弁護士大窪のコラム

2021.02.24更新

以前こちらのブログで紹介した弁護革命で大幅なバージョンアップが行なわれましたので簡単に紹介します。

バージョンアップ後、「PDF書き込み機能」が加わりました(こちらの動画で機能紹介がなされています)。

注釈モードにすると、PDFにマーカーで強調したり、付箋を入れて書き込みを入れたりすることが可能です。注釈モードで書き込み等を入れた場合でも、書き込みを入れていないオリジナルのPDFは保存されており、書き込みを入れたPDFもオリジナルのPDFも両方ダウンロードすることが可能です。PDFに書き込みをすること自体は個別のアプリケーションでも行なうことはできるのですが、ブラウザ上でこのような作業が簡単にできてしまうのはとても便利ですし、データについては複数人で共有することも可能なので弁護団で検討することも可能です。

また、今回のバージョンアップで「証拠番号埋め込み機能」が加わり、これも便利です(こちらの動画で機能紹介がなされています)。

裁判所に書証を紙で提出する場合、印刷した書証に「弁○号証」などの証拠番号を入れる必要がありましたが、印刷したものにいちいち書き込んでいくのは手間です。PDFにアプリケーションで証拠番号を手作業で個別に入れた上印刷するというやり方もありますが、これも手間であることには変わりません。弁護革命ではオリジナルのPDFに証拠番号を埋め込んだものを一括で準備することができてしまうので、証拠番号を入れる手間が一気に無くなりました。

弁護革命は、多数の資料を検討する必要がある弁護団事件で特に威力を発揮しますが、今回のバージョンアップで更に有用性が上がりました。今後弁護団で事件をする際には是非導入していこうと思います。

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.18更新

NHKの報道によれば、「横浜市港南区の横浜刑務所では、先月15日に30代の男性刑務官の感染がわかって以降、受刑者や職員に感染が相次ぎ、これまでに38人のクラスターが発生しています。横浜刑務所によりますと、受刑者や職員への検査を進めた結果、18日までに、新たに、20代から60代までの刑務官を含む職員4人と、20代から70代までの受刑者46人の、合わせて50人の感染が新たに確認されたということです」とのことで、横浜刑務所で職員や受刑者あわせて合計88人の感染者が確認されたということです。刑務所内においてコロナウイルスのクラスターが発生しているということになります。

法務省の発表するデータによると、昨年の3月以降、拘置所や刑務所内の被収容者にコロナウイルスの感染者は確認されていましたが、クラスターと呼べるほどの感染拡大はなされていませんでした。ところが今年に入って1月4日から10日の間に27人の被収容者の感染が確認され、検査を進めて行くにつれて感染拡大がわかってきたということになります。

もともと、拘置所や刑務所は雑居房もありソーシャルディスタンスが保たれる様な場所ではなく、クラスターが発生されるという潜在的な危険があったことは否めません。この点、法務省や検察庁のこれまでの見解としては、感染防止対策がなされておりクラスターが発生するような可能性はないというものでした(弁護人の主張に対しても、クラスター発生の余地はないと堂々と主張していました)が、現実にはこのようにクラスターが発生するに至っています。

本年1月15日の報道によれば、昨年12月に新宿警察署で留置された被疑者が相次いで感染をしていたことを踏まえて、警視庁が「今後は」逮捕された容疑者については全てPCR検査を行なうということです。が、そもそもこれだけ市中感染が広がっている中、これまで被疑者全員のPCR検査を行なわなかったというのが誤りだったのではないでしょうか。陽性者が素通りになってしまえば、警察の留置所や拘置所がクラスターになってしまうのは当然のことでしょう。

収容されている人にとってはコロナウイルスの感染から免れる手段がありません。クラスター発生を防ぐことはまさに人権問題だと思います。これ以上のクラスター発生を防ぐためには、被収容者全員の定期的な検査および感染者の隔離、施設内でのソーシャルディスタンスの確保は必ずなされるべきでしょう。

 

