弁護士大窪のコラム

2025.06.12更新

皆さんもスマートフォンで日常的に写真を撮りますよね。美しい風景、美味しそうな料理、面白い出来事など、様々な瞬間を切り取ってSNSに投稿することも多いでしょう。そのとき、「この写真は自分の著作物だ」と意識することはありますか?
実は、スマホで撮影した写真が、必ずしも著作権法で保護される「著作物」と認められるわけではありません。
今回は、まさにその点が争われた裁判例(東京地裁令和5年7月6日判決)をご紹介します。

事件の概要:何が争われたのか?
この事件は、ある司法書士X氏が起こしたものです。
1. X氏は、ご自身が裁判所に申し立てた「発信者情報開示仮処分命令申立書」という書類一式をiPhoneで撮影し、その写真をTwitter(現X)に投稿しました。
2. すると、氏名不詳の発信者が、X氏が投稿したその写真を自身の投稿に添付し、「申立てをしたというなら、受付印を受けた控えの画像が出てくるのかと思ったのだが。」と、X氏の投稿内容を揶揄するような文章を投稿しました。
3. これに対しX氏は、「自分が撮影した写真の著作権が侵害された」などと主張し、プロバイダに対して発信者の情報開示を求めました。 
つまり、争いの出発点は「X氏がiPhoneで撮影した申立書類の写真は、そもそも著作権で保護される『著作物』なのか?」という点でした。

裁判所の判断①:その写真は「著作物」ではない
結論から言うと、裁判所はこの写真の著作物性を否定しました。 つまり、「著作物にはあたらない」と判断したのです。
著作権法では、「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義しています。 写真の場合、被写体の選定、構図やアングルの決定、光量の調整、シャッターチャンスの捉え方などに撮影者の「創作性」が表現されると考えられています。
では、なぜ今回の写真は「創作性」がないと判断されたのでしょうか。裁判所は、以下の点を指摘しています。
・ 構図がありふれている
 写真は、複数の書類を少しずらして重ね、その全体がだいたい収まるように真上から撮影した、ごくありふれたものでした。
• 撮影方法に格別の工夫がない
 光量、シャッタースピード、ズーム倍率などについても、撮影者であるX氏が特に工夫を凝らしたとは認められませんでした。
iPhoneをはじめとするスマートフォンのカメラは非常に高性能で、誰でも簡単に綺麗な写真が撮れるように、多くの設定が自動で調整されます。 そのため、ただ被写体に向けてシャッターを切っただけでは、撮影者の「思想又は感情」が「創作的に表現」されたとは言えなくなってしまう可能性があるのです。
この裁判所の判断は、「アイデアと表現の二分論」という知的財産権の基本的な考え方に基づいています。これは、「アイデア(着想)」そのものは皆で自由に利用できるものとし、それを具体的に「表現」した部分だけを保護するという考え方です。今回のケースで言えば、「申立書類の写真を撮って投稿する」というアイデアは保護されず、その具体的な「表現」である写真に創作性が認められなかったため、著作権による保護の対象外と判断されたわけです。

裁判所の判断②:「仮に」著作物だとしても「適法な引用」にあたる
さらに、裁判所はもう一歩踏み込んで、「仮にこの写真が著作物だったとしても」という仮定の上での判断も示しました。 結論として、発信者の行為は「適法な引用」にあたり、著作権侵害にはならないと判断したのです。
著作権法では、一定の条件を満たせば、他人の著作物を自分の著作物の中で利用することができます。これが「引用」です。裁判所は、今回のケースが以下の点から「引用」の条件を満たすと判断しました。
• 目的の正当性:発信者の投稿は、X氏が「申立てをした」と投稿しているにもかかわらず、その証拠となる写真に「受付印」がないことを批評する目的がありました。 このように、批評の対象を明確にするために写真を利用することは、正当な範囲内だと認められました。
• 公正な慣行:投稿の文脈から、一般の閲覧者が普通に読めば、写真の出所(撮影者がX氏であること)は分かると判断されました。 そのため、批評の目的や態様などを考慮すると、写真を添付したことは公正な慣行に合致していると認められたのです。
また、著作者の氏名を表示する権利(氏名表示権)の侵害についても、裁判所は同様の理由から、文脈上著作者が誰であるか明らかであるため、氏名の表示を省略することは許されると判断しました。

