弁護士大窪のコラム

2020.09.02更新

ITmediaの記事によれば、最新のiOSの更新により、

「iOS 13.7以降では、各国の公衆衛生当局(日本では厚生労働省)がExpressの採用を決めれば、ユーザーは接触通知アプリ(日本では「COCOA」)をインストールしなくても、[設定]で「接触通知」を有効にすれば接触通知を受けられるようになる」

となるそうです。

新型コロナウイルスの陽性者との接触に関しては、各国で接触通知アプリが開発・運用されていますが、ダウンロードして使われないことにはその役割を果たせないという難点があります。日本の「COCOA」でも、そもそもダウンロード率が想定よりも低いといった問題点が指摘されています。今回のiOSのアップデートはその問題点をクリアするものです。

もっとも、日本で利用されるためには厚生労働省がAppleとGoogleが5月に提供を開始した接触通知システムであるExpress(Exposure Notification Express)を採用することが必須であり、現時点ではまだ「COCOA」をダウンロードして利用していくことは必要でしょう。

【追記】

日本ではこの機能が使えない(厚労省が使わせない)とのことです。大変残念。

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.09.01更新

2020年8月31日(昨日)付けで、インターネットでの投稿を行なった発信者の電話番号を特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)の発信者情報開示の対象に追加する内容の総務省令が交付・施行されました。

詳細についてはこちらのURLの通りです。

SNS等で電話番号を登録させ、運営先は電話番号を把握している場合でも、今まではプロバイダ責任制限法に関する総務省令で、開示の対象に電話番号が含まれていないことから開示をさせることは困難でした。

今後は開示の根拠が法的に明確に定められましたので、投稿者の特定がより容易になったと言えます。

現在「発信者情報開示の在り方に関する研究会」において発信者情報開示についての議論が行なわれており、今回の総務省令の改正はその議論をふまえたものとなります。今後も制度については変わる可能性が高く、チェックしていく必要はあるでしょう。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.08.28更新

 3年ほど前に当ブログにて弁護士業務上の工夫としてクラウド上のタスク管理サービスの利用について紹介させていただきました。

弁護士業務上の工夫(タスク管理について)

 タスク管理については、弁護士によって流儀があり、アナログ派(手帳に書き込みをおこなって管理する)もいれば、私のようなデジタル派もいます。いずれのやり方でも自分にあったやり方があると思いますが、これからタスク管理を始めるという方にはデジタルによる管理を進めています。アナログでの管理では、そのタスクが書かれた紙や手帳を見失うとやることが分からなくなってしまうという重大な欠点があるからです。デジタルでは紛失することはあり得ません。

 もっとも、デジタルの管理の弱点として、私用しているサービスが終了してしまうという点があります。先のブログ記事で紹介したサービス「wunderlist」は、運営会社がサービスについてマイクロソフトに譲渡し、その後サービス自体も終了してしまいました。マイクロソフトとしては自社のtodoサービスを利用してもらいたいためwunderlistのデータが流用できるようにしていましたが、私はマイクロソフトのサービスは使っていません。

 私はwunderlistの後、別のサービス「todoist」を利用しています。このサービスではwunderlistでできたことはほぼできますし、グーグルカレンダーとの連携も非常に優秀ですので、タスクをやる日時を指定して調整することができます。タスクは入れっぱなしではなく、いつどこでやるかを決めるのが非常に重要ですので、カレンダーとの連携は大変ありがたいです。

 今後もタスク管理については本ブログにて紹介していきたいと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.08.19更新

このブログを作成する前に各所で書いていた投稿記事についてこちらで過去記事の形で再掲載させていただきました。

過去の記事を読んでみると、今では事情がかわっていることもあったり、相変わらず問題が残っている点もあったりと、改めて色々な発見がありました。

今後は改めてこちらのブログを中心に弁護士の業務に関する情報を発信し続けていこうと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.07.31更新

