数のプレイヤーで集まっています。

 ゲームプレイヤーが集まるのを良しとしない施設管理者から、ゲーム会社に対して「ポケストップ」の撤去請求が多数出ています。なんと日本の最高裁からも「ポケストップ」の撤去請求がなされています。

 ゲーム会社は撤去請求には応じているので撤去請求訴訟がなされるという事態にはいたらないのだろうと思いますが、仮に訴訟になった場合、仮想空間上の設置物に対して現実の施設管理者からの撤去請求の可否という法的論点について判断されることになります。これまでこれを判断した裁判例も調べた限りは見当たらないので、どう裁判所が判断するのかは興味があります。

○ゲームのプレイヤーの事故・事件の問題
 ポケモンGOは現実の世界とリンクさせた仮想空間を舞台とするため、プレイヤーは現実世界をあちこち歩き回ることになります。そこでゲームに気を取られたまま歩きスマホをして、プレイヤーが事故に遭う危険性があることは否定できません。

 またゲームに気を取られるあまり、本当は入ってはいけない場所にプレイヤーが入り込むという問題も生じております。アメリカでは原発敷地内にプレイヤーが不法侵入したという事件も起こりました。

 これらゲームのプレイヤーの事故・事件についてゲーム会社が法的責任を負うとまではいえないのかもしれません(ゲーム内ではこれらの点についてゲーム機同時に注意喚起されており、ゲーム会社としてはこれでやるべきことはやっているということなのでしょう)が、ゲームによって生じうる事故事件に対する対策をどのようにとるのかは今後の課題だと思います。 

○個人情報の流出の問題

 ポケモンGOのプレイ画面の写真はSNSでも多くあげられていますが、プレイ画面の写真によりプレイヤーがどこでゲームをしていたかは特定されます。写真に位置情報が含まれていたならなおさらです。そのため、SNSの投稿者がどこにいるかという個人情報が流出してしまう危険性も否定できません。

○ゲーム課金の問題

 ポケモンGOについては、ほかのアプリゲームと同様にアイテム課金という要素があります。ポケモンを捕まえるためのボールや、ポケモンを呼び寄せるためのアイテムを課金して手に入れることができます。もっとも珍しいポケモンを捕まえるためになくてはならない課金アイテムというものはないため、いわゆるガチャを導入しているゲームに比べて射幸性は低いです。

 もっとも未成年者が多くプレイしているゲームであり、熱中するあまり未成年者が親に黙って多額の課金をするということはあるでしょう。その点についてゲーム会社が適切な対応をするかという問題はあります。

○青少年の深夜にわたる徘徊の問題

 ポケモンGOのポケモンは時間を問わずに出現するため、昼間だけではなく夜にもプレイヤーがポケモンを求めて歩き回ることになります。このため日本各地で夜の公園や神社などで青少年が補導されていることが報じられています。

 この点については、将来ゲーム側の方でプレイヤーの年齢によってモンスターの出現時間を制約するような対策が打たれるかもしれません。

投稿者: 弁護士大窪和久

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