この裁判例から、次の二つの点を読み取る事が可能です。

1. 「自分で撮った写真=著作物」とは限らない

特に、何かの商品を記録したり、書類を複写する目的で真正面から撮影したりするなど、被写体をありのままに写しただけの写真は、創作性が否定されやすい傾向にあります。 自分の写真に著作権を主張するためには、構図、アングル、光と影の効果、背景の選択など、何らかの形で「自分ならではの創意工夫」が表現されている必要があります。

2. 他人の写真の利用は慎重に

今回のケースでは、結果的に著作物性が否定され、引用も認められました。しかし、これはあくまで個別の事案に対する判断です。安易に他人の写真をコピーして自分の投稿に使うことは、非常に高いリスクを伴います。もしその写真に創作性が認められれば、当然、著作権侵害を問われる可能性があります。
また、たとえ著作権侵害にならなくても、使い方によっては今回のように相手を揶揄したり、社会的評価を低下させたりする内容であれば、名誉毀損など別の問題に発展する可能性も十分にあります。
SNSが普及し、誰もが情報の発信者にも受信者にもなる時代だからこそ、写真一枚の取り扱いにも細心の注意が求められます。

投稿者: 弁護士大窪和久

2025.06.01更新

インターネット上に一度掲載された情報が、いつまでも残り続けることに不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に、過去の不名誉な情報が検索結果に表示され続けることは、社会生活を送る上で大きな負担となり得ます。
今回は、時間の経過などを理由として過去のブログ記事の削除が認められた裁判例(名古屋地方裁判所 令和6年8月8日判決)について、解説します。

1 はじめに
この判決は、記事が掲載された当初は問題がなかったとしても、時間の経過によって記事を掲載し続けることの正当性が失われる場合があることを示した点に特色があります。名誉毀損と表現の自由、そして「忘れられる権利」にも関連する論点を含んでいます。

2 事案の概要
あるブログサービス上に、原告が過去に代表取締役を務めていた会社(以下「本件会社」)に関する記事(以下「本件記事」)が掲載されました。 本件記事は、「本件会社が詐欺のように元本保証と高配当により資金調達を行っていたが突然閉鎖したようであり、計画的な倒産の可能性がある」といった内容でした。つまり、本件会社が詐欺的な行為をしていた可能性を示唆するものでした。本件記事が書かれるきっかけとなった新聞報道があり、本件記事掲載後、原告は本件会社の業務に関して出資法違反で有罪判決を受けています。
原告は、「この記事は名誉棄損であり、プライバシーも侵害している」と主張し、ブログ運営者である被告に対し、記事の削除を求めて裁判を起こしました。

3 争点
この裁判の主な争点は、「本件記事が原告の名誉権を侵害するかどうか」、特に「時間の経過によって、本件記事を掲載し続けることが法的に許されるのかどうか」という点でした。
 原告は、「記事が掲載されてから10年以上が経過しており、もはやこの記事を公衆の目に触れさせ続ける公共の利益はほとんどない。記事の公共性は失われている」と主張しました。
被告は、「記事の内容は、原告が有罪判決を受けた事実などから真実であり、会社の信用性に関する情報として引き続き重要だ。公共性も公益目的も認められるため、公正な論評として保護されるべきだ」と反論しました。

