今日はメトロコマース事件と大阪医科大学事件の上告審判決が出ています。どちらも最高裁HPに既に判決文が掲載されています。
いずれも短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律8条(改正前の労働契約法20条)が禁じる不合理な条件の禁止にあたるかが問題となった事件で、メトロコマース事件では退職金、大阪医科大学事件では賞与について正社員と契約社員との間の格差が問題となりました。
いずれも高裁判決では格差が不合理であるという判断を行なっていますが、最高裁はこれを覆し、格差の不合理性を否定し使用者側に有利な判断を下しています。
もっとも、メトロコマース事件の方は反対意見があります。反対意見によれば、正社員と契約社員の職務の内容等に大きな相違がないことからすると、退職金についての使用者の裁量判断を尊重するとしても、不合理な条件の禁止にあたるといえ、高裁判決を破棄するには及ばないとしています。最高裁の判断はいずれも事例判断であり、実際の事件にそのままあてはまるものではないので反対意見の考え方も踏まえて考慮していく必要はあるでしょう。