弁護士大窪のコラム

2019.02.07更新

2019年2月7日付朝日新聞朝刊「ニッポンの宿題 弁護士、半分が東京に」にて、私が弁護士偏在問題についてインタビューを受けた記事が掲載されております。

このインタビュー記事がネットの方にも掲載されています(有料記事)

これまでの経験を踏まえて話をさせていただきましたので、ご一読頂ければ幸いです。また、飯先生のインタビューもこれまでの司法過疎対策の歴史を踏まえたものですので、あわせて読んでいただければと思います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2018.11.09更新

 現在、裁判手続のIT化が現実化しようとしています。

 2017年6月9日に閣議決定された「未来投資戦略2017」のなかで、「迅速かつ効率的な裁判の実現を図るため、諸外国の状況も踏まえ、裁判における手続保障や情報セキュリティ面を含む総合的な観点から、関係機関等の協力を得て利用者目線で裁判に係る手続等のIT化を推進する方策について速やかに検討し、本年度中に結論を得る。」とされたことをうけて、2017年10月から8回にわたり裁判手続等のIT化検討会が開かれました。議論の内容等については公開されています。

 同検討会の議論を経て、2018年3月30日に「裁判手続等のIT化に向けた取りまとめ」がなされました。同とりまとめでは、「3つのe」、すなわちe提出(オンラインによる提出)、e法廷(テレビ会議やウェブ会議の活用の大幅拡大)、e事件管理(電子情報での事件管理及び情報へのオンラインのアクセスを実現)を実現し、民事訴訟手続の全面的なIT化を目指すとしています。この取りまとめを受けて、日本弁護士連合会も「裁判手続等のIT化の取組を迅速かつ積極的に行っていく」として、単位会からの意見を取りまとめたうえ最高裁や法務省と協議を進めているところです。

 一方、札幌弁護士会は先日裁判手続等のIT化について、司法過疎地の切り捨てのおそれがあること等から、拙速な検討を行うべきではないとの会としての意見書をだしました。またこの意見書の中では、「現在の技術水準の程度のテレビ会議・ウェブ会議のシステムを前提にする限り、裁判官と当事者・代理人が、直接会うことと同じレベルで接して感得することは到底期待し難い。あたかも現実に会って訴訟活動を遂行しているのと同様の効果が期待できるVR等の技術を活用するならばともかく、現状の技術水準でe法廷を推進することは、裁判の本質を不当に変質・劣化させかねず、妥当ではない」とも書かれており、事実上e法廷の導入を否定する見解を表明しています。

 私はこれを読んで非常に驚きました。なぜなら、裁判手続等のIT化、特にe法廷の恩恵を一番受けるのは、まさに北海道の司法過疎地の住人であると思うからです。私は北海道の司法過疎地である旭川地方裁判所紋別支部管内で3年間、同裁判所名寄支部管内で5年間仕事をさせていただいておりましたが、支部管内住民にとって「裁判所が遠い」ということが司法アクセスへの大きな壁になっていることをこの目でみてきました。

 たとえば紋別の住人が札幌地方裁判所で裁判を起こされた場合、裁判所まで片道4~5時間かけていく必要がでてきます。道外で訴訟を起こされた場合更に時間と費用を要します。逆に訴訟を起こしたくても、裁判管轄が地元の裁判所でなければ、訴訟を起こすこと自体躊躇せざるを得ないのが現状です。更に紋別や名寄という支部では裁判官が一人だけで合議が組めない事などの事情から扱える事件が限られているという問題もあります。

 更に問題なのが独立簡裁です。旭川本庁から180キロ離れており、どの旭川の地裁支部(稚内・名寄・紋別)からも100キロ以上離れている中頓別簡易裁判所という独立簡裁があります。旭川から中頓別まで繋ぐ鉄道は廃止されており、移動手段は自動車しかありません。冬場になると地吹雪の中峠を越えなければならず、自家用車による移動すらままならないことも珍しくはありません。そして、この独立簡裁は、少し前までは電話会議システムすらなく、裁判所を利用しようとする当事者は裁判所への出頭を余儀なくされていました。

