弁護士大窪のコラム

2016.04.13更新

 4月になると、ほかの官庁同様に裁判所と検察庁は人事が動きます。

 今年の異動については、例年と異なり、なんと「旭川地検稚内支部兼名寄支部長」として正検事が赴任されています。

http://www.e-hoki.com/affairs/505.html?hb=1

 検察庁の支部がある以上検事が赴任するのは当たり前、と思うのが常識的判断だと思いますが、そんなことはありません。旭川の検察庁の支部では正検事が常駐しておらず、名寄支部および稚内支部にもこれまで副検事のみが常駐していました。

 しかも、「旭川地検稚内支部兼名寄支部長」は肩書だけで実際には旭川にいるだけではないのかという(私の)予想を裏切り、どうも稚内に常駐されるとの情報が入っております(関係者の方間違っていたらご指摘ください)。

 これまで旭川の検察庁支部には法曹資格のある正検事はおらず、裁判官も法曹資格のある判事は月三日しか裁判所にこないという「ハコもののみ支部」という状況だったのでした。これが検察庁に関しては「ハコもののみ支部」ではなくなるということになったので、まさに朗報といえます。

 私が名寄に行く前にいた鹿児島地検名瀬支部には、正検事が常駐していました。副検事では扱えない刑事事件も扱っているのは当然のことですが、刑事事件の内容にも副検事より踏み込んだ話もできますので、弁護人としても正検事が支部に常駐しているのはありがたかったです。

 また、被害者の代理人の立場であったときには、正検事と連絡を取り合いつつ迅速に事案の解決に向けて活動することができました。被害者にとっては検事が自分の街にいるというのは心強いと思います。

 もっとも、稚内と名寄との間は170キロほど離れていますので、できれば兼任ではないほうが良かったと思いますが、まず第一歩前進したということが重要です。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2016.04.07更新

 日本で一番駅から遠い裁判所はどこでしょうか。

 この点、「駅」をどう考えるか(バス停も含むのかどうか)、離島にある裁判所も含めるのかによって回答は変わってくると思います。

 「駅」は鉄道の駅と考え、離島は除くと考えると、日本の中でも北海道の裁判所が「駅」から遠い裁判所でトップクラスに入るのはまず間違いないと思います。

 例えば私が先々月までいた旭川地裁名寄支部管内では、地裁支部がある名寄にはJRの駅があるものの、独立簡裁である中頓別簡裁がある中頓別町には駅がありません。あえて中頓別簡裁の「最寄り駅」をあげるとすればJR宗谷本線の音威子府駅でしょうが、峠を越えて40キロ以上の道のりを走らなければ駅に到着しません。

 北海道でこのように「駅」から遠い裁判所があるのは、国鉄がJRになったあとに道内の多くの路線が廃線になったことによります。中頓別は1989年まで天北線の駅がありましたが、天北線の廃止に伴い駅もなくなりました。前記の音威子府駅からは天北線の代替バスが走るようになりました。

 しかし、年月を経て中頓別簡裁は実質的により「駅」から「遠く」なっています。

 音威子府駅から走っていた天北線の代替バスが、乗客数が少なくなったという理由から、昨年廃止されてしまいました。旭川から宗谷本線にのって代替のバスを使うということもできなくなってしまったのです。

 さらに、旭川から音威子府駅へ向かう普通列車も、今年のダイヤ改正で大幅に削減されてしまいました。旭川から音威子府に向かう下りの普通列車は、一日に3本しか走っていません。普通列車の削減については路線の自治体から反対の声も挙がりましたが、このようなことになってしまいました。

 このように裁判所が駅から遠くなってしまったのは、乗客数の減少及びJR北海道の経営難という背景があります。ただ住んでいる人がみんながみんな自家用車を使う訳ではない以上、ここまでインフラである公共交通機関を減らしてしまったのは相当問題だと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

弁護士大窪のコラム 桜丘法律事務所

法律相談であなたのお悩みお話ししてみませんか?

法律相談は、今後に対する見通しを立てるプロセス。
正式依頼は、具体的に関係者などへ働きかけていくプロセスです。
この両者は全く異なりますので、別物としてお考えください。
法律相談で得た知識を元に、ご自分で進めてみても良いでしょう。

桜丘法律事務所 弁護士 大窪和久 TEL:03-3780-0991 受付時間 9:30~20:00 定休日 土曜日曜・祝日 住所 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル7階 24時間WEB予約。受付時間外はこちらからご連絡ください。 WEBでのご予約・ご相談はこちら
sp_bn01.png
予約はこちらから