弁護士大窪のコラム

2023.04.16更新

NHKの記事(ChatGPT 就活も法律相談も 広がる活用 どう向き合う?)で、法律相談サイトがChatGPTを活用して24時間相談対応を目指すという取り組みが紹介されていますが、問題点として弁護士法における「非弁行為」が懸念されています。非弁行為とは、資格を持たない者が弁護士業務を行うことであり、これが禁止されています。

ChatGPTを活用して法律相談に対応する場合、AIが法律的な助言を提供することになりますが、AIは弁護士の資格を持っていないため、非弁行為に該当する可能性があります。運営会社はこの問題を認識しており、法律に抵触しないか確認した上で取り組みを始めたいとしています。

ただ、法律相談の場合、具体的な争訟に対する判断が不可欠であることから、非弁行為として禁止されている「鑑定」に該当するものと思われ、現行法のもとではAIによる法律相談は非弁行為に該当するのではないかというのが私見です。また、この問題点は弁護士がAIを使って法律相談を行う場合にも該当するのではないかと思われます。

今のChatGPTは、専門領域に関する相談については専門家に判断して貰うよう答えるようになっていますし、専門領域の回答のレベルも高くはありません。ただいずれ技術や学習の向上により、ChatGPT自体の回答のレベルは上がるだろうと思います。その際に弁護士法との抵触が問題になるかも知れません。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.04.13更新

詐欺行為がSNSを通じて横行していることが問題となっています。そのため、日本弁護士連合会は先日「SNSを利用した詐欺行為等に関する調査・対策等を求める意見書」を提出しました。この記事では、意見書の内容と提案されている対策について解説します。

意見書では、詐欺行為等を行う者が、携帯電話や電話転送サービスの本人確認規制が強化されたことから、本人確認が不十分で匿名性を維持できるSNSを活用し、被害者と連絡を取る手段として用いていることが指摘されています。現在、LINEやFacebook、Instagramなどが詐欺行為のツールとして利用されており、多くの被害者が救済されないままの状況が続いているとされています。

そこで、日本弁護士連合会は、総務省、消費者庁、内閣府消費者委員会に対し、実態把握のための調査を実施し、SNSを詐欺行為等のツールとして利用させないための実効性ある対策を検討するよう求めています。具体的な対策としては以下の3点が提案されています。

1 SNS事業者による適切な本人確認・本人確認記録の保管
SNS登録時や利用継続時に、事業者が利用者の電話番号や氏名・住所・生年月日等を公的な本人確認書類によって確認し、適切に記録を保管することが求められています。これにより、詐欺行為等に関与した加害者を特定しやすくすることが目的です。

2 被害者が加害者のアカウントを特定する情報を容易に確認できるようにすること
被害者が加害者のアカウントを特定し、民事訴訟等によって法的責任を追求しやすくするため、SNS事業者は被害者に対して加害者アカウントの情報を提供するよう求められています。例えば、アカウント登録時のIPアドレスや利用履歴などが挙げられます。ただし、これにはプライバシー保護の観点から、適切な手続きを経た場合に限られるべきであるとの注意喚起もなされています。

3 SNS事業者と行政機関との連携強化
SNS事業者と行政機関が連携し、詐欺行為等に関する情報共有や対策の検討を行うことが提案されています。また、行政機関からの指導や勧告に対して、事業者が積極的に協力する姿勢を示すことが求められています。

以前もこちらのブログで紹介させて頂いたとおり、SNSにおいて詐欺が行われても加害者に関する情報が開示されない状況になっていることが日弁連が意見書を出した背景にあります。このような対策が実施されることで、SNSを利用した詐欺行為等が抑止され、被害者が救済されやすくなることが期待されます。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.04.06更新

Chatgpt(GPT-4)に「の進化と潜在的リスク」を聞いてみて、その回答を得てみました。回答内容は下記の通りで、要を得ていると思われます。

1 AI技術のために世界に今後どのような変革がおとずれることになるか?

人工知能技術の進化は、世界に様々な変革をもたらすでしょう。これらの変化は、以下のような点で顕著になります。

・コミュニケーション: 言語の壁が低減し、世界中の人々とのコミュニケーションが容易になります。また、手話や画像認識を活用して、障害を持つ人々とのコミュニケーションも改善されるでしょう。