4 裁判所の判断
裁判所は、以下の点を考慮し、原告の請求を認めて記事の削除を命じました。

(1)名誉毀損の成立
まず、本件記事が「詐欺のような」「詐欺の可能性が高い」といった表現を用いていることから、原告の社会的評価を低下させるものであると認定しました。
(2) 本件記事の前提事実が公共の利害に関する事項にあたらない
裁判所は、名誉毀損にあたる表現の差止めは、表現の自由との関係で慎重に判断する必要があるとしつつ、意見や論評の差止めが許される場合を限定的に示しました。具体的には、その意見や論評が公正な論評に当たらないことが明白であり(公共の利害に関するものでない、公益目的でない、前提事実が真実でない、人身攻撃に及んでいるなど)、かつ被害者が重大で著しく回復困難な損害を被るおそれがある場合に限られるとしました。
裁判所は、本件記事が掲載された当初は、前提となる事実に真実性があり、公共性や公益目的も認められ、公正な論評に当たるものであったと判断しました。
しかし、以下の事情から、時間の経過とともに状況が変化したと指摘しました。
・有罪判決の言い渡しから9年半以上、記事掲載からも11年以上が経過していること。
・有罪判決の執行猶予期間は既に満了し、刑の言渡しは効力を失っていること。
・記事で引用されていた元の新聞記事も、インターネット上で一般的に閲覧できなくなっていること。
・本件会社や原告に関する刑事手続きが終了した後も、長期間にわたって閲覧され続けることを想定して投稿されたとは認め難いこと。
・本件会社の行為が、記事掲載後も継続的に社会の関心事となっているような事情は見当たらないこと。
これらの点を総合的に考慮し、裁判所は、本件記事が前提とする事実は、口頭弁論終結日(裁判の最終段階)の時点においては、もはや公共の利害に関する事項に当たるとはいえないことが明白であると判断しました。

5 結論
以上のことから、裁判所は、本件記事の掲載を続けることによって原告が著しく回復困難な損害を被るおそれがあると認め、被告に対し、本件記事の削除を命じる判決を下しました。

6 本判決の意義
この判決は、インターネット上に掲載された過去の記事による名誉毀損について、「時間の経過」という要素が、記事の公共性を判断する上で極めて重要になることを明確に示した点で大きな意義があります。
たとえ掲載当時は真実であり公共性があったとしても、時が経つにつれてその情報が社会的な関心を失い、個人の名誉やプライバシーを不当に害し続ける場合には、記事の削除が認められる可能性があることを示唆しています。
インターネット上の情報は半永久的に残り、拡散する可能性があります。 このような特性を踏まえ、過去の情報による権利侵害と表現の自由のバランスをどのように取るべきか、改めて考えるきっかけとなる重要な判例といえるでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

