弁護士大窪のコラム

2026.03.22更新

先日、北海道紋別市にて、紋別ひまわり基金法律事務所の所長引継式に参加してまいりました。私はこの事務所の3代目所長を務めた縁があり、久しぶりの紋別訪問となりました。
紋別ひまわり基金法律事務所は、2001年に北海道で初めて、全国でも3番目のひまわり基金法律事務所(公設事務所)として開設された事務所です。以来25年にわたり、旭川地方裁判所紋別支部の管内の法的サービスの拠点として活動を続けてきました。
今回の引継式では、8代目所長の宮下尚也先生が4年8ヶ月の任期を終えて退任し、9代目所長として久住和輝先生が新たに就任されました。久住先生は第二東京弁護士会が設立した都市型公設事務所の東京フロンティア基金法律事務所で約2年間の養成を経ての赴任です。
当日は、日本弁護士連合会の佐藤昭彦副会長、紋別市の山崎彰則市長、旭川弁護士会の佐藤真悟会長(元稚内ひまわり基金法律事務所所長)をはじめ、全国各地から約110名もの方々が参加されました。稚内から長崎まで、各地の弁護士が集まるという盛大な式となりました。地元の商工会議所青年部の会長の鈴木伸児様からも挨拶があり、宮下先生が弁護士業務だけでなく、商工会議所青年部の専務理事として地域に深く溶け込んで活動してこられたことが語られ、会場が温かい雰囲気に包まれました。宮下弁護士がいかに地域に愛されていたかが伝わってきました。
旭川弁護士会管内には現在6か所のひまわり基金法律事務所があります。一方で、一昨年には名寄の公設事務所が引き継ぎ手が見つからず廃止となるなど、担い手の確保は深刻な課題です。北海道弁護士会連合会からは、公設事務所に赴任する弁護士への退職金制度を新設することを検討しているとの紹介もありました。
司法過疎地域におけるひまわり基金法律事務所の存在意義は、民事・刑事を問わず地域住民の権利保障の礎であり、その重要性は変わっていないと思います。9代目の久住先生の今後のご活躍を心から祈念するとともに、宮下弁護士の4年8ヶ月にわたるご尽力に敬意を表します。宮下弁護士は4月から札幌で新たに活動を始められるとのことで、そちらでのご活躍も期待しています。
自分が20代で赴任した事務所の歴代の所長や関係者の方々と再会できたこと、そして何より事務所のたすきがしっかりとつながれたことを嬉しく思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2026.01.05更新

謹んで新年のご祝儀を申し上げます。 本年もどうぞよろしくお願い致します。

東京に戻ってきて、今年で早10年が経ちました。 この10年間、桜丘法律事務所にて多くの新人弁護士を迎え入れ、育て、地域へと送り出してまいりました。彼らが東京に戻ることなく、それぞれの赴任地で必要とされ、地域に根を張って奮闘している姿を見るにつけ、寂しさ半分、そして頼もしさ半分といった感慨に浸っております。

今も昔も、刑事弁護の現場は決して平坦な道のりではありません。私自身、理不尽な壁にぶつかり、徒労感を覚える瞬間も正直なところ年々増えてまいりました。 しかし、新しく入ってくる弁護士たちは皆、民事事件よりも困難な刑事事件にこそ強い興味と情熱を抱いています。

「労多くして功少なし」と感じてしまう私と、「困難だからこそ挑みたい」と願う彼ら。 その対比を感じた時、ああ、現場の熱気はこうして次の世代に引き継がれていくのだなと、腑に落ちる感覚がありました。これからの厳しい現場を切り拓くのは、間違いなく彼らのその眩しい情熱です。

だからこそ、私自身もこれまでの役割に安住せず、次のステージへ踏み出す時だと感じています。 養成という枠組みを超えて、次の10年で私が法曹界や社会に何ができるのか。本年はその「新しいこと」を形にする一年にしたいと思います。

変化を恐れず進んでまいりますので、温かく見守っていただければ幸いです。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.06.19更新

詐欺被害の際、加害者との連絡手段にLINEを使っていたため、LINEしか連絡手段がわからないと言うことは良くあります。例えば電話で連絡していた場合には、電話番号について電話会社に弁護士会照会を行なって加害者を特定させることは可能です。ただ、LINEについては、弁護士会照会に基本的に応じないため、加害者を特定できないままになるという問題がありました。このため、各弁護士会や日弁連等が運用を改善するよう意見書を出していたことは本ブログでも取り上げました。

