弁護士大窪のコラム

2021.04.23更新

報道によれば、政府は、大阪、兵庫、京都、東京の4都府県を対象に、今月25日から来月11日までの期間、特別措置法に基づく緊急事態宣言を出すとのことです。1月に発令された緊急事態宣言の記憶も新しいところですが、早くも3回目の緊急事態宣言が出されることになります。

昨年の緊急事態宣言が行なわれた際、裁判所は業務を(一部を除いて)停止しました。東京地裁の場合、原則として5月7日から5月末日までの裁判期日指定を取消し、6月以降に順次再開するという扱いを行ないました。他方、2回目の緊急事態宣言では、裁判所は業務を継続しており、特段裁判が遅延するような事態は生じていません。

今回の緊急事態宣言がどのような内容になるかは現時点では発表されていませんが、協議されている内容では公共機関の業務が停止するようなことは予定されておらず、2回目の緊急事態宣言と同様裁判には影響は無いと思われます。

もっとも、来月11日までの短期間で緊急事態宣言で感染状況が大きく変わるとは思われず緊急事態宣言期間の延長はあり得るところです。また、都市間移動の自粛を求めるという話は出てきており、緊急事態宣言が長期化した場合、遠隔地の裁判所での期日については出頭を行わない様求められる程度のことはあり得るかも知れません。もっとも、昨年来teamsを使ったWEB会議が使われるようになり、遠隔地での裁判所の期日がWEB会議で行なわれることも通常ですので、その場合でも裁判に与える影響は限定的と思われます。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.03.19更新

 本月17日に、札幌地裁が同性婚の不受理を行なったことについては憲法に違反するという判断を示しました。本判決はBBCニュースでも報じられ、白石早樹子さんの解説において「今回の札幌地裁の判決ははっきりとした分岐点だ。賠償請求は退けられたが、違憲判決という大きな成果を勝ち取った実質勝訴だという声が次々に上がっている」と紹介されています。

 本裁判については、弁護団がCALL4(社会課題の解決を目指す訴訟“の支援に特化したウェブプラットフォーム)上で判決文、判決要旨だけではなく、主張書面や証拠なども公開しているため(公開箇所はこちら)、原告被告がどのような主張を行なっているのか明確になっています。原告準備書面では同性婚に関して緻密な書面が提出されており、弁護団が本判決を勝ち取るのにいかに汗を流してきたかが良くわかるものとなっています。

 判決では、 同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定について、法の下の平等を定める憲法14条1項に反するとの判断をしています。

 具体的には、「同性愛は精神疾患ではなく,自らの意思に基づいて選択、変更できないことは,現在は確立した知見になっている。圧倒的多数派である異性愛者の理解又は許容がなければ,同性愛者のカップルは,重要な法的利益である婚姻によって生じる法的効果を享受する利益の一部であってもこれを受け得ないとするのは,同性愛者の保護が,異性愛者と比してあまりにも欠けるといわざるを得ない」「我が国及び諸外国において,同性愛者と異性愛者との間の区別を解消すべきとする要請が高まっていることは考慮すべき事情である一方,同性婚に対する否定的意見や価値観を有する国民が少なからずいることは,同性愛者に対して,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないことを合理的とみるか否かの検討の場面においては,限定的に斟酌すべきものである」とした上で、同性愛者に対しては,婚姻によって生じる法的効果の一部ですらもこれを享受する法的手段を提供しないとしていることは,立法府の裁量権の範囲を超えたものであるといわざるを得ず,本件区別取扱いは,その限度で合理的根拠を欠く差別取扱いに当たると解さざるを得ない」と判断しているのです。これまで日本の裁判所が同性婚を認めない民法等の規定を違憲であるとした判断はなく、まさに画期的な判断といえるでしょう。