東京ミネルヴァ法律事務所破産被害対策全国弁護団が立ち上がりました。私も弁護団員として活動しております。

弁護団の詳細については下記URLのホームページをご確認下さい。

https://www.tkyminerva-dmg.net/home

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.07.25更新

 新型コロナウイルス感染症に伴い、収入が減少してしまったという方は多いですが、そのような弱みにつけ込んだ悪質商法が後を絶ちません。

 国民生活センターによれば、受給資格のない人に持続化給付金の不正受給を持ちかける勧誘が多数報告されているとのことです。持続化給付金の受給申請の為には自らが事業を行なっていることが必要ですが、「サラリーマンでも無職でも100万円の持続化給付金が受け取れる」「事業をしていることにして、申請を代わりに行なう会社にお願いすれば持続化給付金がもらえる」などといって、本来であれば受給資格の無い人に勧誘をかけます。その上で、勧誘に乗ってしまった人から受給した持続化給付金の何割かを手数料として受け取るというものです。

 このように、受給資格が無いにも関わらずあたかも事業者を装い受給資格があると偽って持続化給付金の給付申請を行なうことは詐欺罪に該当しますし、誘いを持ちかけた方が逃れてしまい、申請者のみが犯罪の責任を問われるということは十分あり得ます。まったく割に合わない行為ですので絶対に誘いに乗らないようにしてください。

 また、東京都消費生活総合センターによれば、「新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減ったため、副業や内職を探していたらトラブルにあった」という相談が増加しているとのことです。パターンとしては、動画サイトの広告やランキングサイト等をみて事業者のサイトでSNS登録をするよう促され、やりとりをする中で高額な情報商材を売りつけられるといったもののようです。以前から情報商材として、最初は安い1万円から数千円程度のものを売り、興味を持った人に数十万円以上の価格のもの(内容は宣伝とはかけ離れた物であることが多いです)をカードを使わせるなどして売りつけるというトラブルはありますが、新型コロナウイルスで収入が減少したところを狙われているようです。情報商材で「簡単に稼げる・儲かる」と言われて実際に儲かるものは皆無といっても過言ではありません。通常であればそのような話には引っかからないところ、現在のような状況ではつい引っかかってしまうということもあるでしょう。

 紹介してきた悪質商法については最初から関わらないのが一番ですが、取引に応じてしまった様な場合については、少しでも被害を少なくするために早めに消費者センターや法律事務所に相談して、問題を解決するようにすることを強くお勧めいたします。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.07.03更新

 新型コロナウイルスに便乗した詐欺事件が増加しています。朝日新聞の報道によれば、新型コロナウイルスに便乗した詐欺事件(未遂を含む)の被害は今年の3月上旬から5月17日までの間に、16都道府県で39件確認されており、被害額は約3550万円にのぼっているとのことです。

 典型的な手口としては、特定定額給付金の手続の代行を行なうのでATMに手数料の振り込みを求めるであるとか、申請手続のために口座番号・暗証番号等個人情報を聞き出すなどです。そもそも特定定額給付金の申請は市町村から各世帯へ郵便で送付される申請書に記入し申請するか、「マイナポータル」によるオンライン申請のいずれかしかありません。また、役所の担当者が申請手続のために手数料の振り込みを求めるであるとか、個人情報を聞き出すということは絶対にありません。

 上記のような電話やメールなどが来た場合、まず間違いなく詐欺ですので警察や消費生活センター等に相談することをお勧めいたします。また、仮に実際に手数料の振り込みを行なってしまったりした場合でも、早期の段階であれば振り込め詐欺救済法による銀行口座凍結等により、被害回復ができる場合もありますので、なるべく早めに相談にいくことをお勧めいたします。

