弁護士大窪のコラム

2016.05.17更新

 報道によりますと、今年の夏以降のAndroid端末(一部除く)については、捜査に必要とされる場合本人に通知なく警察がGPSの位置情報を取得できるようになるということです。

 今までもGPSの位置情報については裁判所の令状があれば警察が捜査のため取得することができたことには変わりありません。ただ、従前総務省がGPSの位置情報取得につき定めていたガイドラインでは、令状があるときでも、端末の利用者に対し位置情報の取得について知らせなければ情報を取得してはならないという条件がついていました。ただこの条件がついていると事実上捜査にならない(位置情報の取得がなされていることを明かしてしまっては端末の所有者の動きが分からなくなる)ということが指摘されました。

 そこで捜査の必要性のため、総務省がガイドラインを昨年改正し裁判所の令状があればGPSの位置情報を捜査機関が取得できるようになったわけです。

 捜査機関がGPSの位置情報を取得するにあたっての問題点として、GPSの位置情報を取得することで端末の利用者がいつどこに行ったかということが全て丸裸になってしまうという点があります。

 既にGPSの位置情報については警察は積極的に証拠として利用しており、否認する容疑者のアリバイつぶしなどでかなり使われています。GPS情報で端末利用者の一日の行動がピンポイントでわかるわけですから、証拠としては有用性はあるのは確かです。半面、それほど重要な犯罪ではない事件で警察があえて裁判所の令状をとり、もっぱら個人の行動を監視することに使うという濫用の危険性もあります。

 GPSの位置情報を裁判所が発令するには刑事訴訟法218条の要件をみたせば足りるのですが、刑訴法はGPSの位置情報取得に関する改正等は特になされていないので、上記濫用の危険性はかなり高いと言わざるを得ません。

 今後個人が取り得る対応としては、スマートフォンを使わないという方法もあるでしょうが、それが難しいという場合にはiPhoneを使うのがベターだと思います。報道でも書かれていますが、そもそもiPhoneはGPSの位置情報についてキャリアもappleも取得できないようになっているため警察もまた情報を取得できないためです。

投稿者: 弁護士大窪和久

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