弁護士大窪のコラム

2025.04.19更新

2024年5月17日に、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)の改正案が公布され、法律名も特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法)となりました。この情報流通プラットフォーム対処法は、公布から1年以内の施行と定められていましたが、2025年4月1日に施行されました。

情報流通プラットフォーム対処法への改正の趣旨は、誹謗中傷等のインターネット上の違法・有害情報に対処するため、大規模プラットフォーム事業者に対して対応の迅速化、運用状況の透明化にかかる措置を義務づけるというものです。大手SNSや匿名掲示板においてなされた誹謗中傷の投稿について削除請求をしたとしても、削除請求の窓口が分からなかったり、削除請求を行っても何ら回答がなかったりすることがありました。また、そもそも投稿削除の基準も明らかにされていないことも多かったです。こうした問題に対して改善を図るために法改正がなされました。

情報流通プラットフォーム対処法により、対応の迅速化のための措置として、削除申出窓口の整備公表、削除申出への対応体制の整備、削除申出に対する結果の原則14日以内の通知がなされることになりました。

また、運用状況の透明化のための措置として、削除基準の策定・公表、削除した場合の投稿者への通知がなされることになりました。

さらに、情報流通プラットフォーム対処法では、大規模プラットフォーム事業者に対して、運営者の氏名(名称)及び住所、法人の場合には代表者の氏名を届出ることが義務化されました。特に匿名掲示板では運営者の素性すらわからないことがありましたが、改正法の届出義務により、運営者は素性を明らかにしなければいけなくなりました。

情報流通プラットフォーム対処法の施行により、これまでよりは誹謗中傷に対する対応が改善されることが期待されます。また、匿名掲示板の運営者の届出義務化により、投稿削除仮処分・訴訟がやりやすくなる可能性もあります。

情報流通プラットフォーム対処法が施行されたため、従前対応してくれなかった誹謗中傷の投稿に対しても、改めて削除請求を行なうことが考えられます。

投稿者: 弁護士大窪和久

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