 こうした場所的遠隔を乗り越えるための手段として、数多くの国で裁判手続でテレビ会議・ウェブ会議を活用しています。私は北海道にいる間、隣国ロシア(サハリン及びウラジオストク)に北海道弁護士会連合会の北方圏交流委員会のメンバーとして何回か訪れ、ロシアの裁判所や検察庁、法律事務所等を見学する機会をいただきました。そして訪問するたびに、裁判手続のIT化が進んでいっており、日本がこれから実現しようとする「3つのe」については既に実現しています。テレビ会議システムも各法廷に備わっており、例えばウラジオストクにある高等裁判所の事件についてサハリンの地方裁判所とつなぎ、当事者はサハリンの地方裁判所にいながら高裁の弁論を行うことが可能です。

 私はこうしたシステムがあれば、場所的遠隔のため司法サービスを受けられない人、特に司法過疎地の人が救われると思いましたし、このようなシステムが一日も早く日本で導入されるべきだと考えています。そのため北海道の司法過疎地での上記問題およびこれを乗り越える手段となりうる隣国ロシアでの取り組みについて、各所で伝えてきました。5年前には日本裁判官ネットワークのシンポジウム「地域司法とIT裁判所」に参加して発表させていただく機会もありました。なおこのシンポジウムの内容は判例時報2212、2213号に掲載されていますので興味のある方は是非ご一読ください。

 こうした司法過疎地での問題を抱え、かつ北方圏交流委員会の活動を通して隣国ロシアの司法状況についても日本で一番情報を有しているはずの北海道の弁護士が事実上e法廷の導入を拒否するというのは正直理解に苦しむというよりありません(なお札幌は地裁本庁のある札幌市には弁護士が集中していますが、公設事務所も設置されている司法過疎地が地裁管内にあり、司法過疎地の問題は他人事、というわけでは当然ありません)。

 札幌弁護士会の意見書で裁判手続のIT化が司法過疎を促進するという理由は二つあげられています。一つ目の理由として、IT化されれば裁判所の機能が大規模庁に集約されてしまうおそれがあることをあげています。この点、北海道ではこれまで裁判所の機能が集約されてきたのは事実であり、例えば地裁支部では執行事件の取り扱いをやめるようになりました。この時に裁判所側は、執行事件は郵送で対応できるので集約しても弊害はないということを言ってましたので、IT化を理由として同じようなことを言われることを危惧しているのかもしれません。しかし裁判所機能集約とIT化は別の問題です。例えば執行事件が集約されるおそれがあるからといって、執行に関する書類の郵送での受理を取りやめるということにはならないでしょう。

 札幌弁護士会の意見書では、「訴訟当事者・代理人も出頭を要しない手続が拡充されると、弁護士の東京への一極集中化をもたらしかねず、司法過疎地がますます広範囲になる」ということも理由としてあげています。しかしながら、e法廷はあくまでも裁判手続内の問題であり、利用者がどこの弁護士を選任するかという問題とは直接関連しません。むしろe法廷が実現すれば道内(とりわけ司法過疎地)の弁護士にとっても遠隔地の事件を受任しやすくなり、その結果地元の方にとってもメリットがあるのではないでしょうか。

 私が危惧するのは、司法過疎地の現場を抱える北海道の弁護士が裁判手続のIT化、とりわけe法廷の導入に消極あるいは反対意見を出すことにより、司法過疎地の裁判所にはe法廷が導入されないという事態が生じないだろうかという点です。現に裁判所は中頓別簡易裁判所のように電話会議システムを長きにわたり簡裁に設置しなかったり、現行法上も設置することが認められているテレビ電話会議システムを地裁支部に設置しないということを行ってきました。これと同じことが裁判手続等のIT化でもまた繰り返され、「裁判手続のIT化から司法過疎地が切り捨てられる」ことのないよう願うばかりです。

