弁護士大窪のコラム

2021.02.16更新

今月13日に福島県沖で大きな地震が発生致しました。被災した方々にお見舞いを申し上げます。

大きな災害が起こる際にいつも有ることではありますが、今回の地震に便乗した詐欺も横行するものと思われます。

国民生活センターでも今回下記の投稿で注意喚起を行っております。

https://twitter.com/kokusen_ncac/status/1361133125858783237

投稿にある通り、災害に乗じた悪質な修理業者というものがいつも出てきますので、直ぐに契約を行わないことが肝要です。詳細は下記のサイトにてご確認ください。

http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/disaster.html

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.02.08更新

音声SNSアプリ「Clubhouse」が話題になっています。現在はユーザー数を制限するためか、招待制になっています。私も招待を受けて、どのようなものかを試してみました。

内容としては、音声のみのSNSサービスというもので、モデレーターが作った「ルーム」において、モデレーターとモデレーターが選択した者が話すことができ、その他のユーザーは聞き手に回るというものです。既存のSNSサービスで言えば、ゲーム実況等で使われているdiscordと余り変わりませんが、発言者を「ルーム」の主であるモデレーターが選択することができるのがサービスの肝です。相互コミュニケーションを取るSNSというより、主催者が講演やシンポジウムを手軽に出来るという種類のツールと考えれば良いと思います。

この「Clubhouse」については、今後トラブルが急増することが予想されます。まず「ルーム」内で誹謗中傷やプライバシーの侵害にあたるような発言が行なわれることは今後あるでしょう。ここで問題になるのが、「Clubhouse」では実名での利用が推奨されているものの、実際にはハンドルネームと思われる名称で使っている人が多々おり、その場合どこの誰が誹謗中傷等行なったのか特定しなければならないという点です。他のSNSでもこの点は問題となり、プロバイダ責任制限法による手続により発信者情報開示を行なうことになります。ただ、「Clubhouse」の場合、この記事で中澤弁護士が指摘されているとおり、現時点では日本向けでのサービス提供がされていないことから、日本法は使えず、「Clubhouse」の運営会社のある米国にて証拠開示制度を使う必要があるでしょう。

また、「Clubhouse」を使い、詐欺のトラブルが生じることも今後あると思われます。現時点でも音声の利用が出来るという点で類似のサービス「LINE」を使い、詐欺のトラブルは多発しています。「LINE」同様、「Clubhouse」も電話番号さえ有ればハンドルネームや偽名を使って利用することが可能であり、詐欺の被害に遭ったものの、相手方の情報が分からず泣き寝入りにあうということは考えられます。「LINE」の場合、運営会社は原則として詐欺事件でも利用者の個人情報の開示には応じない姿勢を見せており、警察に相談しても被害救済にはなかなか結びつかないのが現状です。「Clubhouse」がどう対応するかはまだ分かりませんが、これまでの海外のSNS運営会社と同様の対応をとるということであればかなり厳しいのではないかと思われます。以上のような点を踏まえると、「Clubhouse」の素性の分からない相手との取引に関しては応じるべきではないでしょう。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.02.04更新

読売新聞の記事によれば、「厚生労働省は3日、新型コロナウイルス感染者と接触した可能性を知らせるスマートフォン用アプリ「COCOA(ココア)」について、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」版で昨年9月下旬以降、接触があっても通知されない不具合が続いていた」ということで、非常に驚きました。アンドロイド端末にダウンロードされたCOCOAは全体の約3割(770万ダウンロード)にあたり、それだけ多くの利用者が濃厚接触者に該当する場合でも通知を受けることがなかったということになります。各種イベント等で参加者にCOCOAの利用が義務づけられ、それで濃厚接触の有無等確認してきたわけですが、今回の件でそれがザルであったことが明らかになりました。

昨年9月に不具合が生じていたにも関わらず1月になるまでそれが発覚しなかった原因について、朝日新聞の記事によれば「9月28日のバージョンアップ時点では、接触確認アプリが感染拡大に備えてすみやかに多くの人につかってもらうことを重視していた。十分なテストをする環境が遅れていた。そのあと、テスト環境をつくって実機テストをするべきところをしていなかった」と厚生労働省が説明しているということで、驚くしか有りません。この手のアプリで実機テストすら行わないまま運用を続けてきたということは信じがたいものがあります。

そもそも、昨年9月以降は、私のブログでも紹介させて頂いたとおり、appleとgoogleが提供している接触通知システムであるExpressを採用することで、アプリがなくともOSの基本機能のみで接触通知を受けられる状況にありました。ただ日本では既にCOCOAを導入していたため、ExpressではなくCOCOAにより濃厚接触の有無を確認する方針をとってきたのです。それにも関わらずCOCOAがこの体たらくであるならば、最初からCOCOAを廃止してExpressを採用するべきではなかったかと思います。国費の無駄であるばかりではなく、濃厚接触の有無が分からず、結果としてコロナウイルスの感染拡大が広げたという事態も生じてきた可能性も否定できません。

