本年6月13日に、刑法等の一部を改正する法律が参議院で可決成立しました。
今回の刑法改正の内容の一つとして、侮辱罪の厳罰化があります。現行法では刑法231条において、「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する」と定められておりますが、改正法ではこれに加え、1年以下の拘禁刑(現行法上の懲役・禁固)、30万円以下の罰金についても課することができるようになりました。この改正の理由としては、「近年における公然と人を侮辱する犯罪の実情等に鑑み、侮辱罪の法定刑を引き上げる必要がある」とのことです。
確かに、私が受ける法律相談の中でも、近年はインターネット上の誹謗中傷が非常に多くなっており、立法事実はあると考えます。また、侮辱罪の場合、法定刑が低いこともあってか、立件できるだけの証拠を被害者側が全て揃えた場合であっても、検察官が不起訴処分にしてしまうなどのケースも見受けられました。
今回の法定刑の引き上げにより、従来より捜査機関が侮辱行為について積極的に捜査立件することになるのではないかと思われます。もっとも、特にSNSの匿名の投稿の場合、捜査機関が捜査に乗り出す前にプロバイダの有する発信ログが消去されてしまい、投稿者の特定に至らず立件もできないといったケースも珍しくはありませんので、まずは弁護士に相談されることをお勧め致します。