弁護士大窪のコラム

2020.09.30更新

サービス開始当初から、LEGAL LIBRARYを利用しています。

一言で言うと法律専門書の電子書籍をサブスクリプションで利用できるというものですが、今となっては業務に欠かせない戦力になっています。私が感じる利点は次の3つです。

1 場所を取らない

法律事務所での悩みの一つは書籍が大きなスペースを取ってしまうという点です。特に東京では地価も高く、書籍を置くことへのコストが高いのがネックになっています。

しかしながら、本サービスでは電子書籍故スペースの問題は全くありません。PCだけがあれば膨大な書籍の情報にアクセスできます。個人的にはここに掲載されている書籍(注釈民法等)は手放してしまっても良いかと考えています。

2 検索機能が充実している

紙の書籍では検索は当然できませんが、電子書籍ならそれが可能です。例えば起案で必要になる事項が出てきた場合、それを横断的に検索することにより、スピーディーに調べることができます。

LEGAL LIBRARYでは、キーワードだけでなく、タイトル、著者出典等の詳細検索をすることができ、目的の情報にたどり着くのは楽です。

3 書式が使える

LEGAL LIBRARYでは最近電子書籍に掲載されている書式をデータでダウンロードすることができるようになりました。これにより書式の活用がしやすくなったのは大きな利点であり、紙の書籍よりも優位です。

このような法律専門書の電子書籍サブスクリプションサービスについては、他国では普通に使われているものではありますが、日本でも同種のサービスが使えるようになったのは本当に素晴らしいです。個人的には、スマートフォンでのアプリに対応するであるとか、より書籍の量を増やす(特に刑事実務については充実して欲しい)であるとかの要望がありますが、現状でも便利ですので引き続き使っていこうと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.29更新

本日、第二東京弁護士会のオンライン研修「テレワーク時代の わかる!できる!楽しい!? 弁護士情報セキュリティガイドライン簡単解説」を受講しました。動画については暫くリンク先で公開されているとのことです。

内容中深く同意したのは、弁護団でメーリングリストを使うのをやめようという提言でした。

メーリングリストには、後から入ってきた人が状況を理解できない、メッセージの先後関係が分かりにくいという欠点があるばかりではなく、暗号化されておらずセキュリティの面でも不安がある等の欠点があるというのがその理由です。また、現在ではChatwork等のチャットツールの方が明らかに優位性があり、そうである以上メーリングリストを使い続ける理由もありません。

各弁護団で長年に渡りメーリングリストが使われてきましたが、かつてメーリングリストの内容が第三者にも公開される設定になっており問題になったケースもあります。ファイル管理の面でもメーリングリストは不適(クラウドストレージを使った方が遙かに便利)ですので、自分が関わる弁護団だけでもメーリングリストの使用は今後やめていきたいと思います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.28更新

日経新聞で、「刑事裁判、IT化に遅れ 遠隔制度の活用は限定的」という記事が掲載されています。

同記事によれば、

「新型コロナウイルスの影響の下、日本の刑事裁判でIT活用の遅れが目立っている。海外ではオンライン化で感染を防ぎつつ審理の停滞を防ぐ工夫が進む」とありますが、日本では刑事裁判においてITはほぼ活用されていないといって良いでしょう。

民事裁判においては、内閣官房がIT化推進の方針を立てたことにより、少しずつではありますがIT化が進みつつありますが、刑事裁判は取り残されたままです。

また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が終わったあとも、刑事裁判所の法廷は隔週開廷で三密を避ける方針をとっておりますし、検察についても隔週出勤等により捜査公判共に停滞しているというのが現状です。それにも関わらず、手つかずのIT化にも全く手を付けようとはしていません。このような刑事裁判の停滞により、裁判が長期化しており特に身柄事件については被告人が未決のまま長期間の勾留を強いられるなど、従前の人質司法の弊害が更に際立つ形となっております。

このまま他国に比べて貧弱な刑事裁判を続けるのは明らかに誰の得にもなっていないので、コロナ渦での他国の実践を少しでも学んでいくべきとは思いますが、裁判所や法務省のこれまでの動きを見る限り悲観的にならざるを得ません。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.27更新

弁護士として長年業務を続けていると、様々な相談を受けることになりますが、これまで一番辛いと感じた相談が、借金を理由として自殺した方の遺族からの相談でした。こればかりは何回経験しても慣れることはありません。

借金それ自体については相続放棄等で解決はできてしまうのですが、失われた命は戻ってきません。しかも、仮に生前に相談に来てさえくれていれば、債務整理を行なうことにより法的に解決できてしまうようなものばかりでした。中には過払い金を回収することでむしろお金が返ってくるようなこともありました。

借金の返済に追われて心が疲弊して追い込まれてしまい、家族親族にも言えず、とても辛い状態になってしまうということは良くわかります。ただ命をかけなければいけないほどの借金というものはありません。これまで数多くの債務整理をいろいろな場所で手掛けてきましたが、弁護士がしっかりと手続をすることにより、問題を解決して生活再建に繋げてきています。

借金で自殺する必要は全くありません。今では無料で債務整理の相談をしてくれる窓口がたくさんありますので、まず相談することを考えてみてください。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.25更新

河北新報にて、特殊詐欺で現金500万円をだまし取られたものの、8年越しで全額の回収に成功したことが記事に掲載されています。

記事によれば、500万円を会社代表者Aに騙された被害者が、お金を騙し取った民法上の不法行為等や会社法違反による損害賠償を求め提訴し、裁判自体はAが出頭せず早期に勝訴が確定しています。

