弁護士大窪のコラム

2024.09.11更新

発信者情報開示事件の裁判実務の改善のために事例集積を行う目的で、この度第二東京弁護士会でアンケートをとることになりました。

(全国の弁護士対象)発信者情報開示に関するアンケート回答ご協力のお願い

本アンケートは私の所属する消費者問題対策委員会で企画を行ったものです。

改正プロバイダ責任制限法改正以後、委員会内の弁護士で経験した発信者情報開示手続に関する事案の中では、コンテンツプロバイダの中には発信者情報開示手続に適正に対応せず、その結果手続上の問題が生じているように思われる例が多くありました。問題としては次の様なものがあります。

・発信者情報の提供命令が発令されても、コンテンツプロバイダがこれに応じない

・コンテンツプロバイダの代理人が訴訟委任状を提出しないまま、代理人として事実上出頭を続ける。

・発信者情報開示事件の決定がなされた場合でも、コンテンツプロバイダがこれに応じない。

こうした問題について解決する必要があると考えますが、そのためにはまず問題事案の集積が必要となるので、この度アンケートの実施に至っております。発信者情報開示手続に携わる先生方のご協力を頂ければと思います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.04.16更新

NHKの記事(ChatGPT 就活も法律相談も 広がる活用 どう向き合う?)で、法律相談サイトがChatGPTを活用して24時間相談対応を目指すという取り組みが紹介されていますが、問題点として弁護士法における「非弁行為」が懸念されています。非弁行為とは、資格を持たない者が弁護士業務を行うことであり、これが禁止されています。

ChatGPTを活用して法律相談に対応する場合、AIが法律的な助言を提供することになりますが、AIは弁護士の資格を持っていないため、非弁行為に該当する可能性があります。運営会社はこの問題を認識しており、法律に抵触しないか確認した上で取り組みを始めたいとしています。

ただ、法律相談の場合、具体的な争訟に対する判断が不可欠であることから、非弁行為として禁止されている「鑑定」に該当するものと思われ、現行法のもとではAIによる法律相談は非弁行為に該当するのではないかというのが私見です。また、この問題点は弁護士がAIを使って法律相談を行う場合にも該当するのではないかと思われます。

今のChatGPTは、専門領域に関する相談については専門家に判断して貰うよう答えるようになっていますし、専門領域の回答のレベルも高くはありません。ただいずれ技術や学習の向上により、ChatGPT自体の回答のレベルは上がるだろうと思います。その際に弁護士法との抵触が問題になるかも知れません。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.04.13更新

詐欺行為がSNSを通じて横行していることが問題となっています。そのため、日本弁護士連合会は先日「SNSを利用した詐欺行為等に関する調査・対策等を求める意見書」を提出しました。この記事では、意見書の内容と提案されている対策について解説します。

意見書では、詐欺行為等を行う者が、携帯電話や電話転送サービスの本人確認規制が強化されたことから、本人確認が不十分で匿名性を維持できるSNSを活用し、被害者と連絡を取る手段として用いていることが指摘されています。現在、LINEやFacebook、Instagramなどが詐欺行為のツールとして利用されており、多くの被害者が救済されないままの状況が続いているとされています。

そこで、日本弁護士連合会は、総務省、消費者庁、内閣府消費者委員会に対し、実態把握のための調査を実施し、SNSを詐欺行為等のツールとして利用させないための実効性ある対策を検討するよう求めています。具体的な対策としては以下の3点が提案されています。

1 SNS事業者による適切な本人確認・本人確認記録の保管
SNS登録時や利用継続時に、事業者が利用者の電話番号や氏名・住所・生年月日等を公的な本人確認書類によって確認し、適切に記録を保管することが求められています。これにより、詐欺行為等に関与した加害者を特定しやすくすることが目的です。

2 被害者が加害者のアカウントを特定する情報を容易に確認できるようにすること
被害者が加害者のアカウントを特定し、民事訴訟等によって法的責任を追求しやすくするため、SNS事業者は被害者に対して加害者アカウントの情報を提供するよう求められています。例えば、アカウント登録時のIPアドレスや利用履歴などが挙げられます。ただし、これにはプライバシー保護の観点から、適切な手続きを経た場合に限られるべきであるとの注意喚起もなされています。

3 SNS事業者と行政機関との連携強化
SNS事業者と行政機関が連携し、詐欺行為等に関する情報共有や対策の検討を行うことが提案されています。また、行政機関からの指導や勧告に対して、事業者が積極的に協力する姿勢を示すことが求められています。

以前もこちらのブログで紹介させて頂いたとおり、SNSにおいて詐欺が行われても加害者に関する情報が開示されない状況になっていることが日弁連が意見書を出した背景にあります。このような対策が実施されることで、SNSを利用した詐欺行為等が抑止され、被害者が救済されやすくなることが期待されます。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.03.23更新