この点、先月(2023年5月)からLINE が、弁護士会照会に対して開示に応じるべく、内部基準を緩和したとのことであるから、今後の対応においては、弁護士会照会の活用も検討するようにする旨弁護士会からアナウンスがありました。

今後については、詐欺被害等の際、LINEしか連絡手段がない場合でも、弁護士会照会によって相手方を特定することができるようになるかもしれません。実際の運用がわかりましたら、おってこちらでも取り上げたいと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.04.16更新

NHKの記事(ChatGPT 就活も法律相談も 広がる活用 どう向き合う?)で、法律相談サイトがChatGPTを活用して24時間相談対応を目指すという取り組みが紹介されていますが、問題点として弁護士法における「非弁行為」が懸念されています。非弁行為とは、資格を持たない者が弁護士業務を行うことであり、これが禁止されています。

ChatGPTを活用して法律相談に対応する場合、AIが法律的な助言を提供することになりますが、AIは弁護士の資格を持っていないため、非弁行為に該当する可能性があります。運営会社はこの問題を認識しており、法律に抵触しないか確認した上で取り組みを始めたいとしています。

ただ、法律相談の場合、具体的な争訟に対する判断が不可欠であることから、非弁行為として禁止されている「鑑定」に該当するものと思われ、現行法のもとではAIによる法律相談は非弁行為に該当するのではないかというのが私見です。また、この問題点は弁護士がAIを使って法律相談を行う場合にも該当するのではないかと思われます。

今のChatGPTは、専門領域に関する相談については専門家に判断して貰うよう答えるようになっていますし、専門領域の回答のレベルも高くはありません。ただいずれ技術や学習の向上により、ChatGPT自体の回答のレベルは上がるだろうと思います。その際に弁護士法との抵触が問題になるかも知れません。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.03.23更新

ITmediaの記事によれば、大規模言語モデル「GPT−4」において、米国の司法試験の模擬問題を解かせたところ、受験者上位10%の順位で合格するようになったということです。

この点、フリーで使えるchatgptで私もいろいろ試してみましたが、現時点でも一応の内容が記載されている程度の訴状の起案は行うことはできるようです。AIの進化が今年に入ってから著しく、年内に専門家レベルの主張書面作成のできるAIが出現してもおかしくは無いと思っています。そこまでいかなくとも、法務で用いる各種サービスにおいて、AIがより活用されることは間違いありません。

対人業務である弁護士業がAIにより駆逐されることはないと考えてはおりますが、技術について行けない弁護士が駆逐されてしまうことはあり得ますので、新しい技術には引き続きキャッチアップしていこうと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.04.28更新

2022年度より運用が開始された民事裁判書類電子提出システム(mints)ですが、運用開始される裁判所について裁判所のサイトにて情報が公開されています。

2022年4月21日から、甲府地方裁判所(本庁)及び大津地方裁判所(本庁)にて運用が開始されています。

また、2022年夏から秋頃に、知的財産高等裁判所、東京地方裁判所民事第5部、民事第8部、民事第29部、民事第34部、民事第40部、民事第46部及び民事第47部並びに大阪地方裁判所第21民事部及び第26民事部にて運用が開始されるとのことです。

民事裁判書類電子提出システムについては、現在行なわれているteamsによるWEB会議同様、当事者双方に訴訟代理人がありかつ両代理人が希望する場合のみの運用となりますが、代理人にとって利用しない理由も特段ありませんので、広く使われることになると思います。はやく全ての裁判所にて運用が開始されることを願います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.02.01更新

弁護革命について、サービスがはじまってから程なくして使い始めたことは過去に本ブログでも書かせて頂きましたが、この度弁護革命の活用例にて紹介頂きました。

かねてより弁護士業務から紙をいかにして排するかというのを業務の課題にしておりましたが、弁護革命とクラウドサービスを組み合わせることにより、上記課題はかなり解決に近づいたと考えております。特にこのコロナ渦においてはその重要性が増しております。

ようやく裁判所もIT化に向けて法整備がなされる段階まで達してきましたので、弁護士側の業務も更にIT化させてサービスの向上を目指していきたいものです。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.10.27更新

AI-CONPRoで記事「定型契約のレビュー時間が1/2になり、弁護士がやるべき顧問先への付加価値業務にフォーカスするためのサポートツール」を掲載して頂きました。

記事にある通り、導入後は契約書の確認についてはかなりのスピードアップが図れました。主に顧問先の関係で利用させて頂いております。

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.05.16更新

法制審議会・民事訴訟法(IT化関係)部会で、「民事訴訟法(IT化関係)等の改正に関する中間試案」がとりまとめられています(5月7日までパブコメが募集されていました)。これは日本が諸外国から遅れに遅れていた司法のIT化を目指すために作られたものですが、各方面から意見が出されています。