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.12.28更新

2020年も終わりにさしかかりました。

今年一年を振り返ってみると、新形コロナウイルスの感染拡大によりどの立場にある人も大変な影響を被ったということがとても大きいと思います。

司法に関しても、緊急事態宣言に伴い長期間裁判所の期日が原則として行なわれなくなり、手続の遅延が著しいことになりました。日本では司法のIT化がようやくスタートラインに立ったところであり、裁判所に行かなければ裁判を受けられないという旧態依然としたシステムの弊害が明らかになりました。新形コロナウイルスの感染拡大については、年末にかけても広がっているところであり、再度裁判手続が中止せざるを得ないという事態に追い込まれることもあるかも知れません。

新形コロナウイルスの感染拡大以外の司法のトピックとしては、カルロス・ゴーンさんの事件をきっかけとして、日本の人質司法がクローズアップされたことが大きかったです。我々刑事弁護人にとっては、被疑者を身柄拘束して、弁護士の立ち会いも取調には認めず、長時間の自白を事実上強要し、その調書をもととして有罪判決が作り上げられているという実態は常識ですが、こうした実態が国外に知れ渡ったことになります。もっとも法務省は国外からの批判に一切耳を傾けていません。年末年始の時期も変わらず身柄を拘束され、自白を強要されている人が多数いることは今年も変わりませんでした。

日本の司法システムが、諸外国に比べても色々な面で後れを取っていることはもはや明らかだと思いますが、変化のスピードはとても緩慢です。司法に携わっている一人としては強い無力感を覚えますが、現在の古い司法システムの中において、一弁護士としてできる限り依頼者の役に立つように来年度以降も精進していきたいと思います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.12.23更新

最高裁が袴田事件の高裁決定(1審で行なわれた再審決定を覆す)を取消、東京高裁に差し戻した上で再度審理するべきという決定を行ないました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201223/k10012779771000.html

本件決定で興味深いのは、5人の裁判官のうち2人が、東京高裁での審理をさせるのではなく、最高裁自ら再審開始決定の判断をすべきだという意見をだしていることです。

2人の裁判官は、本件で出されている証拠(DNA鑑定と、みそ漬けの再現実験の報告書)はいずれも新証拠として認められる物で、高裁の審理を要することなく再審開始の要件をみたすものであり、高裁に差し戻すことにより時間を費やすことに反対するという理由から、上記意見を出しています。最高裁の裁判官がこのような意見を出すのは異例ですが、この事件が既に50年余り費やしている事件であることを鑑みれば、2人の裁判官がこのような意見を出すことはうなずけます。1審で行なわれた再審決定からも既に6年も経過しており、高裁差戻の再審決定→再審開始も更に時間を要するのは当事者にとって酷にすぎるといえるでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.12.20更新

本年ももうすぐ終わろうとしていますが、今年において最も弁護士業務の効率化に貢献したサービスは、「弁護革命」だろうと私は思います。「弁護革命」の名前に偽りなしですし、後藤貞人先生、高野隆先生の推薦文の内容にも納得です。

弁護革命のサイトはこちら

弁護革命の最大の特徴は、大量の文書(PDFなど)を放り込むと、AIが全文テキスト・タイトル・日付・証拠番号まで自動で付けてくれ、テキストを抜き出してくれるところです。サイト上で文書をキーワードで検索することが出来ます。

実際にPDFをアップロードするとこの画像のようになります。画面上でPDFをテキスト化した情報を参照して、コピーアンドペーストすることができます。

弁護革命サンプル

とにかく大量の文書を整理することに向いており、刑事事件の尋問案を検討したり、民事事件の最終準備書面案を検討するなど、既存の書面の整理が必要な際にとにかく役に立ちます。特に宣伝を頼まれているわけでもありませんが、一人でも多くの弁護士に使って欲しいと思います。

今年中はキャンペーンで無料ですが、来年から有料になります。興味のある方はお早めに試すことをお勧め致します。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.12.09更新

 証拠開示のデジタル化を実現する会(URL https://www.change-discovery.org/)において、今月20日まで、刑事訴訟における検察の証拠開示について、紙でコピーさせるのをやめて電子データで渡すことを求めることについて賛同の署名を募集しております。私も署名いたしました。