ITmediaの記事によれば、大規模言語モデル「GPT−4」において、米国の司法試験の模擬問題を解かせたところ、受験者上位10%の順位で合格するようになったということです。

この点、フリーで使えるchatgptで私もいろいろ試してみましたが、現時点でも一応の内容が記載されている程度の訴状の起案は行うことはできるようです。AIの進化が今年に入ってから著しく、年内に専門家レベルの主張書面作成のできるAIが出現してもおかしくは無いと思っています。そこまでいかなくとも、法務で用いる各種サービスにおいて、AIがより活用されることは間違いありません。

対人業務である弁護士業がAIにより駆逐されることはないと考えてはおりますが、技術について行けない弁護士が駆逐されてしまうことはあり得ますので、新しい技術には引き続きキャッチアップしていこうと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.10.20更新

インターネット上の誹謗中傷の投稿者に関する情報開示のための新しい裁判手続(発信者情報開示命令事件)が、本年10月1日より開始されました。

これまでインターネット上の誹謗中傷の投稿者に関する情報開示については、(1)SNSの運営者等のコンテンツプロバイダに対して仮処分を申立てた上、仮処分の結果経由プロバイダからのアクセスに関する情報の開示を受ける(2)経由プロバイダに対して訴訟を行い、勝訴して経由プロバイダの契約者に関する情報の開示を得るという二回の裁判手続を経る必要がありました。二回の裁判手続を要することから、時間もかかり、その間に経由プロバイダのログ保存期間を徒過し、時間切れで特定に至らないということも残念ながらあります。また、投稿者が電話回線でMVNOを使っている場合等複数の経由プロバイダが関わる場合、二回の裁判手続では終わらず、さらに裁判をしなければ特定に至らないと言うこともありました。

本年10月1日から始まりました発信者情報開示命令事件は、コンテンツプロバイダに情報を開示させた上、経由プロバイダの発信者情報の保全を行い、経由プロバイダに情報を開示させるという一連の手続を一つの裁判手続の中で完結するようになります。これは投稿者が電話回線でMVNOを使っている場合等複数の経由プロバイダが関わる場合も同様です。

よって、本手続によって、従前数ヶ月発信者情報開示まで要していたのに対し、それより短期間で開示に至るのではないかと考えられています。運用が既に始まっておりますので、実際の運用の結果どうなったかについては、改めてブログに投稿したいと考えております。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.08.19更新

第二東京弁護士会は、SNSサービスを利用した違法行為に対する意見書(弁護士会照会への対応)を2022年8月17日に、総務大臣、消費者庁長官、内閣府消費者委員会委員長に提出しています。本意見書については私の所属する委員会の担当部会で議論し会としての提出ができるよう調整し、ようやく提出に至ったものです。なお、本意見書とほぼ同様の内容の意見書・会長声明が埼玉弁護士会、愛知県弁護士会、福井弁護士会からも既に出されています。

内容は、SNSサービスを通じた詐欺被害の実態を調査した上で、事業者に対して詐欺の被害者からの開示請求(特に弁護士会照会について)適切に回答をするよう指導するよう求めるものです。

背景として、現在広く使われているLINEが、詐欺の加害者と被害者との間のコミュニケーションで多く使われているという事実があります。詐欺の被害者は、加害者のLINEのアカウントしかわからず、損害賠償請求するにも加害者の所在が全く分からないということが良くあります。しかし、弁護士会照会などにより詐欺の個人情報の開示を求めても、事業者がこれに応じないため、被害者が泣き寝入りをせざるを得なくなっているというのが現状です。少なくとも、私の所属する委員会の担当部会で事例調査した限りでは、LINE株式会社が弁護士会照会に答えたケースはほぼありませんでした(過去例外的に回答したケースはあるようですが、近年は回答例は見受けられません)。

本意見書の提出は問題解決へのスタートラインに過ぎません。LINEなどSNSサービス事業者が適切な対応をするよう取り組みを続けていきたいと考えております。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.08.06更新

個人情報保護委員会が、7月20日付で破産者の個人情報をインターネット上で掲載しているWEBサイト運営者に対して、情報開示を停止するよう勧告を行っています。

破産者の個人情報については、官報に掲載されています。この情報をインターネット上で掲載するWEBサイトは過去にもありました。それらは既に削除されていますが、再び破産者の個人情報を掲載するWEBサイトが現れたので、それに対する勧告ということになります。

個人情報保護委員会は、個人情報の掲載がなされていることによって違法行為を助長誘発する可能性がある(法19条違反)、利用目的の本人の通知がなされていない(法21条1項違反)、本人の同意なく不特定多数人にデータが閲覧可能な状態にある(法27条1項違反)を理由として、法145条1項に基づき勧告を行っています。

