弁護士大窪のコラム

2021.05.25更新

時事ドットコムニュースで、ネットの誹謗中傷に関して、「自民党は25日、インターネット交流サイト(SNS)で相次ぐ誹謗(ひぼう)中傷への対応を議論するため、情報通信戦略調査会に設けた小委員会(小委員長・山下貴司元法相)の初会合を開いた。今後、刑法改正も視野に、侮辱行為の厳罰化など対策を議論する」との記事が掲載されていました。

確かに、侮辱罪は現行法で30日未満の拘留または1万円未満の科料と法定刑が定められており、名誉毀損罪の法定刑(3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金)に比べても著しく軽いという問題点があります。このため、警察が捜査に及び腰になってしまうという面があることは否定できません。

ただ、ネットの誹謗中傷に関して法定刑が軽いという問題点より重要なことは、匿名の投稿について捜査機関が投稿者を特定できないことを理由として捜査に消極的になるという点です。SNSの運営会社は裁判所の令状がなければ匿名の投稿者の情報について捜査機関に開示するとしていますが、捜査機関は令状をとってSNS運営に対して開示を求めることをなかなか行なおうとしません。民事上の発信者情報開示を行なって被害者側が匿名の投稿について初めて捜査に着手するのが一般的です。

このような捜査機関側の対応が改まらない限り、厳罰化がなされても結局立件に至ることはありませんので、ネット中傷は防げないことに変わりはありません。

投稿者: 弁護士大窪和久

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