投稿者: 弁護士大窪和久

2018.10.03更新

 近年インターネットの誹謗中傷の被害が増えていますが、その一方でインターネットの投稿・記事の削除請求を代行する業者も存在しています。
 

 しかしながら、昨年2月に東京地方裁判所は、ネット削除業者の行った「削除代行」は弁護士以外に行うことが法律上禁じられている「非弁行為」に該当することから、依頼者との間の契約は無効となるとした上、ネット削除業者に対して依頼者に代金全額の返還を命ずる判決を下しました(平成29年2月20日東京地裁判決 判例タイムズ1451号237頁。なおこの判決は確定しています)。
 

 弁護士法72条では、弁護士でないものが報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うこと(非弁行為)を禁止しています。そしてこれに違反した場合には弁護士法77条3号により犯罪行為をしたものとして2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられることとなっています。
 

 法律上非弁行為が禁止されているのは、法律上の専門知識が担保されていない非資格者が法律問題を扱うことにより、不適切な処理がなされ関係者が被害を受ける危険があるとともに、紛争自体さらに複雑化をしてしまうことがあるからです。私が地方に赴任していた際に取り扱った事件でも、相談に来る前に弁護士資格を有さない者が法律紛争を取り扱ったために紛争が深化してしまっていたケースは多々ありました。そのような事態を防ぐため、法律は厳しい罰則をもって非弁行為を禁じているのです。
 

 上記裁判において被告のネット削除業者は、ネット記事などの削除代行はウェブサイトに対して情報を提供して削除を依頼するという単純かつ画一的な行為であり、専門的知識も不要であるから、法律事件に関する法律事務にはあたらないという主張をしていました。しかし裁判所は、削除依頼は投稿者の権利を行使することによって、ウェブサイト運営者の表現の自由と対立しながらも記事の削除を行い投稿者の権利を守るという効果をもたらすものであるとして、被告のネット削除業者の言い分を全面的に否定しました。
 

 この判決以降、ネット削除業者も表立って自ら削除を行うということを宣伝することは少なくなってきたように思われますが、中には専門家を紹介するなどといってみたり、専門家の名前を借りて削除を行うなどという業者もいますので注意が必要です。上記裁判の被告のネット削除業者も、依頼者に対して難易度の高いものはパートナーの行政書士において削除申請を行わせるなどといっていたようです(なお行政書士も報酬を得る目的で法律事件に関して法律事務を取り扱うことは禁じられております)。
 

 非弁行為を行うネット削除業者に対して依頼を行うことは自ら不利益を被る可能性があるばかりではなく、非弁行為という犯罪に加担することにもなりますので絶対にしてはなりません。ネット上の誹謗中傷の被害にあった場合には専門家である弁護士に直接相談して、説明を受けたうえ納得のいくやり方で依頼するのが良いでしょう。 

投稿者: 弁護士大窪和久

2018.09.05更新

 インターネットに関する相談の中で、近年良く受けているのがいわゆるまとめサイトに誹謗中傷の投稿が掲載されているというものです。
 

 まとめサイトとは、匿名掲示板等やSNSの投稿をまとめて記事にして掲載しているサイトのことをいいます。したがって、例えば誹謗中傷の投稿が匿名掲示板に書かれていった場合にまとめサイトでもその誹謗中傷の投稿が掲載されることになります。
 

検索エンジンなどで人名を検索した場合、元となった匿名掲示板やSNSの投稿よりもまとめサイトの投稿の方が上位に来ることも良くあります。匿名掲示板やSNSについては読む人も利用者に限られますが、まとめサイトは匿名掲示板やSNSの利用者以外にも読者があるからです。まして有名なまとめサイトに投稿が掲載された場合には読者が爆発的に増えることにもなります。

 匿名掲示板やSNSの場合、誹謗中傷の投稿削除要望に対応する窓口が作られており、(曲がりなりにも)削除対応されるためそれで投稿が削除されることもあります。ただまとめサイトの場合、そもそも運営主体がどこなのかサイト上で明記されていないものがほとんどですし、連絡先とされているメールアドレスへ連絡しても無視されることも良くあります。そのため掲載元の匿名掲示板やSNSよりも投稿削除が難しいということになりがちです。