・教育: AIが学習サポートを提供し、個々の学習ニーズに対応する教育が実現されます。また、世界中の情報にアクセスしやすくなり、教育の機会均等が向上することが期待されます。

・ビジネス: カスタマーサービス、マーケティング、データ分析など、多くのビジネスプロセスが効率化されるでしょう。また、AIを活用したイノベーションが新しい産業やビジネスモデルを生み出すことが期待されます。

・医療: 診断や治療の精度が向上し、医療費の削減や病気の予防が可能になるでしょう。また、遠隔医療や疫学調査などの分野でも活用されることが期待されます。

・研究と開発: 科学、技術、人文科学などの分野で、大量のデータを解析し、新たな知見や発見を生み出すことができます。

ただし、AI技術の進化には潜在的なリスクも伴います。雇用の喪失、プライバシーの侵害、人間の意思決定からの遠ざかりなど、倫理的および社会的な問題に対処する必要があります。AI技術の発展をより良い方向に導くために、規制やガイドラインが整備されることが重要です。

2 AI技術の進化には潜在的なリスクがあるということですが、具体的にはどのようなものが考えられるか。

AI技術の進化に伴う潜在的なリスクには、以下のようなものがあります。

・雇用の喪失: AIが人間の仕事を置き換えることで、多くの職種が消滅する恐れがあります。一部の労働者は再スキル化や新しい職種への転職が困難であるため、失業率が上昇する可能性があります。

・プライバシーの侵害: AIが個人情報を収集・分析する能力が強化されることで、プライバシーが侵害されるリスクが増大します。不正アクセスやデータ漏洩によって、個人情報が悪用される可能性もあります。

・人間の意思決定からの遠ざかり: AIが意思決定を支援することで、人間が自らの判断力や責任を放棄する傾向が生じる可能性があります。過度にAIに依存することで、人間の直感や独自の視点が失われることが懸念されます。

・偏見とディスクリミネーション: AIが学習するデータに偏りがある場合、その結果としてAIが不公平な判断を行うことがあります。これは、特定の人々やグループに対するディスクリミネーションを引き起こす可能性があります。

・セキュリティ上の脅威: AI技術が悪用されることで、サイバーセキュリティ上の脅威が増大します。例えば、AIを使ったディープフェイクや自動化されたサイバー攻撃が、個人や組織に対するリスクを高める可能性があります。

倫理的・道徳的問題: AI技術の発展により、倫理的・道徳的な問題が浮上します。例えば、自動運転車が事故を回避する際の優先順位や、AIによる意思決定が人間の価値観にどの程度影響を与えるべきかなど、様々な課題が考慮される必要があります。

これらのリスクに対処するためには、適切な規制やガイドラインの整備、教育・再教育の支援、倫理的なAI開発の推進など、多面的な対策が必要です。具体的な対策には以下のようなものがあります。

・規制やガイドラインの整備: AI技術の適切な利用を促すために、政府や業界団体が規制やガイドラインを策定することが重要です。これにより、プライバシーやセキュリティ、倫理的問題に対する取り組みが促進されます。

・教育・再教育の支援: 労働市場の変化に対応するためには、教育・再教育の機会を提供し、スキルの習得を支援することが重要です。これにより、AI技術の発展に伴う雇用の喪失に対処し、労働者が新たな職種に適応できるようになります。

・データのバイアスや偏見の是正: AIが公平で偏見のない判断を行うためには、学習データのバイアスや偏見を是正することが重要です。多様なデータを収集し、AIの学習プロセスにおいて偏りがないことを確認する必要があります。

・透明性と説明責任の向上: AIシステムがどのように判断を行っているのかを理解しやすくすることで、人間が意思決定において適切な役割を果たすことができます。また、AIの開発者や利用者が説明責任を持つことで、倫理的な利用が促進されます。

・セキュリティ対策の強化: AI技術の悪用を防ぐためには、サイバーセキュリティ対策の強化が不可欠です。これには、システムの脆弱性を評価し、セキュリティパッチを適用することや、組織内でセキュリティ意識を向上させる取り組みが含まれます。

これらの対策を適切に実施することで、AI技術の進化に伴う潜在的なリスクに対処し、より持続可能で公平な社会を実現できるでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.03.23更新

