弁護士大窪のコラム

2016.02.15更新

 過去に書いた事務所ブログの転載をしています。

 ちなみに旭川地裁名寄支部については、これが書かれたときから状況は全くよくなっていません。裁判期日や調停期日が2か月後3か月後になることも珍しいことではありません。

 こんな状況であれば、むしろ全手続を本庁のテレビ会議でやれるようなシステムにした方がマシかも知れませんが、そうしたIT関係のインフラにもお金を全くかけないんですよね、裁判所は。

(以下過去のブログ転載)

 2012年3月2日に,日本弁護士連合会で「全国支部問題シンポジウム」が開かれました。

 これは,日弁連が「支部の機能低下を食い止め、支部において「市民に身近で利用しやく、頼りになる司法」が実現するよう、各地の情勢と改善策について検討することを目的に開催」しているもので,今年で5回目となります。

 例えば道北地域では旭川市には旭川地方裁判所があり,旭川市周辺に住む人はこの裁判所を使い裁判などすることができますが,旭川から遠方に住む人は旭川地方裁判所の支部を使うことになります(旭川地方裁判所には,稚内,名寄,紋別,留萌の四つの支部があります)。

 ところが,支部は地方裁判所の本庁と異なり,裁判が出来る期日が限られるであるとか,出来ない事件があるなど様々な制約があります。旭川地方裁判所の各支部は日本の中でも最も制約が厳しい支部で,裁判官が一月に一回三日間の間だけしかいないため,その間にしか裁判を行うことができません。支部と言うよりも,出張所とたとえた方が良いかもしれません。

 裁判所の支部は市民が利用しやすい裁判所とは言えないのでは無いかという問題意識のもと,シンポジウムでは各地の抱える問題点について議論がなされました。

 本年の議論の内容については下記リンク先(ツイッターの投稿内容をまとめたもの)を参照して頂きたいと思いますが,5回のシンポを経ても,裁判所に大きな改善が見られたと言うことはありません。

 司法試験に合格した人数が増えているにもかかわらず,裁判官の数もほとんど増えてはいません。そもそも日本の司法予算が長年にわたって国家予算全体の0.4%ほどでしか無い状態が続いており(平成23年度は約3200億円であり,来年度は減額が予定されています),その限られた予算の中では人的にも物的にも裁判所を充実させることができないのでしょう。ただ,それでは地方に住んでいる人の「裁判を受ける権利」を守ることにはなりません。

 全国支部問題シンポジウム (togetter) http://togetter.com/li/266478

投稿者: 弁護士大窪和久

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