 また、給付金等の支給を受けられると騙った偽サイトにも注意が必要です。既に行政機関を騙った偽サイトが多数存在しているようです。また、サイトだけではなく偽の申請アプリ等が出現する可能性も否定できません。これらのサイト等はクレジットカード情報等を取得した上でそれを盗用するためにつくられているものです。給付金の支給のためにクレジットカード情報を入力する必要はありませんので、絶対に入力しないで下さい。仮に入力してしまった場合でも、早期であればカード会社によるチャージバックの手続などにより被害を防げる場合もありますので、なるべく早めに警察や消費生活センター等に相談することをお勧めいたします。

 上記の手口以外にも、新型コロナウイルスに便乗した詐欺の発生することが懸念されています。不審な電話やメールがきたり、不審な人物が自宅に訪問してくるような場合には、その場で何かを決めるのではなく、家族、知人、あるいは消費生活センター等に相談しましょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.05.26更新

 インターネットに関する相談の中で、近年一番多いのがSNSによる誹謗中傷になります。SNSによる投稿は匿名で行うことができ、かつ匿名で行った投稿が誰のものかについては少なくともすぐには判明しないことから、それをいいことに誹謗中傷を行う人が後を絶ちません。

 SNSで誹謗中傷されたときに、やってはならないことがあります。それは「誹謗中傷の投稿に対してインターネット上で反応してSNSで投稿をしてしまうこと」です。

 誹謗中傷の投稿を行う人が期待しているのは、投稿の対象者が自分の投稿に対して何らかの反応をすることです。そしてその投稿を燃料として、更に誹謗中傷の投稿を重ねていくことになります。またその様子をみていた第三者が、加えて誹謗中傷の投稿を行い、炎上がどんどん続いていくことになります。誹謗中傷の投稿に対して反論を加えたくなる気持ちは理解できますが、かえってインターネット上の炎上を広げてしまう危険があります。

 また、誹謗中傷の投稿に対して、法的手続をとると言及することも実はリスクがあります。誹謗中傷の投稿の投稿者の特定を行うとしても、SNSの運営者やプロバイダに対して開示請求を行うにも時間がかかります。法的手続を実際に進めていたとしても、それが相手には分からないため、「口だけで何もしてこない」と書かれた上更に炎上してしまうことがあります。仮にインターネット上で誹謗中傷の投稿に対して法的手続の報告をとるとしても、投稿者を特定して法的手続をとった後にした方が無難です。

 SNSで誹謗中傷がされたときにはそれに対して反応してすぐ投稿を行うよりも、運営者に対して誹謗中傷の報告を行ったり、法的手続をとることの方が効果的です。法的手続を弁護士に依頼すれば投稿削除や被害回復へ繋げていくこともできますので、まず弁護士に相談されることをお勧めいたします。

(弁護士 大窪 和久)

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.03.18更新

 2020年4月1日より改正民法が施行されます。今回の改正は大規模改正であり多くの点が変わっておりますが、その中でも特に気をつけておく必要のある消滅時効の期間の変更について簡単に説明致します。

1 消滅時効期間の変更

 消滅時効とは、権利を行使しないまま一定期間が経過した場合に、その権利を消滅させる制度です。これまでは、原則として「権利を行使することができる時から10年」経過した場合に消滅時効が成立することになっていました。但し、例外が多数定められていました。例えば飲み屋のツケは1年で時効が成立したり、弁護士報酬については2年で時効が成立するということになっていたのです。

 改正後は、シンプルに統一化し、消滅時効期間は原則として「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年」となりました。例えば貸金の場合、契約上返済期限は定まっているのが通常ですから、返済期限がきてから5年間経過してしまうと消滅時効が成立してしまい貸主が返済を求めることができなくなってしまいます。

2 生命・身体の損害による損害賠償請求権の時効期間の特則

 法改正により、生命・身体の損害が生じた場合の損害賠償請求については、通常より時効期間を延長させる(消滅時効期間を「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」とする)という特則が設けられました。詳しくは下記の通りです。