2025.05.08更新

インターネット上の電子掲示板における投稿に関し、ファイル転送サービスのダウンロードURLを公開する行為が著作権(公衆送信権)侵害にあたるとして、プロバイダに対する発信者情報開示請求が認められた裁判例(東京地方裁判所判決/令和7年3月7日。以下「本判決」といいます。)について、事案の概要と本判決の意義について解説いたします。
1.事案の概要
本件は、原告が、インターネットの動画共有サイトであるYouTubeやツイキャスにおいて動画配信活動を行っていたところ、そのうち有料会員限定で配信した動画(本件配信動画)の一部を複製した動画ファイル(本件動画ファイル)が、無料大容量ファイル転送サービス「ギガファイル便」にアップロードされ、そのダウンロード用URL(本件URL)が被告の提供するインターネット接続サービスを介して、氏名不詳者(本件投稿者)により電子掲示板に投稿・公開された事案です。
原告は、本件記事の投稿により、有料会員限定であった本件配信動画が無料でダウンロードできる状態に置かれ、原告の営業活動上の利益が侵害されたこと、及び本件配信動画に係る著作権(公衆送信権)が侵害されたことが明らかであるとして、本件投稿者との契約関係に基づきその氏名、住所等の情報を保有する被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)第5条第1項に基づき、本件投稿者の発信者情報の開示を求めたものです。
2.争点
本件における主な争点は、本件記事の投稿によって、原告の権利(特に著作権)が侵害されたことがプロバイダ責任制限法第5条第1項にいう「明らか」といえるかという点でした。
被告は、著作権侵害の主張に対し、以下の点を反論として主張しました。
• 本件投稿者が本件動画ファイルをギガファイル便にアップロードした者と同一人物であるかは明らかでない。
• 仮に本件投稿者がアップロード者と同一人物でない場合、本件動画ファイルがギガファイル便にアップロードされた時点、あるいは本件URLがアップロード者によって第三者に公開された時点で既に「送信可能化」は完了しており、本件記事の投稿によって重ねて送信可能化がされたとはいえない。
• したがって、本件投稿者が著作権侵害を幇助したことも明らかではない。
3.裁判所の判断
裁判所は、以下のとおり認定・判断し、原告の請求を認めました。
(1) 事実認定
• 原告はツイキャスにおいて有料会員限定の動画配信を行っており、本件配信動画は有料会員のみが視聴できる動画であった。
• 本件配信動画は、原告の見解発信等を含み、一定の創作性を有する映画の著作物にあたり、著作権者は原告であると認められる。
• 本件動画ファイルは、本件配信動画の大部分を録画したものであり、本件配信動画の複製物である。
• ギガファイル便は、ファイルをアップロードした際に生成される固有のダウンロードページURLを知らないと、ファイルをダウンロードできない仕組みである。また、アップロードされたファイルのファイル名等からURLを検索する機能は設けられていない。
• 本件記事が投稿されるまでの間、本件URLがインターネット上で公開されるなど、不特定又は多数の者に知られていた事実は認められない。
• 本件記事は、原告のチャンネル名や本件配信動画の内容を示す記載とともに本件URLが記載されており、これに接した者が本件URLから本件チャンネルの動画をダウンロードできると理解できるように記載されていた。
(2) 著作権侵害に関する判断
裁判所は、上記の事実認定を踏まえ、以下のように判断しました。
• ギガファイル便にアップロードされた本件動画ファイルは、本件記事の投稿の前には、不特定又は多数の者からの求めに応じ自動的に送信されることはなかった。
• しかし、本件記事が投稿され本件URLが公開されたことによって、不特定又は多数の者が本件動画ファイルをダウンロードすることができるようになり、「自動公衆送信」される状態に至った。
• 本件投稿者が本件動画ファイルをギガファイル便にアップロードした本人であるか否かは明らかではないとしながらも、本件投稿者は、本件記事を投稿し、本件URLを公開することによって、不特定または多数の者が本件動画ファイルをダウンロードすることを可能にしたものと認定しました。
• これは、不特定または多数の者が、インターネットを通じて(求めに応じて)著作物を自動的に受信できる状態にする行為、すなわち公衆送信権侵害(送信可能化)に該当すると判断しました。
• そして、本件動画ファイルが本件配信動画の複製物であり、著作権者の許諾を得ていないことは明らかであることから、本件記事の投稿は原告の著作権(公衆送信権)侵害を直接的にもたらしており、「侵害情報の流通によって」原告の著作権が侵害されたことが明らかであると結論づけました。
(3) 情報開示の正当理由に関する判断
裁判所は、原告が本件投稿者に対して損害賠償請求権等を行使する予定であることが認められ、そのために発信者情報の開示を受ける必要性があることから、原告にはプロバイダ責任制限法第5条第1項第2号に定める「当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由」があることを認めました。
4.結論
以上の判断に基づき、裁判所は原告の請求を全面的に認め、被告に対し、本件投稿者の氏名、住所、電話番号、メールアドレスといった発信者情報を開示するよう命じる判決を下しました。
5.本判決の意義
本判決は、無料ファイル転送サービスに違法にアップロードされた著作物のダウンロードURLを電子掲示板等に投稿し公開する行為について、以下の重要な法的示唆を与えています。
• ファイルをアップロードした者とURLを投稿した者が同一であるか否かに関わらず、URLを投稿・公開する行為自体が、不特定多数の者が当該ファイルにアクセスしダウンロードすることを可能にする行為として、「送信可能化」に該当し、著作権(公衆送信権)侵害となり得ることを明確に示しました。
• URL公開前は不特定多数がアクセスできない状態であったものが、URL公開によってアクセス可能となった場合、URL公開行為が著作権侵害の状態を完成させる行為として評価されることを示しました。
本判決は、ファイル共有サービスにおける違法アップロードへの関与形態のうち、特にダウンロードURLの公開行為に対する法的評価を明確にしたものであり、今後の著作権侵害事案における発信者情報開示請求の実務に影響を与える可能性のある裁判例であると考えられます。
インターネット上での情報発信は自由ですが、他者の著作権を侵害するコンテンツのダウンロードURLを安易に公開する行為は、違法な「送信可能化」行為として法的責任を問われる可能性があることを改めて認識する必要があります。