もっとも、WEBサイトは海外のサーバー上にデータが存在し、運営者に関する連絡手段も存在しないことから個人情報保護委員会は公示送達により勧告を行っているに留まっています。

しかしながら、今日(2022年8月6日現在)も、問題となっているWEBサイトでは引き続き破産者の個人情報(住所氏名)をインターネット上での公開を続けており、ビットコインの支払を行わなければ情報削除には応じないとしています。今のところ、個人情報保護委員会の勧告に従う様子はありません。

このようなサイトが現れる背景には、破産者の個人情報が官報に掲載されているという点があり、弁護士会の消費者保護委員会等でもこの点が問題にされています。もっとも債権者側からすれば破産者の個人情報を知る必要性も存在しており、破産者の個人情報の公開をどうするかについては議論の余地があるところです。

現時点では、破産者の個人情報をインターネット上で公開されてしまうリスクがあることを前提として、破産手続を行うか否かについて検討を行う必要があると言えそうです。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.06.24更新

インターネット上において、犯罪歴が投稿されてしまい、生活に支障が出るので削除できないかという相談をよく受けます。

しかし、インターネット上の犯罪歴の削除請求については容易ではありません。2017年1月31日に最高裁がグーグル上の検索結果(犯罪歴が示されている)の削除について「当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきもので,その結果,当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には,検索事業者に対し,当該URL等情報を検索結果から削除することを求めることができるものと解するのが相当である」との判断を行っています。その後の下級審では、インターネット上の犯罪歴の削除請求においては同最高裁判例の考え方に従い、犯罪歴は公共の利害に関する事項であって本件事実を公表されない法的利益が優越することが「明らか」であるとはいえないとして請求を認めない判断をすることが多くなりました。

ただ、上記最高裁の判断は検索事業者の事業の性格(インターネット上の情報流通の基盤)に着目したものであって、検索事業者以外について同様の判断をすべきか否かという点は別途考慮されるべきところです。

この点、2022年6月24日に最高裁はツイッター上での犯罪歴の削除請求について新たな判断を行いました。最高裁は、犯罪事実の削除の可否については、「上告人の本件事実を公表されない法的利益と本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきものであって、その結果、本件事実を公表されない法的利益が本件各ツイートを一般の閲覧に供し続ける理由に優越する場合には、本件各ツイートの削除を求めることができるものと解するのが相当である」と判断しました。原審はツイートの削除については「犯罪事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合」に限られるという前記2017年1月31日の規範をつかって判断していますが、最高裁は「ツイッターの利用者に提供しているサービスの内容やツイッターの利用の実態等を考慮しても、 そのように解することはできない」とこれを否定しています。

したがって、インターネット上での犯罪歴の削除請求(検索結果を除く)については、犯罪事実を公表されない法的利益が優越することが「明らか」な場合に限らず、優越すると認められる場合にも認められることが最高裁の判断により明確になりました。今後の裁判所の判断にも大きく影響するものですので、ここで紹介させて頂きました。

なお、2022年6月24日最高裁判決の補足意見(草野耕一裁判官)は、犯罪の実名報道について具体的な効用があるのかという点について検討を行っており、その内容が大変説得的であると考えました。該当部分は次の通りです。

「実名報道がもたらす第一の効用は、実名報道の制裁としての働きの中に求めることができる。実名報道に、一般予防、特別予防及び応報感情の充足という制裁に固有の効用があることは否定し難い事実であろう(この効用をもたらす実名報道の機能を、以下、「実名報道の制裁的機能」という。)。しかしながら、犯罪に対する制裁は国家が独占的に行うというのが我が国憲法秩序の下での基本原則であるから、実名報道の制裁的機能が生み出す効用を是認するとしても、その行使はあくまで司法権の発動によってなされる法律上の制裁に対して付加的な限度においてのみ許容されるべきものであろう。したがって、本事件のように、刑の執行が完了し、刑の言渡しの効力もなくなっている状況下において、実名報道の制裁的機能が もたらす効用をプライバシー侵害の可否をはかるうえでの比較衡量の対象となる社 会的利益として評価する余地は全くないか、あるとしても僅少である。」

「実名報道がもたらす第二の効用は、犯罪者の実名を公表することによって、 当該犯罪者が他者に対して更なる害悪を及ぼす可能性を減少させ得る点に求めることができる(この効用をもたらす実名報道の機能を、以下、「実名報道の社会防衛機能」という。)。しかしながら、この効用は個人のプライバシーに属する事実を みだりに公表されない利益が法的保護の対象となるとする価値判断と原則的に相容れない側面を有している。なぜならば、人が社会の中で有効に自己実現を図っていくためには自己に関する情報の対外的流出をコントロールし得ることが不可欠であり、この点こそがプライバシーが保護されるべき利益であることの中核的理由の一つと考えられるからである。したがって、実名報道の社会防衛機能がもたらす効用をプライバシー侵害の可否をはかるうえでの比較衡量の対象となる社会的利益として評価し得ることがあるとしても、それは、再犯可能性を危惧すべき具体的理由がある場合や凶悪事件によって被害を受けた者(又はその遺族)のトラウマが未だ癒されていない場合、あるいは、犯罪者が公職に就く現実的可能性がある場合など、 しかるべき事情が認められる場合に限られると解するのが相当であるところ、本事件にはそのような事情は見出し難い。」