(1)契約責任に基づく損害賠償請求の場合

 例えば、会社で従業員が過労死し、会社は過大な労働をさせたとして契約上の安全配慮義務違反があったとして従業員の遺族に損害賠償しなければならないとします。前記の通り法改正後の消滅時効期間は原則「権利を行使するができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から10年」ですが、このケースのように契約上の義務違反により生命・身体の損害が生じた場合には、「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」の間は消滅時効が成立しないことになります。

(2)不法行為に基づく損害賠償請求の場合

 例えば、自動車事故により被害者が亡くなり、運転者側が被害者の遺族に対し損害賠償しなければならないとします。自動車事故のような不法行為の損害賠償請求の時効期間は原則「権利を行使することができることを知った時から3年、または権利を行使することができる時から20年」ですが、生命・身体の損害が生じた場合には、法改正により上記契約責任の場合同様「権利を行使することができることを知った時から5年、または権利を行使することができる時から20年」の間は消滅時効が成立しないことになります。

3 消滅時効については、2020年4月1日の法施行日の前に生じた債権、および施行日以後に生じた債権でもその原因である法律行為が施工日前になされていたものについては、改正前の民法の時効期間が適用されることになります。

 よって2020年4月1日以降、消滅時効期間がどうなるかについては契約時期等により異なることになりますので注意が必要です。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.01.28更新

 近時民法など相続に関する法律が大きく改正され相続に関するルールが変わっています。この記事では2019年7月1日の法施行により内容が変わった遺留分について、改正がなされた点及び注意点を簡単に説明します。

1 遺留分について変わった点1 遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ
 遺留分とは、亡くなった人(被相続人)の相続財産について、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人に法律上最低限保証された相続分のことを指します。
 この遺留分を侵害された場合、法改正前には相続人は「遺留分減殺請求権」を行使することができ、遺言による贈与自体が一部無効になるという効果が生じます。その結果、不動産が共有となってしまい、その後問題の解決の為に不動産の共有物分割請求という手続をとる必要がありました。
 このため、例えば被相続人が事業承継のため子どもに事業財産を遺贈した場合、それを良く思わない他の相続人から遺留分減殺請求がなされることによって、事業財産が共有になってしまい事業承継が上手くいかないといった事態が生じたりしていました。
 このような事態を解消するため、法改正により2019年7月1日以降に亡くなった人の関係では、遺留分が侵害された場合には「遺留分侵害額請求権」を行使することができるとされ、遺留分の侵害額に相当する金銭の請求をすることができることに変更されました。したがって、前記のような場合事業財産の共有という事態は生じなくなりました。もっとも金銭請求のみという形に変わったことで、支払が難しいという人が出てくることにも配慮して、裁判所が支払について相当の期限を許与することができるという条文も新設されてます。

2 遺留分について変わった点2 遺留分算定方法の見直し
 遺留分を算定するための財産価額は、法改正前には次のように算定していました。

相続開始時の資産-負債+相続人への生前贈与額(期間制限なし)+第三者への生前贈与(原則1年以内)
 しかし、法改正により2019年7月1日以降に亡くなった人の関係では、相続人への生前贈与について原則として相続開始の10年前からに限定されることになったので、法的な安定性が増しました。

3 遺留分についての注意点
 上記の通り、2019年7月1日より前か後かによって、遺留分によって請求できる権利の内容が変わりましたので、権利行使については留意する必要があります。
 また、遺留分については相続の開始及び遺留分を侵害する行為があることを知ったときから1年で消滅時効にかかり、権利行使できなくなるということは特に注意すべきことで、これは法改正によって変更はありません。ただ、法改正により遺留分侵害額請求権を行使した結果、金銭債権が生じることになりますが、この金銭債権についても消滅時効の問題があることには気をつける必要があります。金銭債権の消滅時効についても民法改正があり、改正法施行の2020年4月1日より前は10年と定められていますが、それ以降は5年と半分になってしまいます(なお、消滅時効の改正については別途記事を書く予定です)。

 遺留分については金額の算定等難しい点もありますので、権利行使を検討する際には予め弁護士に相談することをお勧めいたします。

投稿者: 弁護士大窪和久

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