厚労省では原因究明を図るとのことですが、そもそもCOCOAのダウンロード率が上がっていないという点もクリアされていないことも鑑みれば、COCOAの利用自体を諦めExpressを採用すべきではないかと考えます。

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.26更新

2020年6月に破産手続開始決定を受けた東京ミネルヴァ法律事務所の第一回債権者集会が、1月20日に東京地方裁判所で開かれました。期日の内容については報道もなされています。

この債権者集会を受け、私も所属している弁護団からも声明を発表しております。弁護団としては必要に応じて随時、管財人に協力し、真相の解明及
び被害の回復のために力を尽くす所存です。

弁護団の方では引き続き相談を受け付けておりますのでお問い合わせ下さい(相談窓口は弁護団のサイトをご覧下さい)。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.18更新

NHKの報道によれば、「横浜市港南区の横浜刑務所では、先月15日に30代の男性刑務官の感染がわかって以降、受刑者や職員に感染が相次ぎ、これまでに38人のクラスターが発生しています。横浜刑務所によりますと、受刑者や職員への検査を進めた結果、18日までに、新たに、20代から60代までの刑務官を含む職員4人と、20代から70代までの受刑者46人の、合わせて50人の感染が新たに確認されたということです」とのことで、横浜刑務所で職員や受刑者あわせて合計88人の感染者が確認されたということです。刑務所内においてコロナウイルスのクラスターが発生しているということになります。

法務省の発表するデータによると、昨年の3月以降、拘置所や刑務所内の被収容者にコロナウイルスの感染者は確認されていましたが、クラスターと呼べるほどの感染拡大はなされていませんでした。ところが今年に入って1月4日から10日の間に27人の被収容者の感染が確認され、検査を進めて行くにつれて感染拡大がわかってきたということになります。

もともと、拘置所や刑務所は雑居房もありソーシャルディスタンスが保たれる様な場所ではなく、クラスターが発生されるという潜在的な危険があったことは否めません。この点、法務省や検察庁のこれまでの見解としては、感染防止対策がなされておりクラスターが発生するような可能性はないというものでした(弁護人の主張に対しても、クラスター発生の余地はないと堂々と主張していました)が、現実にはこのようにクラスターが発生するに至っています。

本年1月15日の報道によれば、昨年12月に新宿警察署で留置された被疑者が相次いで感染をしていたことを踏まえて、警視庁が「今後は」逮捕された容疑者については全てPCR検査を行なうということです。が、そもそもこれだけ市中感染が広がっている中、これまで被疑者全員のPCR検査を行なわなかったというのが誤りだったのではないでしょうか。陽性者が素通りになってしまえば、警察の留置所や拘置所がクラスターになってしまうのは当然のことでしょう。

収容されている人にとってはコロナウイルスの感染から免れる手段がありません。クラスター発生を防ぐことはまさに人権問題だと思います。これ以上のクラスター発生を防ぐためには、被収容者全員の定期的な検査および感染者の隔離、施設内でのソーシャルディスタンスの確保は必ずなされるべきでしょう。

 

 

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.14更新

本日、インターネット権利侵害者の調査における米国ディスカバリの方法について、第二東京弁護士会電子情報部会内において井上拓弁護士からお話を伺いました。米国ディスカバリとは、具体的には合衆国連邦法第28編1782条(外国及び国際法廷並びにその当事者のための援助)に基づき、連邦地方裁判所によって発せられる米国外の裁判所の手続で使用する目的のため、文書その他の物を提出する命令の事を指します。

インターネットの誹謗中傷で用いられているプラットフォームの中には、米国企業(google、cloudflare)が運営しているものもあります。その場合米国のディスカバリを用いて日本の裁判手続(誹謗中傷した相手への損害賠償請求等)の為に必要な発信者情報の開示を求めることも選択肢として存在します。日本のプロバイダ責任制限法による手続とは要件や範囲が異なる為、ケースバイケースではありますが米国のディスカバリを用いた方が良いこともあります。

米国ディスカバリによる誹謗中傷者特定について、井上拓弁護士の運営するyoutubeチャンネルで動画が公開されていますので、興味のある方はそちらを視聴してみて下さい(下にリンクを張っておきます)。

【誹謗1/2】誹謗中傷者特定、米国ディスカバリーの活用、発信者情報開示

【誹謗2/2】誹謗中傷者特定、米国ディスカバリーの活用、発信者情報開示

具体的な事案において、日本のプロバイダ責任制限法による手続が妥当か、米国ディスカバリによる手続が妥当かについては、弁護士による判断が必要になってきますので、弁護士による相談を受けることをお勧め致します。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.12更新

