弁護士大窪のコラム

2025.09.13更新

 先日、私たちの身の回りにある製品の事故原因を調査している国の機関、NITE(ナイト:製品評価技術基盤機構)を訪問し、講義と実演に参加させていただきました。
 「製品事故」と聞くと、どこか他人事のように感じるかもしれません。しかし、NITEには年間2,000件ほどの製品事故情報が寄せられており、その原因が私たちの日常の使い方に潜んでいることも少なくありません。
 このブログでは、NITEの事故原因の調査に関する実演に関する内容を紹介します。
【実演①】ガスバーナーの異常燃焼
 まず見せていただいたのが、カセットボンベに取り付けて使う「ガスバーナー」の燃焼実験です。キャンプやご家庭での炙り調理などで使う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 カセットボンベの中には、液体の燃料と気体になったガスが入っています。通常は、この「気体」の部分だけを燃焼させることで、安定した青い炎が出ます。
 しかし、調理中に「ちょっと傾けて」使ってしまうとどうなるでしょうか。
 輸入品のガスバーナーを傾けた瞬間、轟音とともにオレンジ色の大きな炎が立ち上がりました。 これは「異常燃焼」と呼ばれる現象で、傾けたことで「液体」の燃料が直接噴出し、一気に燃え上がったために起こります。もし近くに燃えやすいものがあったり、衣服に燃え移ったりすれば、大火災につながる非常に危険な状態です。
 一方で、国内事業者が製造した製品は、傾けても炎の形はほとんど変わりませんでした。その違いは、「気化器」という部品の有無にあります。国内製品の多くにはこの気化器が内蔵されており、万が一液体の燃料が流れ込んでも、バーナーの熱で強制的に気体に変えてから噴射するため、異常燃焼が起きにくくなっているのです。なお、現在、こうした安全装置のない製品を規制する法整備も進められているとのことです。
【実演②】「電源コード」の断線
 次に案内されたのは、X線CTスキャンなどが置かれた部屋です。医療用のレントゲンのように、製品を壊さずに内部の状態を詳しく見ることができます。
 ここで見せていただいたのは、ごく普通の電源コードです。
 外から見ただけでは、特に傷んでいる様子はありません。しかし、これをX線で見てみると、内部の銅線が数本、完全に断線しているのがはっきりと見えました。
 このような状態で使い続けると、断線部分で火花(スパーク)が発生し、近くのホコリなどに着火して火災の原因になったり、触れることで感電してしまったりする恐れがあります。内部の断線は外からでは気づきにくいため、非常に厄介です。

 NITEは、消費者から直接の事故調査依頼は受け付けていません。まずは、お近くの消費生活センターに相談してください。全国どこからでも電話で相談できる「消費者ホットライン188」に電話するのが最も簡単です。消費生活センターなどに寄せられた情報が、法に基づく報告ルートを通じてNITEに連携され、専門的な事故調査が開始される仕組みになっています。
 また、NITEは、過去の事故事例を検索できるデータベース「NITE SAFE-Lite(セーフライト)」をインターネット上で公開しています。
https://safe-lite.nite.go.jp/
 「掃除機 発火」「リチウムイオン電池 膨張」といったように、製品名や事故の状況などをフリーワードで入力して、類似の事故が起きていないか調べることができます。リコール情報も掲載されているので、気になる製品がある方は一度検索してみることをお勧めします。

 今回の訪問で、私たちの安全が、こうした専門機関の地道な調査と分析によって支えられていることを実感しました。同時に、事故を防ぐためには、私たち一人ひとりが製品に関心を持ち、正しく使うことが何よりも重要だと改めて感じました。
 また、製品事故に関するトラブルでお困りの際は、弁護士にご相談いただくという選択肢もありますので、お気軽にお声がけください。

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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