ITmediaの記事によれば、大規模言語モデル「GPT−4」において、米国の司法試験の模擬問題を解かせたところ、受験者上位10%の順位で合格するようになったということです。

この点、フリーで使えるchatgptで私もいろいろ試してみましたが、現時点でも一応の内容が記載されている程度の訴状の起案は行うことはできるようです。AIの進化が今年に入ってから著しく、年内に専門家レベルの主張書面作成のできるAIが出現してもおかしくは無いと思っています。そこまでいかなくとも、法務で用いる各種サービスにおいて、AIがより活用されることは間違いありません。

対人業務である弁護士業がAIにより駆逐されることはないと考えてはおりますが、技術について行けない弁護士が駆逐されてしまうことはあり得ますので、新しい技術には引き続きキャッチアップしていこうと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.02.01更新

この度、株式会社エンリケ空間・株式会社エンリケスタイル及びその関係会社による被害の救済等を目的として、エンリケ空間・エンリケスタイル被害弁護団を結成致しました。団長は私大窪です。 (弁護団ホームページ https://enrikehigai.com )

弁護団設立前より、株式会社エンリケ空間・株式会社エンリケスタイルからの返金が得られないという被害者からの相談を受けてきました。こうした被害者らが早急に同社に対し対応する必要があると考え、本弁護団を設立した次第です。

問い合わせは弁護団ホームページ経由あるいは本ホームページのフォームから頂きますようお願い致します。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.01.04更新

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

旧年中は、新型コロナウィルスの感染対策ということで、在宅でも業務を行うことができる体勢を整えました。結果、実際の打ち合わせが必要な場面や法廷での尋問等を除き、在宅における業務に支障がなくなっております。コロナウィルスに関する感染対策は社会的には緩和が進んでいますが、流行の規模自体は回数を追う毎に大きくなっており、今年も対策を行う必要性を感じております。

また、次年度からは、裁判所における提出書面が電子化されるようになり、どこにいても業務を行うことができる環境をますます整えやすくなります。

事務所における相談も、現在はご希望に合わせてWEB会議を利用した相談を行っておりますので、お問い合わせの際にはご希望をお伝え頂ければ幸いです。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.10.20更新

インターネット上の誹謗中傷の投稿者に関する情報開示のための新しい裁判手続(発信者情報開示命令事件)が、本年10月1日より開始されました。

これまでインターネット上の誹謗中傷の投稿者に関する情報開示については、(1)SNSの運営者等のコンテンツプロバイダに対して仮処分を申立てた上、仮処分の結果経由プロバイダからのアクセスに関する情報の開示を受ける(2)経由プロバイダに対して訴訟を行い、勝訴して経由プロバイダの契約者に関する情報の開示を得るという二回の裁判手続を経る必要がありました。二回の裁判手続を要することから、時間もかかり、その間に経由プロバイダのログ保存期間を徒過し、時間切れで特定に至らないということも残念ながらあります。また、投稿者が電話回線でMVNOを使っている場合等複数の経由プロバイダが関わる場合、二回の裁判手続では終わらず、さらに裁判をしなければ特定に至らないと言うこともありました。

本年10月1日から始まりました発信者情報開示命令事件は、コンテンツプロバイダに情報を開示させた上、経由プロバイダの発信者情報の保全を行い、経由プロバイダに情報を開示させるという一連の手続を一つの裁判手続の中で完結するようになります。これは投稿者が電話回線でMVNOを使っている場合等複数の経由プロバイダが関わる場合も同様です。

よって、本手続によって、従前数ヶ月発信者情報開示まで要していたのに対し、それより短期間で開示に至るのではないかと考えられています。運用が既に始まっておりますので、実際の運用の結果どうなったかについては、改めてブログに投稿したいと考えております。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.08.19更新

2022年8月17日の読売新聞の記事によれば、「暴行でけがを負わせた相手方への賠償金支払いに応じず、裁判所の財産開示手続きに出頭しなかったとして民事執行法違反の疑いで書類送検され、大阪地検が不起訴とした加害者の男性に対し、大阪第4検察審査会が「起訴相当」と議決した」とのことです。本件で検察審査会の議決では男性には地裁から期日の呼び出しの書類が届いていたことなどを指摘し、「不起訴には疑義があり、国民の常識で考えると刑事責任は厳しく追及されるべきだ」としているとのことです。