 ただ、このような運営主体が不明なまとめサイトであっても、どこかのサーバーを利用します。そこでサーバーを管理する会社を特定した上、そのサーバー管理会社を相手にしてプロバイダ責任制限法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)により投稿削除を請求することができます。弁護士が投稿削除の依頼を受けた場合も、サーバー管理会社に対して削除請求を行って投稿を速やかに削除させるのが通例です。

 まとめサイト上の投稿削除だけではなく、まとめサイトにより誹謗中傷の投稿が広められたことについての損害賠償責任をとってもらいたいという思いもあるでしょう。この点近時まとめサイトの行ったまとめ投稿に対し、不法行為に基づく損害賠償が認められた裁判例(大阪地裁平成29年11月16日判決 判例時報2372号59頁)の事案が参考になるかと思いますのでご紹介いたします。

 この事案では、匿名掲示板の投稿をまとめサイトに掲載したことにより原告の権利を新たに侵害したかどうかが争点となりました。この点被告(まとめサイトの運営)側は、仮にまとめサイト上に問題がある投稿の掲載があったとしても、原告の権利はあくまで掲載元の匿名掲示板の投稿により侵害されたにすぎず、まとめサイト上の掲載が新たに原告の権利を侵害したとはいえないと主張しています。

 ただ裁判所は、サイト上の掲載では表題の作成や表記文字の強調等が行われていることや、まとめサイト上に多数のコメントが掲載されており多くの読者がいること等からすると、まとめサイト上の投稿は引用元の匿名掲示板の投稿とは異なる新たな意味合いを有するものであるとして、被告の主張を排斥し、まとめサイト上の掲載が新たに原告の権利を侵害したと認めました。なお、地裁での判決の後本年6月に大阪高裁で本件の控訴審判決が出されていますが、地裁の判断を維持しています。

 上記裁判例の考え方に従えば、まとめサイト上の投稿に対してまとめサイトの運営者に対しても損害賠償請求を行うこともありえることになります。

 まとめサイト上の誹謗中傷の投稿については運営者がどこの誰だか分からないこともあって泣き寝入りする人も多いですが、弁護士に依頼すれば投稿削除や被害回復へ繋げていくこともできますので、まず弁護士に相談されることをお勧めいたします。

投稿者: 弁護士大窪和久

2018.05.24更新

 最近、インターネット上でのなりすまし行為についての相談を多く受け付けております。

インターネット上でのなりすまし行為とは、本人の実名や本人がインターネット上で使っているハンドルネームをつかったり、本人の写っている画像を使ったりしてあたかも本人がそのアカウントを使っているような形でインターネットの掲示板やSNSで投稿を行うことを指します。

 インターネット上でのなりすまし行為が続いて本人であれば絶対に投稿しないような内容が投稿されネット上に拡散された結果、本人の名誉が毀損され続けるということも珍しくありません。またインターネット上のなりすまし行為による被害は有名人ばかりではなく、一般の方でも多いのが実情です。本人の知り合いが嫌がらせでインターネット上のなりすまし行為を行うということも少なくありません。

 インターネット上のなりすまし行為は、どうせ自分がやっていることがばれることはないだろうという安易な気持ちで行っている人が多いようです。確かになりすまして投稿する際には、どこかに自分の実名や住所を入力するわけではありませんので、自分がやっていることが特定されるわけはないだろうと考えるのでしょう。

 しかしながら実際には裁判上の手続を使いインターネット上でのなりすまし行為をした者を特定することは可能です。特定するためにはまず投稿がなされたサイトやSNSを運営する会社に対して仮処分を申立て、投稿者の発信者情報(ログイン時のIPアドレス)の開示を求めます。開示された投稿者の発信者情報からは投稿者が利用しているプロバイダが特定できます。そのプロバイダの運営会社に対して発信者情報開示請求訴訟を提起して判決を得れば投稿者の情報(氏名、住所、メールアドレスなど)が判明し、投稿者の特定に至ります。

