弁護士大窪のコラム

2021.07.02更新

共同通信で、「米、日本の技能実習を問題視 国務省が人身売買報告書」とのニュースが報じられていました。

同ニュース記事によれば、「米国務省は1日、世界各国の人身売買に関する2021年版の報告書を発表した。日本については国内外の業者が外国人技能実習制度を「外国人労働者搾取のために悪用し続けている」として問題視」「日本の外国人技能実習制度では政府当局の監視強化などが必要だと明記」とのことです。

外国人技能実習制度については、技能実習とは建前で、実態としては安い労働力確保の手段として都会・地方問わず広く使われているものとして国内外でも問題視されて久しいです。米国も2010年以来毎年年次報告書でこの制度を批判しており、今回が初めてではありません。そうした批判にも関わらず我が国は外国人技能実習制度を継続しています。

この外国人技能実習制度の犠牲になった方の一人について、先日当事務所の新人が事件として受任しており、雇用先が不払にしていた給料を先取特権を行使し差押を行ないました(詳細は事務所ブログのこちらの記事参照)。これは氷山の一角にすぎず、同制度が続く限りは同じように犠牲になる人が増え続けていくことになるでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.13更新

今日はメトロコマース事件大阪医科大学事件の上告審判決が出ています。どちらも最高裁HPに既に判決文が掲載されています。

いずれも短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条(改正前の労働契約法20条)が禁じる不合理な条件の禁止にあたるかが問題となった事件で、メトロコマース事件では退職金、大阪医科大学事件では賞与について正社員と契約社員との間の格差が問題となりました。

いずれも高裁判決では格差が不合理であるという判断を行なっていますが、最高裁はこれを覆し、格差の不合理性を否定し使用者側に有利な判断を下しています。

もっとも、メトロコマース事件の方は反対意見があります。反対意見によれば、正社員と契約社員の職務の内容等に大きな相違がないことからすると、退職金についての使用者の裁量判断を尊重するとしても、不合理な条件の禁止にあたるといえ、高裁判決を破棄するには及ばないとしています。最高裁の判断はいずれも事例判断であり、実際の事件にそのままあてはまるものではないので反対意見の考え方も踏まえて考慮していく必要はあるでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

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