 刑事訴訟において、検察官から弁護人は証拠開示を受けることになりますが、この場合原則として弁護側が検察庁に訪れ、証拠を一枚一枚紙でコピーをしなければなりません。このコピー代が馬鹿にならず、例えば私が現在弁護人になっている事件(公訴事実に争い有り)でも、コピー代が50万円以上に達しています。コロナ渦の現在においても、紙のコピーを取りに行ったり、業者がコピーした大量の紙のコピーを引き取りに行かねばなりません。遠隔地の検察庁であれば、わざわざ紙のコピーを確保するために、弁護人側がコピー代だけではなく旅費等も負担した上証拠開示を受けることも珍しくはありません。

 民事訴訟では、IT化が徐々にでは有りますが日本でも進みつつあり、書証についてもデジタルデータでの提出が議論されていますが、刑事裁判においては明治時代と変わらない紙ベースの裁判が続けられており、大量の書面が用いられています。IT化の議論も全くなされていませんし、証拠開示についても検察庁は証拠をPDFファイルなどの電子データで渡すことを拒否しています。ただこれは極めて非効率ですし、個人がコピー代等大きな負担を強いられることになってしまいます。

 証拠開示のデジタル化を実現する会のサイトでは、海外の事例も紹介されています。例えば、隣国韓国では、民事訴訟だけではなく刑事訴訟のデジタル化も進めているということです。韓国は民事訴訟のIT化については日本の10年先を進んでいますが、刑事訴訟でも先を行かれることになりそうです。また、アメリカNY市では、クラウドストレージでの証拠開示が行なわれているようです。

 時代遅れの司法によって個人が不利益を受けるという実態を少しでも改善していく必要があります。悪しき実態を改善させるため、刑事裁判の証拠開示はデジタル化されるべきと考えます。賛同頂ける方は証拠開示のデジタル化を実現する会の賛同の署名をお願い致します。

  

 

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.11.18更新

先日、櫻井光政弁護士(私の所属する桜丘法律事務所所長)が原告として、東京地検特捜部が業務上横領容疑で捜査対象とした男性を任意で取り調べた際、検事から接見を妨害されたことについて国賠を求めた事件の判決がありました。判決では弁護権の違法な侵害を認め、10万円の慰謝料の支払を命じています。

事実関係については、現在進行中の事件に関することでもありますので、こちらの記事で書いてあるような原告本人が記者会見で述べた内容以上のことを現時点でここで開示する予定はありません(なお、櫻井、私を含む当事務所の弁護士が弁護団をつくっています)。

ただ、本件は、任意取調中の検察の接見妨害について接見妨害を認めた先例として価値がある判決だと考えています。曲がりなりにも特捜たる存在がこのような違法な接見妨害を行なってまで被疑者の調書を取っていることが、まさにこの国の人質司法の病理を体現しているものと言わざるを得ません。

(2020.11.19 追記)

事務所のブログで櫻井弁護士が記事を書いておりますのでご参照ください。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.11.11更新

刑事事件で逮捕勾留されてしまい、長期間身柄が拘束されることのつらさは体験した人しか分からないだろうと思います。勾留をはじめてなされた人は例外なく、一秒でも早く外に出たいという希望を持ちます。

勾留に対してなしうる手続はいくつかありますが、今回は勾留理由開示について説明します。

憲法及び刑事訴訟法は、被告人について、裁判所に勾留理由の開示を請求することを認めています(憲法34条後段、刑事訴訟法82条1項)し、被疑者については勾留状を発布した裁判官に対して勾留理由の開示の請求をすることが認められています(刑事訴訟法207条による82条の準用)。また被疑者・被告人本人だけではなく、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も請求することが出来ます(刑事訴訟法82条2項)。

勾留理由開示があった場合には、裁判所は5日以内に開示期日を指定した上(刑事訴訟規則82条1項、同84条)、公開法廷で勾留の理由を答える必要があります(憲法34条後段、刑事訴訟法83条1項)。

勾留理由開示については、裁判官が抽象的なことを話すに留まり、形骸化されているとも言われています。ただ、私の経験上は事前の求釈明を具体的に行なえばそれに応じてある程度の回答が裁判官より得られることもあり、勾留について問題がある場合には積極的に行なうべき手続と思います。また、副次的な効果として、公開法廷で行なわれる関係上接見禁止がついている被疑者被告人であっても、傍聴席の家族に顔を見せることができるという面もあります。