ただし、回収に関しては、会社への動産執行等が功を奏さず一旦断念したとのことです。

このような詐欺案件については、会社等あってもそもそも営業実態がなく、会社に財産がないことは通常です。また詐欺を行なうために作った会社の代表者も、黒幕が便宜的に準備した末端の人間であることが多く(事実関係すらろくに把握していないことがよくあります)、代表者個人から強制執行することもままならないまま、回収を断念するに至ることも珍しいことではありません。

ただ、本件については、被害者の代理人である東弁護士が諦めることなく財産調査を行ない、Aの財産隠し(Aの親名義だった自宅を、Aへの相続を経ずに別の男性B名義に移転させる)を見逃すことなく法的手続を行ないました。その結果Aの親名義だった自宅を競売にかけることにより全額回収に至っています。

本件は被害者及び被害者代理人が、回収を諦めることなく、回収の可能性を探り、粘り強く数年かけて手続をかけた上での回収であり、なかなかできることではありません。ただこのように回収に繋がることもありますので、詐欺に遭われた方は泣き寝入りをせずにまずは弁護士への相談を行なって欲しいと思います。

なお、東弁護士は2007年に気仙沼ひまわり基金法律事務所に赴任したあと、5年の任期を経て定着され以後引き続き気仙沼の地で仕事を続けておられます。弁護士過疎地域において弁護士が長年活動を続けていなければ、このような被害者を救うことはできなかったでしょう。あらためて弁護士が真摯に弁護士過疎地域で活動し続けることの重要性を実感させられました。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.24更新

以前当ブログで、勾留請求却下率について、東京地裁では近年増加しており、検察官が勾留請求を行う場合でも認められないケースが増えてきたことを指摘しました。

https://www.okubo-lawyer.jp/blog/2017/09/post-6-511055.html

ただ、昨年末以来東京地裁では、身柄拘束について以前より慎重になる傾向があり、例えば保釈などでも保釈金の金額を従前より高額にしてきています。勾留請求却下についても、今後揺れ戻しになり却下率が減少するかもしれません。

また、検察官は従前通り、刑事訴訟法60条1項各号所定の勾留の各理由が乏しいにもかかわらず勾留請求することには変わりありません。

このような状況では、弁護人による活動により、勾留の理由がないことについての主張や疎明をすることが身柄解放のためには今まで以上に重要になっていると言えます。逮捕後の身柄拘束の長期化は、状況によっては犯罪による刑罰(罰金や執行猶予付き懲役など)より遙かに社会的なダメージが大きくなるものでありますので、逮捕後においてはいち早く弁護人についてもらい身柄解放に向けて動いてもらうことが必要です。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.23更新

弁護士業務上の工夫(続・タスク管理について)で、タスク管理についていろいろな流儀がある旨書かせていただきました。

私はデジタル派で、「todoist」というツールを使って管理していますが、アナログツールを使うやり方でもその人が使いやすければそれでいいと思います。

ただ、どのようなツールをつかうにしても、タスク管理について一元化し、ここを見ておけば他の場所を見なくても良いという形を作ることが重要です。タスク管理が分散してしまうと、結局見なくなってしまいます。

また、タスク管理については、定期的な見直しは必要だと思います。私の場合、週に一回全体的な見直しを行ない、どの日時にタスクを行なうかスケジュールに入れ込んでおきます。また、毎日朝に調整をおこない、進捗に応じてスケジュールおよびタスクの内容を見直しています。時間を当てなければタスクを行なうことはできないので、具体的に時間を割り振ることはとても重要だと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.20更新

メールやホームページでの連絡で、この事件であれば幾らになりますか、というご質問を良く受けます。幾つもの事務所にも同様の連絡をして価格比較をして決めたい、という方もしばしばいらっしゃいます。

この点、事務所のホームページでおおよその料金については公開しているので、まずはそちらを確認して欲しいとの案内をしております。

もっとも、実際の料金については具体的な事象を聞いた上でないとなかなか正確な数字を出せない場合が多いので、委任を検討されている方については直接の相談の上で見積もりを作成させていただくことをご提案いたします。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.18更新

NHKのニュースで、「入れ墨のタトゥーの彫り師をしている男性が医師の免許がないのに客にタトゥーを入れたとして医師法違反の罪に問われた裁判で、最高裁判所は検察の上告を退ける決定をし、無罪が確定することになりました」との報道がありました。

ツイッターでも「あの最高裁がここまで踏み込んだ意見を出すのが驚き。これは弁護団の並々ならぬ尽力による成果なのだと思います」と書かせていただいたとおり、画期的な判断であると考えます。裁判長の補足意見で、「タトゥーの施術による保健衛生上の危険を防ぐため法律の規制を加えるのであれば、新たな立法によって行うべきだ」との立法提言がなされていますが、刑事訴訟の最高裁判決がここまで踏み込んだ立法提言を行うことはなかなかありません。

いずれ最高裁のホームページ等で判決文が公開される事件だと思いますので、公開後当ブログに改めて紹介させていただこうと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.17更新

ホームロイヤー(主に高齢者や障がい者の方が感じている将来の生活や財産管理等に関する不安を解消するために,法律相談や財産管理などを通じて継続的な支援を行う弁護士のこと)について、弁護士の中でもそれほど周知度が無いということが先日ツイッター上で話題になりました。

私の所属する第二東京弁護士会でも案内を行っていますが、確かに周知は余りされていないかも知れません。当ブログでも3年くらい前に取り上げました。まだ後見等まで必要というまでもないものの、将来に備えて契約をしておくという方はいらっしゃいます。また、万一のことがあった場合に死後事務(私物の処理、デジタルデータの消去等)を行うということで契約するということもありうるかと思います。

私の場合、上記ホームロイヤーに限らず、日々の困りごと対策で個人顧問はコンスタントに受任しております。ご相談に応じてオーダーメイドしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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