投稿者: 弁護士大窪和久

2025.04.19更新

2024年5月17日に、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)の改正案が公布され、法律名も特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(情報流通プラットフォーム対処法)となりました。この情報流通プラットフォーム対処法は、公布から1年以内の施行と定められていましたが、2025年4月1日に施行されました。

情報流通プラットフォーム対処法への改正の趣旨は、誹謗中傷等のインターネット上の違法・有害情報に対処するため、大規模プラットフォーム事業者に対して対応の迅速化、運用状況の透明化にかかる措置を義務づけるというものです。大手SNSや匿名掲示板においてなされた誹謗中傷の投稿について削除請求をしたとしても、削除請求の窓口が分からなかったり、削除請求を行っても何ら回答がなかったりすることがありました。また、そもそも投稿削除の基準も明らかにされていないことも多かったです。こうした問題に対して改善を図るために法改正がなされました。

情報流通プラットフォーム対処法により、対応の迅速化のための措置として、削除申出窓口の整備公表、削除申出への対応体制の整備、削除申出に対する結果の原則14日以内の通知がなされることになりました。

また、運用状況の透明化のための措置として、削除基準の策定・公表、削除した場合の投稿者への通知がなされることになりました。

さらに、情報流通プラットフォーム対処法では、大規模プラットフォーム事業者に対して、運営者の氏名(名称)及び住所、法人の場合には代表者の氏名を届出ることが義務化されました。特に匿名掲示板では運営者の素性すらわからないことがありましたが、改正法の届出義務により、運営者は素性を明らかにしなければいけなくなりました。

情報流通プラットフォーム対処法の施行により、これまでよりは誹謗中傷に対する対応が改善されることが期待されます。また、匿名掲示板の運営者の届出義務化により、投稿削除仮処分・訴訟がやりやすくなる可能性もあります。

情報流通プラットフォーム対処法が施行されたため、従前対応してくれなかった誹謗中傷の投稿に対しても、改めて削除請求を行なうことが考えられます。

投稿者: 弁護士大窪和久

2024.09.11更新

発信者情報開示事件の裁判実務の改善のために事例集積を行う目的で、この度第二東京弁護士会でアンケートをとることになりました。

(全国の弁護士対象)発信者情報開示に関するアンケート回答ご協力のお願い

本アンケートは私の所属する消費者問題対策委員会で企画を行ったものです。

改正プロバイダ責任制限法改正以後、委員会内の弁護士で経験した発信者情報開示手続に関する事案の中では、コンテンツプロバイダの中には発信者情報開示手続に適正に対応せず、その結果手続上の問題が生じているように思われる例が多くありました。問題としては次の様なものがあります。

・発信者情報の提供命令が発令されても、コンテンツプロバイダがこれに応じない

・コンテンツプロバイダの代理人が訴訟委任状を提出しないまま、代理人として事実上出頭を続ける。

・発信者情報開示事件の決定がなされた場合でも、コンテンツプロバイダがこれに応じない。

こうした問題について解決する必要があると考えますが、そのためにはまず問題事案の集積が必要となるので、この度アンケートの実施に至っております。発信者情報開示手続に携わる先生方のご協力を頂ければと思います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2024.06.05更新

2023年1月に、株式会社エンリケ空間・株式会社エンリケスタイル及びその関係会社による被害の救済等を目的とした「エンリケ空間・エンリケスタイル被害弁護団」を結成し、現在も活動を行なっています。弁護団で受任した方の関係で適宜交渉・訴訟等必要な手続を行なっております。