他方、公開法廷になるべく出たくは無いという意向を被疑者被告人が持つ場合には手続を取りにくいという面もありますので、被疑者被告人の意向を尊重した上手続をなすか否か判断することは当然必要となります。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.28更新

逮捕されると身柄が拘束されて、その後取調が行なわれます。身柄が拘束される中で取調を受けた結果、法律的な知識が不十分なままで供述を行い、事実と異なる供述調書が作られてしまうことはあります。逮捕された場合にできる限り早期に弁護士に相談して法的なアドバイスを受けることが必要です。

この点、逮捕後さらに勾留された場合、資力の無いなどの理由で弁護人を自ら選任できない時には国の費用で弁護人を選任する国選弁護人制度というものがあります。勾留された後に国選弁護人の選任を希望し、要件を満たす場合には国選弁護人が選任され、法的なアドバイスを受けることができます。

もっとも被疑者段階で国選弁護人を付けることができるのは勾留された後であり、逮捕されてから勾留されるまでの間(最長72時間)は、国選弁護人によるアドバイスを受けることが出来ません。そのためこの期間に意に沿わない供述をとられてしまうおそれがあります。私選弁護人を最初から選任できるのであればこれを防ぐことができますが、私選弁護人を選任するだけの資力がない場合にはこれもできません。

この制度の不備を補うため、弁護士会の方で当番弁護士制度(当番として待機している弁護士が接見を行なう。初回接見は無料です)を作り、逮捕された本人や家族の弁護士会に対する依頼に応じて弁護士の派遣を行なっています。派遣される弁護士を選ぶことはできません。なお、引き続き弁護を依頼する場合には原則として自費で私選弁護を依頼することになりますが、弁護士会の刑事被疑者弁護援助制度により弁護士費用の援助が受けられる場合はあります。

上記当番弁護士制度は、国選弁護制度の欠陥(以前は被疑者段階での国選弁護制度はなく、被告人段階ではじめて国選弁護をつけられました)を補うため長年弁護士が自腹を切りかつ労力を払って継続しているものであり、逮捕段階で被疑者に国選弁護人が付けられるようになるのが本来は望ましいことは言うまでもありません。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.16更新

刑事裁判の場合、弁護人は検察が裁判所に提出予定の証拠について確認する必要があります。ただ、検察が弁護人に証拠のコピーを送ってくれるわけではありません(民事訴訟の場合、相手方に対し証拠の写しを送る必要がありますが、刑事裁判の場合そのようにルール設計がされているわけではありません)。弁護人が検察庁に直接いって証拠を謄写するのが原則となります。

もっとも、東京地検の場合、謄写センターで有料にてコピーをとってもらうことが可能です。また弁護士会の協同組合で謄写を受け付けてくれることもあります。ただ費用としては一枚数十円かかりますし、地方によってはそれ以上の負担が生じることもあります。

そのような費用的な問題で、私がかつて紋別の公設事務所にいた頃は、たまに実費を支払うので謄写をかわりにしてもらいたいという話を遠隔地の弁護士から求められたことはありました。断ると「弁護士会の金で事務所をおいているのにできないのはどういうことか」と憤られる方もいないわけではありませんでした。

記録謄写を公設事務所の弁護士に求めないようにという申し出等を弁護士会の方でしていただいたこともあり、次第にそのようなこともなくなりましたが、遠隔地の記録謄写が刑事弁護を行なう上でネックになっている現実そのものは今も変わっておりません。

この記録謄写に関しては、そもそも電子データによる謄写物の交付がなされれれば上記のような問題は一気に解決してしまうはずです。しかしながら、検察側はそのようなことは一切考えておりません。また東京地検謄写センターもまたそのようなことは行なわない旨明言しています(リンク先の高野先生のブログ参照)。民事裁判についてはIT化が進む中、刑事裁判だけが旧態依然とした紙中心の裁判から変化しようとしません。これは法改正により是正しなければいけない問題だと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

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弁護士大窪のコラム 桜丘法律事務所

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