東京地裁の方で、本年1月7日に発令された緊急事態宣言を受け、裁判業務をどうするかについてアナウンスがなされましたのでご紹介します。

緊急事態宣言の発出を受けた裁判業務について

内容としては次の通りです。

・原則通常どおり裁判業務を継続

・裁判員裁判も行なう

・ウェブ会議や電話会議の期日への切り替えを求めることはある

・出頭して行う手続で 出頭する人の数を極力減らすよう求めることもある

今回の緊急事態宣言は、実質的には飲食店の20時閉店を求めたり、イベントの人数制限を行なう等限定的な内容に留まり、社会的活動を大きく制約するものではないことから、裁判業務も原則通常通り行なうということにした模様です。ただ、東京地裁も「事件関係者の皆さまにおいては,期日のために,都外からお越しになる場合や来庁に不安がある場合には,柔軟に対応いたしますので,担当書記官まで御連絡ください」とアナウンスしておりますので、事件進行については書記官と協議した方が良いでしょう。

もっとも、緊急事態宣言の範囲も一都三県以外にも拡大される見通しであり、今後感染者の数や医療機関の状況によっては裁判業務も制限される可能性は十分にあります。

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.05更新

報道によれば、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象とした、特別措置法に基づく緊急事態宣言がだされるとのことです。今回の緊急事態宣言では、飲食店に対して閉店時間を午後8時に前倒しすることが主な内容であり、昨年行なわれた緊急事態宣言のように学校の休校を行なったり、映画館劇場の営業自粛を求めたりすることはなく、限定的な内容のようです。

緊急事態宣言の再発令で気になるのは、緊急事態宣言再発令により裁判所はどうするかという点です。

昨年の緊急事態宣言が行なわれた際、裁判所は業務を(一部を除いて)停止しました。東京地裁の場合、原則として5月7日から5月末日までの裁判期日指定を取消し、6月以降に順次再開するという扱いを行ないました。6月以降も法廷を隔週開廷としたため、裁判が大幅に(数ヶ月~半年程度)遅延してしまい、現在もその状況が続いています。

今回の緊急事態宣言でも同様の対応を行なった場合、予定されていた裁判は緊急事態宣言期間中は原則として止まってしまい、更に大幅な裁判遅延がもたらされることは必須です。裁判所が再度の緊急事態宣言に備えてIT設備の拡充等なんらかの準備を行なってきたということもありませんので、見通しとしては悲観的にせざるを得ません。

もっとも、前回の緊急事態宣言でも、緊急性のある事件(民事保全、DV事件、人身保護事件等)は期日が開かれましたので、そのような事案については今回も期日が開かれるのではないかと思います。

新形コロナウイルスの感染拡大は国内外でも封じ込めに成功した台湾のような国を除いて終わる見通しを見せません。日本でも今後また感染拡大により緊急事態宣言に追い込まれることもあると思いますので、司法に限らずどうやって感染拡大している中でも業務を続ける道を作るか検討していく必要はあるでしょう。

投稿者: 弁護士大窪和久

2021.01.05更新

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

昨年は新形コロナウイルスの感染拡大により、司法も含めた社会全体が大きく影響を被った一年でありました。予定されていた五輪も一年間延期されてしまい、その他の人の集まる機会もほとんど失われることになってしまいました。

本年に入っても、新形コロナウイルスの感染拡大が世界的に続き、新年早々東京では緊急事態宣言が出される旨の報道がされています。

我々人類は疫病と闘い続ける歴史を経験していますが、今もその厳しい最前線にあると言えます。大変厳しい状況ですが、もう一年生き延び、依頼者のために業務を続けていければと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.12.28更新

2020年も終わりにさしかかりました。

今年一年を振り返ってみると、新形コロナウイルスの感染拡大によりどの立場にある人も大変な影響を被ったということがとても大きいと思います。

司法に関しても、緊急事態宣言に伴い長期間裁判所の期日が原則として行なわれなくなり、手続の遅延が著しいことになりました。日本では司法のIT化がようやくスタートラインに立ったところであり、裁判所に行かなければ裁判を受けられないという旧態依然としたシステムの弊害が明らかになりました。新形コロナウイルスの感染拡大については、年末にかけても広がっているところであり、再度裁判手続が中止せざるを得ないという事態に追い込まれることもあるかも知れません。

新形コロナウイルスの感染拡大以外の司法のトピックとしては、カルロス・ゴーンさんの事件をきっかけとして、日本の人質司法がクローズアップされたことが大きかったです。我々刑事弁護人にとっては、被疑者を身柄拘束して、弁護士の立ち会いも取調には認めず、長時間の自白を事実上強要し、その調書をもととして有罪判決が作り上げられているという実態は常識ですが、こうした実態が国外に知れ渡ったことになります。もっとも法務省は国外からの批判に一切耳を傾けていません。年末年始の時期も変わらず身柄を拘束され、自白を強要されている人が多数いることは今年も変わりませんでした。

日本の司法システムが、諸外国に比べても色々な面で後れを取っていることはもはや明らかだと思いますが、変化のスピードはとても緩慢です。司法に携わっている一人としては強い無力感を覚えますが、現在の古い司法システムの中において、一弁護士としてできる限り依頼者の役に立つように来年度以降も精進していきたいと思います。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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