財産開示手続については、現行法では6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金の刑事罰が定められています。刑事罰が定められる前は、財産開示手続の期日に出頭しない債務者が多く、手続の実効性について問題がありました。刑事罰が定められた現在、刑事罰導入前に比べて手続を無視する債務者も減少したように思われます。ただ、財産開示手続を無視する債務者に対して、検察が不起訴としてしまえば財産開示手続の実効性が損なわれることになることとなるでしょう。期日呼び出しが正当に行なわれていたにも関わらず、嫌疑不十分とした検察の判断については疑問が残るところであり、検察審査会により正常な判断がなされたといえるのではないでしょうか。

私が携わった案件でも、財産開示手続を利用することにより、債権回収に繋がったケースもあります。債務者の財産が不明な場合でも債権回収を諦めることなく、弁護士に相談して財産開示手続を進めることを検討しても良いでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.08.19更新

第二東京弁護士会は、SNSサービスを利用した違法行為に対する意見書(弁護士会照会への対応)を2022年8月17日に、総務大臣、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長に提出しています。本意見書については私の所属する委員会の担当部会で議論し会としての提出ができるよう調整し、ようやく提出に至ったものです。なお、本意見書とほぼ同様の内容の意見書・会長声明が埼玉弁護士会、愛知県弁護士会、福井弁護士会からも既に出されています。

内容は、SNSサービスを通じた詐欺被害の実態を調査した上で、事業者に対して詐欺の被害者からの開示請求(特に弁護士会照会について)適切に回答をするよう指導するよう求めるものです。

背景として、現在広く使われているLINEが、詐欺の加害者と被害者との間のコミュニケーションで多く使われているという事実があります。詐欺の被害者は、加害者のLINEのアカウントしかわからず、損害賠償請求するにも加害者の所在が全く分からないということが良くあります。しかし、弁護士会照会などにより詐欺の個人情報の開示を求めても、事業者がこれに応じないため、被害者が泣き寝入りをせざるを得なくなっているというのが現状です。少なくとも、私の所属する委員会の担当部会で事例調査した限りでは、LINE株式会社が弁護士会照会に答えたケースはほぼありませんでした(過去例外的に回答したケースはあるようですが、近年は回答例は見受けられません)。

本意見書の提出は問題解決へのスタートラインに過ぎません。LINEなどSNSサービス事業者が適切な対応をするよう取り組みを続けていきたいと考えております。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.08.06更新

個人情報保護委員会が、7月20日付で破産者の個人情報をインターネット上で掲載しているWEBサイト運営者に対して、情報開示を停止するよう勧告を行っています。

破産者の個人情報については、官報に掲載されています。この情報をインターネット上で掲載するWEBサイトは過去にもありました。それらは既に削除されていますが、再び破産者の個人情報を掲載するWEBサイトが現れたので、それに対する勧告ということになります。

個人情報保護委員会は、個人情報の掲載がなされていることによって違法行為を助長誘発する可能性がある(法19条違反)、利用目的の本人の通知がなされていない(法21条1項違反)、本人の同意なく不特定多数人にデータが閲覧可能な状態にある(法27条1項違反)を理由として、法145条1項に基づき勧告を行っています。

もっとも、WEBサイトは海外のサーバー上にデータが存在し、運営者に関する連絡手段も存在しないことから個人情報保護委員会は公示送達により勧告を行っているに留まっています。

しかしながら、今日(2022年8月6日現在)も、問題となっているWEBサイトでは引き続き破産者の個人情報(住所氏名)をインターネット上での公開を続けており、ビットコインの支払を行わなければ情報削除には応じないとしています。今のところ、個人情報保護委員会の勧告に従う様子はありません。

このようなサイトが現れる背景には、破産者の個人情報が官報に掲載されているという点があり、弁護士会の消費者保護委員会等でもこの点が問題にされています。もっとも債権者側からすれば破産者の個人情報を知る必要性も存在しており、破産者の個人情報の公開をどうするかについては議論の余地があるところです。

現時点では、破産者の個人情報をインターネット上で公開されてしまうリスクがあることを前提として、破産手続を行うか否かについて検討を行う必要があると言えそうです。

投稿者: 弁護士大窪和久

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