「第三に、実名報道がなされることにより犯罪者やその家族が受けるであろう 精神的ないしは経済的苦しみを想像することに快楽を見出す人の存在を指摘せねば ならない。人間には他人の不幸に嗜虐的快楽を覚える心性があることは不幸な事実 であり(わが国には、古来「隣りの不幸は蜜の味」と嘯くことを許容するサブカルチャーが存在していると説く社会科学者もいる。)、実名報道がインターネット上で拡散しやすいとすれば、その背景にはこのような人間の心性が少なからぬ役割を果たしているように思われる(この心性ないしはそれがもたらす快楽のことを社会科学の用語を使って、以下、「負の外的選好」といい、負の外的選好をもたらす実名報道の機能を、以下、「実名報道の外的選好機能」という。)。しかしながら、 負の外的選好が、豊かで公正で寛容な社会の形成を妨げるものであることは明白であり、そうである以上、実名報道がもたらす負の外的選好をもってプライバシー侵 害の可否をはかるうえでの比較衡量の対象となる社会的利益と考えることはできない(なお、実名報道の外的選好機能は国民の応報感情を充足させる限度において一定の社会的意義を有しているといえなくもないが、この点については、実名報道の制裁機能の項において既に斟酌されている。)。」

現在のインターネットでは、草野裁判官のいうところの「実名報道の外的選好機能」により、実名報道の内容が広く拡散してしまい、拡散した報道内容を削除することも難しい状態になっています。今回の最高裁判決をうけて、このような状態が少しでも改善されることを期待します。

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.06.14更新

本年6月13日に、刑法等の一部を改正する法律が参議院で可決成立しました。

今回の刑法改正の内容の一つとして、侮辱罪の厳罰化があります。現行法では刑法231条において、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」と定められておりますが、改正法ではこれに加え、1年以下の拘禁刑(現行法上の懲役・禁固)、30万円以下の罰金についても課することができるようになりました。この改正の理由としては、「近年における公然と人を侮辱する犯罪の実情等に鑑み、侮辱罪の法定刑を引き上げる必要がある」とのことです。

確かに、私が受ける法律相談の中でも、近年はインターネット上の誹謗中傷が非常に多くなっており、立法事実はあると考えます。また、侮辱罪の場合、法定刑が低いこともあってか、立件できるだけの証拠を被害者側が全て揃えた場合であっても、検察官が不起訴処分にしてしまうなどのケースも見受けられました。

今回の法定刑の引き上げにより、従来より捜査機関が侮辱行為について積極的に捜査立件することになるのではないかと思われます。もっとも、特にSNSの匿名の投稿の場合、捜査機関が捜査に乗り出す前にプロバイダの有する発信ログが消去されてしまい、投稿者の特定に至らず立件もできないといったケースも珍しくはありませんので、まずは弁護士に相談されることをお勧め致します。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2022.03.26更新

本年3月23日に、個人情報保護委員会が破産者等の情報を公開するサイトに対して停止命令を行っています。
サイト上にプレスリリースが公開されています(こちら)。

プレスリリースによれば、サイト上で破産者等の情報をデータベース化した上、本人の同意なく第三者に個人情報を提供していることが個人情報保護法23条1項違反にあたるとして、今年2月18日付でサイトを停止するよう事業者に勧告したが、これに事業者が従わなかったということです。

そこで、法42条2項(個人情報保護委員会は、前項の規定による勧告を受けた個人情報取扱事業者等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる)に基づきサイトの停止等を命令するに至りました。

サイト運営事業者がこの命令に従わなかった場合、法83条(第42条第2項又は第3項の規定による命令に違反した場合には、当該違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する)の罰則の適用も求めて刑事告発することを検討してもいるそうです。

従前破産者マップで破産者情報が公開され問題になったことがありますが、今回個人情報保護委員会が問題にしているサイトのように、破産者情報がインターネット上で公開される問題は継続しています。サイトの事業者が匿名で行って身元を隠しているようなこともあり、解決については容易ではありません。

サイト運営者は官報で公開されている情報であり問題ないとの認識のようですが、官報とインターネット上で誰でも見られる状態で情報拡散することは影響力に格段の差があり、それを理由として破産をすることを躊躇するという方も出てくると思います。停止命令には速やかに従っていただくことを願います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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弁護士大窪のコラム 桜丘法律事務所

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