 インターネット上でのなりすまし行為により本人の名誉が毀損されている場合には、加害者に対しては損害賠償請求を行うことが可能です。それでは具体的にどの程度の損害賠償が得られるのでしょうか。損害賠償の金額は事案の内容によりますが、近時判例タイムズで紹介された裁判例(大阪地裁平成29年8月30日判決 判例タイムズ1445号202頁)の事案が参考になるかと思いますのでご紹介いたします。

 この事案では、加害者はSNSで被害者のなりすましアカウント(被害者がSNSで使っていたアカウント名と同じ名前を使い、かつ被害者の顔写真を使用したもの)をSNSで作りました。このなりすましアカウントは約一か月程度SNS上にそのままの状態で存在していました。そして加害者はこのなりすましアカウントを使って、他者に対し「ザコなんですか」「お前の性格の醜さは、みなが知った事だろう」などといった誹謗中傷を繰り返したり、被害者の顔について醜い顔である旨の侮辱行為を行っていました。そこで被害者は加害者を特定した上で、損害賠償請求訴訟を裁判所に提起したのです。

 裁判所はこの加害者のなりすまし行為によって、被害者の名誉権及び肖像権が侵害されたとして、加害者に対し慰謝料60万円の支払を命じました。

 しかし裁判所が認めた損害はこの慰謝料だけではありません。被害者は加害者を特定するために、SNSの運営会社に対する仮処分およびプロバイダに対する発信者情報開示訴訟を行いましたが、その為に58万6000円の弁護士費用を負担しました。この弁護士費用についても損害として加害者に対して支払を命じているのです。

 さらに裁判所はこの損害賠償請求訴訟自体の弁護士費用(12万円)も損害として加害者に対して支払を命じておりますので、合計130万6000円の損害賠償責任を加害者は負うこととなったのです。
 
 安直な気持ちで行ったなりすまし行為であっても、その結果上記のように大きな代償を払うことになることは良く知っておくべきだと思います。
 
 また一方で、なりすまし行為がどこの誰によって行われたか分からないと言って泣き寝入りする人も多いですが、法的手続をしっかりとっていけば上記のような形で判決を得た上で被害回復へ繋げることもできますので、被害にあったら弁護士に相談されることをお勧めいたします。

投稿者: 弁護士大窪和久

2018.04.11更新

先日、株式会社ロイヤル、ヒッグスコミック株式会社、株式会社アヤコン及びその関係会社による被害(無料エステを受けられるとの勧誘を受け、多額のクレジット契約を結ばされる)救済を目的として設立された「ロイヤル・ヒッグスコミック・アヤコン被害弁護団」が結成されました。私も団員として活動しております。

弁護団のサイトはこちら

被害者の方々は、「エステが無料で受けられます。」などといった勧誘文言により、エステを受けるための条件であるなどと称して、株式会社ロイヤルやヒッグスコミック株式会社、株式会社アヤコンらが販売する美容関連商品や会員権などを購入させられて(あるいはエステ契約をさせられ)、その代金支払に関しクレジット契約を締結させられています。

被害者の方々は、上記契約と併せて、当該販売商品をレンタル先にレンタルする契約をさせられ、当該レンタル料によりクレジット支払ができると説明を受けていましたが、その後、既にレンタル会社の全てがレンタル料の支払を停止していると考えられ、被害者らは自分でクレジット負債の支払を開始せざるを得ない状況となっており、その被害が拡大しつつあります。

このため、現在は多数の被害者の方々が、多額のクレジット債務を負担しているという状況にあるものと考えられています。被害者の人数としては当弁護団が把握しているだけでも500人以上に上ります。

当事務所が事務局として相談の受付を行っておりますので、下記相談窓口にお気軽にご連絡ください。

※2020年7月末をもって新規の相談受け付けを終了いたしました。

ご相談窓口
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-6
渋谷協栄ビル7階 桜丘法律事務所
電 話 03-3780-0991(平日午前10時~午後5時)
FAX 03-3780-0992

 