この中間試案では、訴状等についてオンラインでの申立を行なうようにできることを前提に、次の三つの案を呈示しています。①甲案:オンライン申立の義務化(例外を除いて書面による申立は認めない)②乙案:オンライン申立の訴訟代理人の義務化 ③丙案:オンライン申立は任意とし義務化しない

甲・乙・丙案のいずれが良いかという点について、私見では日弁連案(まずオンライン申立を認め、オンライン申立の体制整備を進めた上で訴訟代理人の義務化を行ない、その後訴訟代理人以外も義務化すべきか検討する)が妥当と考えています。紙の形で事件記録を作成・保存することについては、当事者にとっても裁判所にとってもコストとして大きいものがありますし、書面の持参や郵送をすることなくどこからでも申立をすることができるのは大きな利便性があります。その一方、ITリテラシーを皆が持っている訳ではないため、裁判を受ける権利の保障の関係上オンライン申立の体制整備は不可欠の前提ですので、当面はオンライン申立の体制整備を進めた上で訴訟代理人の義務化まで進めるのが妥当と考えます。

この点、先日公刊された消費者法ニュース127号で、裁判のIT化と審理の空洞化という特集が組まれていました。特集中小林孝志弁護士が「オンライン申立て等には断固として反対すべきである」という文章で丙案(オンライン申立は任意とし義務化しない)をとるべきとの論考が書かれていましたので拝読しました。

論考中で示されている、一般人がIT化というハードルにより裁判を受ける権利の保障が実質的に受けられなくなるという懸念はもっともであると考えますし、消費者保護の立場からも重要な視点だと思います。ただ、オンライン申立等の「訴訟代理人」の義務化も反対すべきという点は賛同できませんでした。論考中乙案にも反対する理由としてあげられているのは、①弁護士や司法書士にもIT弱者はいる②ITに不慣れなら事務員を雇えというのは細々とやっている弁護士も少なくない中賛成できない③弁護士が敢えて紙で訴訟書面を出すのなら何か理由があるはずだから尊重すべきということです。

しかしながら、登記手続については、既にオンライン申請制度が導入されており、司法書士はIT化に対応していますので、訴訟に携わる士業のうち弁護士だけIT化に対応できないという論は社会的に支持されないように思われます。また、弁護士にとっても紙の記録を作成・保存することから免れることで、従前より安いコストで事務所を運営することが可能になり、「細々とやっている弁護士」にとってIT化はむしろ利益になります。さらに、紙で訴訟書面を作るコストは依頼者が負担するものであり(特に消費者事件においては、契約書等多数の書面を証拠として提出する場面があり、依頼者のコストとして無視できないものがあります)、弁護士が依頼者のコストを無視して敢えて紙で訴訟書面を出す理由というのも想定しがたいものがあります。

裁判のIT化を進める中、消費者の裁判を受ける権利を損なわない様にする事自体は重要です。今後も(弁護士目線では無く)消費者目線での議論を続けていくことが必要だと思います。

 

 

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.05.16更新

読売新聞オンラインで、「【独自】家族間問題に「ウェブ調停」導入へ…東京など4家裁で試行」との記事が掲載されていました。

記事によれば、「最高裁は、家族間の問題を扱う家事調停に、インターネット上で手続きを進める「ウェブ会議」を導入する方針を固めた。裁判のIT化の一環で、今年度内に東京、大阪、名古屋、福岡の4家裁で試行を開始し、その後、他地域への拡大も検討する」とのことです。

これまで、離婚や相続の家事調停については、原則として当事者が裁判所に出頭して行なうこととされています。調停の場合訴訟と異なり、当事者間の協議を行なうという性格上、代理人がついている場合でも当事者本人も裁判所に来る必要がありました。当事者が遠隔地に居住する場合等については、電話会議を用いる運用も例外的に行なわれてはいますが、原則としては裁判所への出頭が必要です。

民事訴訟についてはWEB会議が実施されるようになっていますが、家事事件についてはこれまで実施されておらず、これからの課題とされていたところです。

この点、特に東京家裁においては、当事者が裁判所に多数出頭することで裁判所が混み合う状況がかねてより存在し、昨年からのコロナ渦においては三密を避ける目的から調停期日を多く入れられないということも生じています。新型コロナウイルス感染防止の観点から裁判所に人が来ることを防ぐ必要は確かにありますので、WEB会議については積極的に実施して頂きたいものです。

投稿者: 弁護士大窪和久

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弁護士大窪のコラム 桜丘法律事務所

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