当弁護団では、エンリケ空間・エンリケスタイルが運営していたサロンが名を変えた「Reve beauty salon渋谷店」において、月に一度SNSでサロンの情報を拡散すればNEOマーケティングという会社から毎月一定額の報酬が受けられる、かわりにPRエージェント加盟金として一定額が引き落とされるが、差額が利益になるうえ、エステも無料で受け続けられるようになるとの勧誘がなされた、しかしNEOマーケティングからの支払が滞っているとの相談を複数受けております。本件についても、弁護団として相談を受けますのでお問い合わせください。相談費用は無料とさせて頂いております。

また委任の場合の費用については、弁護団サイトに記載をしておりますのでご確認ください。

投稿者: 弁護士大窪和久

2024.03.07更新

私の所属する第二東京弁護士会で、「国際ロマンス詐欺その他投資詐欺案件の依頼にあたってのご注意」という文章が掲載されています。

https://niben.jp/news/ippan/2024/202402153940.html

同文章では、国際ロマンス詐欺や、その他投資詐欺案件について「・出資金の返還交渉を弁護士に委任し、着手金を支払ったが高額に過ぎる ・弁護士に高額の着手金を支払ったものの事務員が対応するのみで進展がない ・弁護士に委任した後、委任契約の解除を求めたが対応してもらえないといった相談が、当会の市民相談窓口に数多く寄せられています。」「国際ロマンス詐欺、その他投資詐欺の被害に遭われ、被害の回復を弁護士に依頼する方は、依頼する予定の弁護士から、事件処理の進め方、被害回復の可能性を含めた見通し、これらを踏まえた着手金・報酬金の妥当性について十分な説明を受けた上で依頼の検討をいただくよう、お願いいたします。」と弁護士に対しての注意喚起がなされています。

私も詐欺案件の相談はよく受けますが、相談者から、先に相談した弁護士から呈示された見積額について疑問があり、費用を支払って弁護士に委任した場合に回収できるのかどうかということを聞かれることもあります。

投資詐欺案件、特に最近流行しているSNSグループ内で投資を薦められて詐欺に遭った案件については、詐欺を行なった相手の連絡先がLINEしか分からない、入金手段も銀行口座を指定されてはいるが口座の名義人についての素性を知らないというのが通例となっております。

詐欺を行なった相手の連絡先がLINEしか分からない場合、詐欺師を特定することは事実上困難(LINEの運営会社が弁護士会照会に応じず回答しない等の事情による)で、詐欺師に対する裁判を行なうことも困難です。

また、銀行口座については振り込め詐欺救済法による銀行口座から被害金の支払が得られる可能性はありますが、詐欺を行なった相手は銀行口座からすぐに出金してしまうことが通例です。また、銀行口座に被害金が残っていたとしても、振り込め詐欺救済法による被害金の支払は被害者間で公平に行なわれますので、被害者多数の場合にはほとんど支払が得られないというケースもあります。

こうした事情から、投資詐欺案件に弁護士に依頼して回収できるかという点については数々のハードルがあり、回収可能性が高いとは言えません。

特に最近流行しているSNSグループ内で投資を薦められて詐欺に遭った案件については、加害者の特定ができず回収が難しいことが殆どです。そのため、法律相談の結果、詐欺事件として警察に届け出をした上、口座を凍結させて振り込め詐欺救済法による被害金の支払を待つことを選ぶ方も多いです。私が依頼を受けたケースでも、回収できた場合でも一部に留まり、残念ながら全額回収に至ったケースはありません。

弁護士に投資詐欺案件について相談する場合、回収可能性については弁護士本人から直接しっかりと確認した上、委任するかしないか判断して頂ければと思います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2024.02.10更新

今後、刑事弁護を受ける場合の刑事弁護費用について、より分かりやすい形にするという目的のため、費用を改訂しましたのでご報告致します。

http://keiji.sakuragaoka.gr.jp/fee/

〇弁護士費用について
桜丘法律事務所では、刑事事件を、①事案簡明な事件、②困難事件、③通常事件の3種類に分類し、さらにそれを、起訴前と起訴後の弁護に分けて、着手金と報酬を定めています。

