3月23日付で、北海道弁護士連合会(道弁連)は、「北海道の司法過疎問題に弛みなく取り組む共同宣言」を出しました。
http://www.dobenren.org/statement/h27statement03.html
タイトルだけだとなんのことかよくわかりませんが、要は3月23日付で道弁連と北海道が司法過疎に関する「包括連携協定」を結んだことをアピールするものです。この「包括連携協定」について、道弁連は「北海道の弁護士が地域住民の法的支援に関わることを通して地域の法化社会を実現することを基盤としながら,さらに地域の暮らし,まち,ひとの法文化を創造し,共働して司法過疎対策を行うための基盤整備の第一歩と位置付けられる」としています。
道弁連はこれまで司法過疎対策として、すずらん基金法律事務所をつくり道内の公設事務所に派遣する弁護士を養成することや、弁護士のいない自治体でも法律相談の機会をつくる道内一斉無料相談などの取り組みをしてきています。
こうした取り組みはいずれも道弁連(に属している弁護士)が主体となり、いずれも自分たちの会費のみを使って行ってきたものです。道内一斉無料相談については、自治体に広報や場所の提供などの協力をいただいてはいるものの、弁護士のみが自費を費やしてきたことには変わりありません。そしてこうした取り組みの結果、公設事務所に所長を途切れさせず派遣したり、一斉相談で相談のニーズに応えるなど、成果を出してきています。
ただ、司法インフラの充実については弁護士の手弁当の取り組みだけでは限界があります。特に北海道内の支部裁判所は弁護士が常駐していないところが多く、かつ取り扱い事件が制限されていたり期日が少ないなど根本的に問題があるのですが、全く改善されません。弁護士サイドからは常にこの問題点を裁判所に突き付けてきましたが、それが反映されることはこれまで全くありませんでした。
本来司法インフラの充実については弁護士だけではなく地域住民の問題でもあるはずです。住民が声を上げることがなければ、裁判所はおそらく永遠に貧弱なままであり続けると思います。そんな中で北海道が行政として初めて道弁連と司法過疎対策について「連携」したというのは、それだけでも結構大きな前進といえるかもしれません。
むろん「連携」の中身が重要なのは当然ですが、これまで司法過疎対策について行政と道弁連の「連携」すらなされてこなかったことからすれば、包括連携協定を結んだこと自体が大きな意義があるともいえます。