 なお本判決は、同性婚を認めない民法等の規定は憲法24条には違反しないとしています。その理由については、現行民法への改正や憲法が制定された戦後初期の頃においても、同性愛は精神疾患であるとされており、同性婚は許されないものと解されていたこと、憲法 24条が「両性」など男女を想起させる文言を用いていることにも照らせば、同条は異性婚について定めたものであり、同性婚について定めるものではないというものです。ただここで本判決は、民法等で同性婚を認める規定をおくことについて「憲法24条に反する」という判断を行なっているわけではありません。ネット等では本判決が同性婚を憲法24条に違反するものと判示したというような言説がありますが、判決文にあたればそのような読み方は出来ないことは明白です。

 判決中にも言及されているとおり、日本では特に高齢者で同性婚について否定的な意見を持つ人が多く、(私も地方時代、そのような意見を聞くことが少なからずありました)、そのせいもあってか法制度の整備も遅々としているのが現状です。本判決を機に法制度整備をきちんと進める方向へ議論がなされることを期待します。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.12更新

東京地裁の方で、本年1月7日に発令された緊急事態宣言を受け、裁判業務をどうするかについてアナウンスがなされましたのでご紹介します。

緊急事態宣言の発出を受けた裁判業務について

内容としては次の通りです。

・原則通常どおり裁判業務を継続

・裁判員裁判も行なう

・ウェブ会議や電話会議の期日への切り替えを求めることはある

・出頭して行う手続で 出頭する人の数を極力減らすよう求めることもある

今回の緊急事態宣言は、実質的には飲食店の20時閉店を求めたり、イベントの人数制限を行なう等限定的な内容に留まり、社会的活動を大きく制約するものではないことから、裁判業務も原則通常通り行なうということにした模様です。ただ、東京地裁も「事件関係者の皆さまにおいては,期日のために,都外からお越しになる場合や来庁に不安がある場合には,柔軟に対応いたしますので,担当書記官まで御連絡ください」とアナウンスしておりますので、事件進行については書記官と協議した方が良いでしょう。

もっとも、緊急事態宣言の範囲も一都三県以外にも拡大される見通しであり、今後感染者の数や医療機関の状況によっては裁判業務も制限される可能性は十分にあります。

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.05更新

報道によれば、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象とした、特別措置法に基づく緊急事態宣言がだされるとのことです。今回の緊急事態宣言では、飲食店に対して閉店時間を午後8時に前倒しすることが主な内容であり、昨年行なわれた緊急事態宣言のように学校の休校を行なったり、映画館劇場の営業自粛を求めたりすることはなく、限定的な内容のようです。

緊急事態宣言の再発令で気になるのは、緊急事態宣言再発令により裁判所はどうするかという点です。

昨年の緊急事態宣言が行なわれた際、裁判所は業務を(一部を除いて)停止しました。東京地裁の場合、原則として5月7日から5月末日までの裁判期日指定を取消し、6月以降に順次再開するという扱いを行ないました。6月以降も法廷を隔週開廷としたため、裁判が大幅に(数ヶ月~半年程度)遅延してしまい、現在もその状況が続いています。

今回の緊急事態宣言でも同様の対応を行なった場合、予定されていた裁判は緊急事態宣言期間中は原則として止まってしまい、更に大幅な裁判遅延がもたらされることは必須です。裁判所が再度の緊急事態宣言に備えてIT設備の拡充等なんらかの準備を行なってきたということもありませんので、見通しとしては悲観的にせざるを得ません。

もっとも、前回の緊急事態宣言でも、緊急性のある事件(民事保全、DV事件、人身保護事件等)は期日が開かれましたので、そのような事案については今回も期日が開かれるのではないかと思います。

新形コロナウイルスの感染拡大は国内外でも封じ込めに成功した台湾のような国を除いて終わる見通しを見せません。日本でも今後また感染拡大により緊急事態宣言に追い込まれることもあると思いますので、司法に限らずどうやって感染拡大している中でも業務を続ける道を作るか検討していく必要はあるでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

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