①事案簡明な事件とは、 争いのない在宅事件で過去5年内の前科のない事件をいいます。但し報道等で世間の耳目を集めた事件、人が亡くなった事件、被害金額が300万円を超える事件、その他特別な事情がある場合を除きます。
②困難事件とは、被害者が亡くなった事件、裁判員裁判の対象となる罪名の事件、被害者が4人以上の事件、その他困難と認められる事情がある事件をいいます。
③通常事件とは、上記①②に該当しない事件をいいます。

※表示されている金額は全て消費税込となります。

〇相談料
現に身体拘束されている被疑者のご親族あるいはこれに準ずる方からの相談の場合、初回1時間まで無料です。
それ以外の方の場合、初回相談料は30分5,500円です。
継続相談の料金については担当弁護士にお尋ねください。

〇接見費用(受任前)
33,000円(交通費別)
受任した場合,着手金に充当します。

〇着手金・報酬金
1 事案簡明な事件
(1)起訴前の場合
 着手金 33万円
報酬金 略式罰金の場合33万円、不起訴の場合55万円
(2)起訴後の場合
 着手金 33万円(ただし起訴前から継続の場合は16万5000円)
 報酬金 執行猶予の場合33万円、刑の減軽の場合22万円

2 通常事件
(1)起訴前の場合
 着手金 44万円
 報酬金 略式罰金の場合33万円、不起訴の場合55万円
(2)起訴後の場合
 着手金 44万円(但し起訴前から継続の場合は22万円)
 報酬金 刑の減軽の場合33万円、執行猶予の場合44万円、無罪の場合165万円~
※無罪の場合の報酬金の具体的金額は、事案の性質により協議にて定めます。

3 困難事件
(1)起訴前の場合
 着手金 110万円~
 報酬金 略式罰金の場合77万円、不起訴の場合110万円~
※着手金および不起訴の場合の報酬金の具体的金額は、事案の性質により協議にて定めます。
(2)起訴後の場合
 着手金 110万円~(ただし起訴前から係属の場合は55万円~とします)
 報酬金 刑の減軽の場合110万円、執行猶予の場合110万円~、無罪の場合330万円~
※着手金および執行猶予の場合の報酬金、無罪の場合の報酬金の具体的金額は、事案の性質により協議にて定めます。

〇再逮捕がなされた場合
1逮捕ごとに11万円の手数料を加算します。

〇受任後の接見日当
 初回逮捕に続く勾留(20日まで)あたり5回までは請求しません。5回を超える場合は頻回接見として1回あたり都区内2~4万円、都下近県3~5万円、遠隔地応談の接見日当を請求いたします。
再逮捕以降の接見については全ての接見につき上記接見日当を請求いたします。

〇身柄解放活動(勾留に対する準抗告、保釈請求等)
 身体拘束解放活動は、原則として追加の手数料を請求しませんが、起訴前起訴後を通じて5回を超える場合は、6回目から、1回につき11万円の手数料を請求いたします。

〇示談交渉活動
 示談交渉活動により示談成立した場合、1件ごとに11万円の手数料を請求いたします。

〇出張日当 
 東京地裁本庁以外の警察署、裁判所等に出頭する場合、その時間距離に応じて下記の通り出張日当を請求いたします(下記の時間には事務所からの移動時間を含みます)。
3時間以内 3万3000円
6時間以内 5万5000円
6時間を超える場合 5万5000円に1時間毎に1万1000円を加算します。

〇実費
交通費、コピー代・その他弁護活動に必要な費用)は実額を頂きます。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2024.01.01更新

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

私の所属している桜丘法律事務所は1月5日から事務所の営業を開始いたします。

投稿者: 弁護士大窪和久

2023.08.17更新

2023年5月10日に、保釈制度に関連し、刑事訴訟法等の一部を改正する法律が成立しました。本法律では、保釈により釈放された被告人が公判廷へ出頭させることを確保することが目的となっており、以下のような内容が定められています。これら改正により、今後の保釈に関しては監督者の定めが必要となることは多くなると思われます。出頭確保の法整備がなされたからといって保釈が認められやすくなるかどうかについては今後の裁判所の運用を見なければわかりませんが、弁護人の活動としては出頭確保がなされていることから保釈が認められるべきであるとして積極的に保釈請求等を行なうことになっていくでしょう。

