弁護士大窪のコラム

2021.02.04更新

読売新聞の記事によれば、「厚生労働省は3日、新型コロナウイルス感染者と接触した可能性を知らせるスマートフォン用アプリ「COCOA(ココア)」について、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」版で昨年9月下旬以降、接触があっても通知されない不具合が続いていた」ということで、非常に驚きました。アンドロイド端末にダウンロードされたCOCOAは全体の約3割(770万ダウンロード)にあたり、それだけ多くの利用者が濃厚接触者に該当する場合でも通知を受けることがなかったということになります。各種イベント等で参加者にCOCOAの利用が義務づけられ、それで濃厚接触の有無等確認してきたわけですが、今回の件でそれがザルであったことが明らかになりました。

昨年9月に不具合が生じていたにも関わらず1月になるまでそれが発覚しなかった原因について、朝日新聞の記事によれば「9月28日のバージョンアップ時点では、接触確認アプリが感染拡大に備えてすみやかに多くの人につかってもらうことを重視していた。十分なテストをする環境が遅れていた。そのあと、テスト環境をつくって実機テストをするべきところをしていなかった」と厚生労働省が説明しているということで、驚くしか有りません。この手のアプリで実機テストすら行わないまま運用を続けてきたということは信じがたいものがあります。

そもそも、昨年9月以降は、私のブログでも紹介させて頂いたとおり、appleとgoogleが提供している接触通知システムであるExpressを採用することで、アプリがなくともOSの基本機能のみで接触通知を受けられる状況にありました。ただ日本では既にCOCOAを導入していたため、ExpressではなくCOCOAにより濃厚接触の有無を確認する方針をとってきたのです。それにも関わらずCOCOAがこの体たらくであるならば、最初からCOCOAを廃止してExpressを採用するべきではなかったかと思います。国費の無駄であるばかりではなく、濃厚接触の有無が分からず、結果としてコロナウイルスの感染拡大が広げたという事態も生じてきた可能性も否定できません。

厚労省では原因究明を図るとのことですが、そもそもCOCOAのダウンロード率が上がっていないという点もクリアされていないことも鑑みれば、COCOAの利用自体を諦めExpressを採用すべきではないかと考えます。

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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