2022年8月17日の読売新聞の記事によれば、「暴行でけがを負わせた相手方への賠償金支払いに応じず、裁判所の財産開示手続きに出頭しなかったとして民事執行法違反の疑いで書類送検され、大阪地検が不起訴とした加害者の男性に対し、大阪第4検察審査会が「起訴相当」と議決した」とのことです。本件で検察審査会の議決では男性には地裁から期日の呼び出しの書類が届いていたことなどを指摘し、「不起訴には疑義があり、国民の常識で考えると刑事責任は厳しく追及されるべきだ」としているとのことです。
財産開示手続については、現行法では6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金の刑事罰が定められています。刑事罰が定められる前は、財産開示手続の期日に出頭しない債務者が多く、手続の実効性について問題がありました。刑事罰が定められた現在、刑事罰導入前に比べて手続を無視する債務者も減少したように思われます。ただ、財産開示手続を無視する債務者に対して、検察が不起訴としてしまえば財産開示手続の実効性が損なわれることになることとなるでしょう。期日呼び出しが正当に行なわれていたにも関わらず、嫌疑不十分とした検察の判断については疑問が残るところであり、検察審査会により正常な判断がなされたといえるのではないでしょうか。
私が携わった案件でも、財産開示手続を利用することにより、債権回収に繋がったケースもあります。債務者の財産が不明な場合でも債権回収を諦めることなく、弁護士に相談して財産開示手続を進めることを検討しても良いでしょう。