日本で一番駅から遠い裁判所はどこでしょうか。
この点、「駅」をどう考えるか(バス停も含むのかどうか)、離島にある裁判所も含めるのかによって回答は変わってくると思います。
「駅」は鉄道の駅と考え、離島は除くと考えると、日本の中でも北海道の裁判所が「駅」から遠い裁判所でトップクラスに入るのはまず間違いないと思います。
例えば私が先々月までいた旭川地裁名寄支部管内では、地裁支部がある名寄にはJRの駅があるものの、独立簡裁である中頓別簡裁がある中頓別町には駅がありません。あえて中頓別簡裁の「最寄り駅」をあげるとすればJR宗谷本線の音威子府駅でしょうが、峠を越えて40キロ以上の道のりを走らなければ駅に到着しません。
北海道でこのように「駅」から遠い裁判所があるのは、国鉄がJRになったあとに道内の多くの路線が廃線になったことによります。中頓別は1989年まで天北線の駅がありましたが、天北線の廃止に伴い駅もなくなりました。前記の音威子府駅からは天北線の代替バスが走るようになりました。
しかし、年月を経て中頓別簡裁は実質的により「駅」から「遠く」なっています。
音威子府駅から走っていた天北線の代替バスが、乗客数が少なくなったという理由から、昨年廃止されてしまいました。旭川から宗谷本線にのって代替のバスを使うということもできなくなってしまったのです。
さらに、旭川から音威子府駅へ向かう普通列車も、今年のダイヤ改正で大幅に削減されてしまいました。旭川から音威子府に向かう下りの普通列車は、一日に3本しか走っていません。普通列車の削減については路線の自治体から反対の声も挙がりましたが、このようなことになってしまいました。
このように裁判所が駅から遠くなってしまったのは、乗客数の減少及びJR北海道の経営難という背景があります。ただ住んでいる人がみんながみんな自家用車を使う訳ではない以上、ここまでインフラである公共交通機関を減らしてしまったのは相当問題だと思います。