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2017.09.27更新

 ツイッター上で、弁護士が増えた結果として若手弁護士が刑事事件を受ける機会が少なくなり、研鑽を積むのが難しくなっているという話がありました。

 地方にいるときにはあまりそのようなことは感じなかったのですが、東京に戻ってみると、確かに刑事事件の研鑽を積むことが以前に比べて難しくなっていると思いました。弁護士は事件をすることによって学んでいくものなので、事件を受けられないというのはつらいところです。

 もっとも、東京での利点として、各種研修を受ける機会に事欠かないということがあります。地方ですと日弁連の研修の配信をみるにも弁護士会館まで出向かなければなりませんでしたが、そのような苦労もありません。

 当事務所でも、私が地方に派遣される前から刑事専門の神山先生が毎月ゼミを開いており、事務所の弁護士やゼミに参加した弁護士の現在進行中の事件に関して議論を行っております。

 私が派遣される前には相当ここで鍛えられました。帰ってきても以前と変わらず新人がこのゼミで徹底的に鍛えられています。

 今後の日程等については、事務所の方のブログでご案内しています。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2017.09.20更新

当事務所のブログの方で、高齢者向け個人顧問契約(ホームロイヤー)のご案内をさせていただいております。

→ http://sakuragaokadayori.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-0544.html

 上記ブログの方にもあるとおり、弁護士と個人顧問契約(ホームロイヤー契約)を締結して、預貯金や不動産といった大事な財産の管理方針や、遺言の内容など、種々の心配事について、時間をかけて継続的に協議を行い、問題があれば弁護士の方で依頼を受けて解決するということができます。

 当事務所でのホームロイヤーの費用は、月額5000円から1万円を標準としておりますので、通常の顧問契約よりもご利用いただきやすい料金となっております。ご利用をご検討いただければ幸いです。

投稿者: 弁護士大窪和久

2017.09.12更新

 AppleWatchが発売開始になってだいぶ経過しました。
 

 私は発売後すぐに発注して、届いてから以後はほとんど毎日AppleWatchをつけて生活しています。

 ただ以前に住んでいた北海道名寄市では、とうとう私の他にAppleWatchを着用している人に会わないままでした。その後、さすがに東京にでてきたら他に着けている人もいるだろうと思っていたのですが、やはり着けている人は未だに少ない状況です。東京でのiPhoneユーザー率の圧倒的な多さからすると、かなり意外でした。

 ただAppleWatchについて買う価値があるのかどうか、というのは難しい問いです。AppleWatchがなければできないということがあまりなく、iPhoneがあれば大体事足りてしまうからです。

 例えば、AppleWatchでは電話をすることができますが、iPhoneとBluetoothで繋がっていなければできません。iPhoneが近くにあるのにあえて腕時計に向かって話しかける形で電話することが必要な状況は限られます。AppleWatchで通知を受けることができるのも確かに便利ではあるのですが、iPhoneを見ればいいだけの話でもあります。

 ただ、AppleWatchがなければできないこととして、一日の活動記録があります。AppleWatchでは「アクティビティ」機能というものがあり、一日にどれくらい徒歩で移動したか(歩数、距離)、どれくらい運動したかを記録してくれます。また「スタンド」として、一時間に一回立ち上がることを促してくれる機能があります。このデーターはiPhoneの「ヘルスケア」アプリに蓄積され、他のiPhoneのアプリでも参照することは可能なので、健康管理に役立たせることができます。このアクティビティ機能は有能ですので、健康が気になるのであればAppleWatchを購入する価値は十分あると思います。

 またseries2になってからは、suicaやiD等の電子マネー決済も使えるようになってきました。私はいまはコンビニや自動改札など、決済が必要な場面では必ずapple watchを使っています。財布から電子マネーの各カードを出さなくてもいいこと自体便利です。

 まだまだ発展途上のギアではありますが、上記の点に魅力を感じるのであれば購入してみてもいいのではないでしょうか。

投稿者: 弁護士大窪和久

2017.09.11更新

 昨年7月にポケモンGOがリリースされ、社会現象化しています。ダウンロード数は現在iOSで1億ダウンロード、androidで5000万ダウンロードにも達していますし、町中にもポケモンを求めて歩く人が本当に多いです。特に都内の公園はポケモンを求める人で溢れており、ゴミの問題等が顕在化しています。
 