1 保釈をされた被告人の公判期日への出頭等を確保するための罰則の新設

保釈等をされた被告人の公判期日への不出頭罪(刑訴法第二百七十八条の二)、保釈等をされた被告人の制限住居離脱罪(刑訴法第九十五条の三)、保釈等の取消し・失効後の被告人の出頭命令違反の罪(刑訴法第九十八条の二、第九十八条の三、第三百四十三条の二、第三百四十三条の三)が新設されました。法定刑はいずれも2年以下の拘禁刑とされています。

2 保釈をされている被告人に対する報告命令制度の創設

裁判所は、被告人の逃亡を防止し、又は公判期日への出頭を確保するため必要があると認めるときは、保釈を許す決定を受けた被告人に対し、「その住居、労働又は通学の状況、身分関係その他のその変更が被告人が逃亡すると疑うに足りる相当な理由の有無の判断に影響を及ぼす生活上又は身分上の事項として裁判所の定めるものについて報告をすることを命ずることができるもの」とされました。そして、報告を命ぜられた被告人が、正当な理由がなく報告をせず、又は虚偽の報告をした場合には、保釈の取消し及び保証金の没取が可能となります(刑訴法第九十五条の四、第九十六条第一項等)。

3 保釈をされている被告人の監督者制度の創設

裁判所は、保釈を許可する場合に、必要と認めるときは、適当と認める者を、その同意を得て監督者として選任することができることとなりました。そして、裁判所は監督者に対して被告人と共に出頭することや、被告人に関する報告を命じることができます。また、監督者が選任される場合に定める監督保証金について、監督者が裁判所の命令に違反した場合監督保証金の没取及び保釈等の取消し等がなされることになります(刑訴法第九十八条の四、第九十八条の八、第九十八条の九等)。

4 拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告後における裁量保釈の要件の明確化

拘禁刑以上の刑に処する判決の宣告があった後は、裁量保釈の為には、刑訴法90条に規定する不利益その他の不利益の程度が著しく高い場合でなければならないものと明文化されました。ただし、保釈された場合に被告人が逃亡するおそれの程度が高くないと認めるに足りる相当な理由があるときは、この限りでないものとされています(刑訴法第三百四十四条第二項)。

5 控訴審における判決宣告期日への被告人の出頭の義務付け等

控訴裁判所は、拘禁刑以上の刑に当たる罪で起訴されている被告人であって、保釈等をされているものについては、判決を宣告する公判期日への出頭を命じなければならないものとしました。ただし、重い疾病又は傷害その他やむを得ない事由により被告人が当該公判期日に出頭することが困難であると認めるときは、この限りでないものとされています。(刑訴法第三百九十条の二)なお、控訴裁判所は、上記被告人が判決を宣告する公判期日に出頭しないとき等においては、無罪等の言渡しをした原判決に対する控訴を棄却する判決等以外の判決を宣告することができないものとされました。ただし、 ただし書に規定する場合であって刑の執行のためその者を収容するのに困難を生ずるおそれがないと認めるとき等においては、この限りでないものとされています(刑訴法第四百二条の二)。

6 位置測定端末により保釈されている被告人の位置情報を取得する制度の創設

裁判所は、保釈を許可する場合、被告人が国外に逃亡することを防止するため、位置測定端末(GPS)をその身体に装着することを命ずる(位置測定端末装着命令)ことができることができるようになりました(刑訴法第九十八条の十二第一項)。位置測定端末装着命令が発令される場合、飛行場又は港湾施設の周辺の区域その他の位置測定端末装着命令を受けた者が本邦から出国する際に立ち入ることとなる区域であって、当該者が所在してはならない区域(所在禁止区域)を定めるものとされています(刑訴法第九十八条の十二第二項)。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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