弁護士大窪のコラム

2016.03.28更新

 3月23日付で、北海道弁護士連合会(道弁連)は、「北海道の司法過疎問題に弛みなく取り組む共同宣言」を出しました。

  http://www.dobenren.org/statement/h27statement03.html

 タイトルだけだとなんのことかよくわかりませんが、要は3月23日付で道弁連と北海道が司法過疎に関する「包括連携協定」を結んだことをアピールするものです。この「包括連携協定」について、道弁連は「北海道の弁護士が地域住民の法的支援に関わることを通して地域の法化社会を実現することを基盤としながら,さらに地域の暮らし,まち,ひとの法文化を創造し,共働して司法過疎対策を行うための基盤整備の第一歩と位置付けられる」としています。

 道弁連はこれまで司法過疎対策として、すずらん基金法律事務所をつくり道内の公設事務所に派遣する弁護士を養成することや、弁護士のいない自治体でも法律相談の機会をつくる道内一斉無料相談などの取り組みをしてきています。

 こうした取り組みはいずれも道弁連(に属している弁護士)が主体となり、いずれも自分たちの会費のみを使って行ってきたものです。道内一斉無料相談については、自治体に広報や場所の提供などの協力をいただいてはいるものの、弁護士のみが自費を費やしてきたことには変わりありません。そしてこうした取り組みの結果、公設事務所に所長を途切れさせず派遣したり、一斉相談で相談のニーズに応えるなど、成果を出してきています。

 ただ、司法インフラの充実については弁護士の手弁当の取り組みだけでは限界があります。特に北海道内の支部裁判所は弁護士が常駐していないところが多く、かつ取り扱い事件が制限されていたり期日が少ないなど根本的に問題があるのですが、全く改善されません。弁護士サイドからは常にこの問題点を裁判所に突き付けてきましたが、それが反映されることはこれまで全くありませんでした。

 本来司法インフラの充実については弁護士だけではなく地域住民の問題でもあるはずです。住民が声を上げることがなければ、裁判所はおそらく永遠に貧弱なままであり続けると思います。そんな中で北海道が行政として初めて道弁連と司法過疎対策について「連携」したというのは、それだけでも結構大きな前進といえるかもしれません。

 むろん「連携」の中身が重要なのは当然ですが、これまで司法過疎対策について行政と道弁連の「連携」すらなされてこなかったことからすれば、包括連携協定を結んだこと自体が大きな意義があるともいえます。

投稿者: 弁護士大窪和久

2016.03.09更新

 私は合計6年間の間,公設事務所で所長弁護士をしてきました。公設事務所というのは,弁護士が足りない地域(例えば,裁判所の支部があるにも関わらずその管轄内に弁護士が一人もいないか一人しかいない地域)に,日弁連等が支援してつくられた法律事務所のことです。

 先月(平成28年2月)まで業務を行っていた北海道の名寄市(「なよろ」と読みます)にも私がいた道北法律事務所の他に,名寄ひまわり基金法律事務所という公設事務所が設立されています。公設事務所の特長として所長弁護士が3年ほどで交替するという点が有りますが,名寄の公設事務所もこの夏に弁護士が交替することとなっています。

 この公設事務所の後任者は,公募で選ばれます。応募してきた弁護士を,公設事務所の支援委員会(日弁連や地元の弁護士会などから委員が選ばれ,公設事務所を支援することを目的にされた組織です)のメンバーがみたうえで選任されることになります。

 私が公設事務所の所長をしていたのは5年前のことですが,その当時に比べると公設事務所の応募者は大幅に増えたと思います。私がいた旭川地裁管轄の公設事務所では,以前なら応募自体全くないということもありましたが(私がいた紋別でも私の後任の応募が公募後しばらくありませんでした),今では応募者が必ず複数でてくるようになりました。その原因としては弁護士の数そのものが大幅に増えたということもあるでしょうが,公設事務所に派遣する弁護士を養成する事務所が増えたということもあると思います。

 応募者が複数ということになると,当然ではありますが支援委員会の方で一人だけ選ぶということになります。どのような基準で選ぶかについては支援委員会のメンバー次第ということになりますが,最低限言えるのは「任期中問題を起こさない人」を選ぶということです。

 公設事務所は看板は「公設」とついていますが実態としては純然たる個人事務所であり,国や地方自治体が業務を監督することはありません。また日弁連や弁護士会も他の法律事務所に対して業務を直接監督することができないのと同じく,公設事務所の業務に対して直接監督することはできません。上記の支援委員会も公設事務所を「支援」することが目的であって,弁護士の業務を監督する権限があるわけでもありません。

 仮に派遣された公設事務所の所長の業務について問題があっても,支援委員会等が監督して業務を是正することは困難です。また公設事務所がある地域は他に弁護士がいないか少ないので,地元の人が公設事務所について悪い噂をきいたとしても,他の弁護士を選ぶことが難しいという点もあります。結果任期中に所長弁護士が問題のある業務を続けて地元の人に不利益を与え,事務所を「支援」した日弁連や弁護士会の評判も落ちるということになりかねません。

 支援委員会も上記のような問題が起こりうるということは十二分に理解しているはずなので,まずは「任期中に問題を起こさない人」を選ぶことになります。応募した弁護士が多少事務処理能力が高かったり,弁護士としてのキャリアがあったとしても,支援委員会の方では保守的な判断をして別の弁護士を選定するということは十分あると思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2016.03.02更新

 これまで5年弱働いておりました弁護士法人道北法律事務所を2月で退職し、公設事務所派遣前に所属していた桜丘法律事務所に復帰いたしました。道北の皆様には名寄事務所在籍中多大なるご支援いただきましたことを改めて御礼申し上げます。

 今後地方での経験を活かして引き続き弁護士として東京で活動を行って参りますので,宜しくお願い致します。

投稿者: 弁護士大窪和久

弁護士大窪のコラム 桜丘法律事務所

法律相談であなたのお悩みお話ししてみませんか?

法律相談は、今後に対する見通しを立てるプロセス。
正式依頼は、具体的に関係者などへ働きかけていくプロセスです。
この両者は全く異なりますので、別物としてお考えください。
法律相談で得た知識を元に、ご自分で進めてみても良いでしょう。

桜丘法律事務所 弁護士 大窪和久 TEL:03-3780-0991 受付時間 9:30~20:00 定休日 土曜日曜・祝日 住所 〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6 渋谷協栄ビル7階 24時間WEB予約。受付時間外はこちらからご連絡ください。 WEBでのご予約・ご相談はこちら
sp_bn01.png
予約はこちらから