 現実の世界とリンクさせた仮想空間を舞台とするゲームはポケモンGOが初めてではありませんが(ポケモンGOの開発元が製作したイングレスが先駆けとしてプレイされています)、ユーザー数の多さからポケモンGOは仮想空間を舞台とするゲームの問題点を顕在化しました。現在進行形中の問題ですが整理するためここにポケモンGOに関する法的問題をまとめておきます(あとで追記するかもしれません)。

○ポケストップの撤去請求の問題

 ポケモンGOにはアイテムを手に入れることができる「ポケストップ」という仮想空間上のポイントがあります。これは現実の公共施設や、歴史的建造物等があるところに設置されています。この「ポケストップ」がある場所にはモンスターも集まる(モンスターを呼び寄せる「ルアー」というアイテムを設置することもできます)ため、プレイヤーがやってくるということになります。特に「ポケストップ」が複数設置されている公園などは、多数のプレイヤーで集まっています。

 ゲームプレイヤーが集まるのを良しとしない施設管理者から、ゲーム会社に対して「ポケストップ」の撤去請求が多数出ています。なんと日本の最高裁からも「ポケストップ」の撤去請求がなされています。

 ゲーム会社は撤去請求には応じているので撤去請求訴訟がなされるという事態にはいたらないのだろうと思いますが、仮に訴訟になった場合、仮想空間上の設置物に対して現実の施設管理者からの撤去請求の可否という法的論点について判断されることになります。これまでこれを判断した裁判例も調べた限りは見当たらないので、どう裁判所が判断するのかは興味があります。

○ゲームのプレイヤーの事故・事件の問題
 ポケモンGOは現実の世界とリンクさせた仮想空間を舞台とするため、プレイヤーは現実世界をあちこち歩き回ることになります。そこでゲームに気を取られたまま歩きスマホをして、プレイヤーが事故に遭う危険性があることは否定できません。

 またゲームに気を取られるあまり、本当は入ってはいけない場所にプレイヤーが入り込むという問題も生じております。アメリカでは原発敷地内にプレイヤーが不法侵入したという事件も起こりました。

 これらゲームのプレイヤーの事故・事件についてゲーム会社が法的責任を負うとまではいえないのかもしれません(ゲーム内ではこれらの点についてゲーム機同時に注意喚起されており、ゲーム会社としてはこれでやるべきことはやっているということなのでしょう)が、ゲームによって生じうる事故事件に対する対策をどのようにとるのかは今後の課題だと思います。 

○個人情報の流出の問題

 ポケモンGOのプレイ画面の写真はSNSでも多くあげられていますが、プレイ画面の写真によりプレイヤーがどこでゲームをしていたかは特定されます。写真に位置情報が含まれていたならなおさらです。そのため、SNSの投稿者がどこにいるかという個人情報が流出してしまう危険性も否定できません。

○ゲーム課金の問題

 ポケモンGOについては、ほかのアプリゲームと同様にアイテム課金という要素があります。ポケモンを捕まえるためのボールや、ポケモンを呼び寄せるためのアイテムを課金して手に入れることができます。もっとも珍しいポケモンを捕まえるためになくてはならない課金アイテムというものはないため、いわゆるガチャを導入しているゲームに比べて射幸性は低いです。

 もっとも未成年者が多くプレイしているゲームであり、熱中するあまり未成年者が親に黙って多額の課金をするということはあるでしょう。その点についてゲーム会社が適切な対応をするかという問題はあります。

○青少年の深夜にわたる徘徊の問題

 ポケモンGOのポケモンは時間を問わずに出現するため、昼間だけではなく夜にもプレイヤーがポケモンを求めて歩き回ることになります。このため日本各地で夜の公園や神社などで青少年が補導されていることが報じられています。

 この点については、将来ゲーム側の方でプレイヤーの年齢によってモンスターの出現時間を制約するような対策が打たれるかもしれません。

投稿者: 弁護士大窪和久

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弁護士大窪のコラム 桜丘法律事務所

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