弁護士大窪のコラム

2020.11.17更新

グーグルがCOVID-19 予測モデル(日本版)を公開しました。

これがどういうものかというと、グーグルによる説明によれば、

「COVID-19 感染予測 (日本版) は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の日本全国での感染の広がりに関する予測データを提供しています。このデータは都道府県別に、対象期間である将来 28 日間のあいだに予測される死亡者数、陽性者数、入院・療養等患者数1を表しています。これらの項目に関する重要な指標として累計や日別のデータ、95 %予測区間等も掲載しています。また、全国の予測値は都道府県の予測値を足し合わせることで表示しています。」

というもので、日本全国及び都道府県毎に機械学習で28日間の感染の広がり等を予測させた結果が出てきています。

本日11月17日の時点では、12月12日までの予測数が出ておりますが、全国では12月12日の時点で陽性者数が3000人に迫ることや、北海道で陽性者が全国で一番多くなることなどの予測が出てきております。

グーグルの機械学習の確度がどの程度のものなのかは今後の実際の推移を見ていかないと分からないことではありますが、今後の政策や感染対策がどうなるかの予測に繋がるものとして大変興味深いものであることは間違いありません。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.11.11更新

刑事事件で逮捕勾留されてしまい、長期間身柄が拘束されることのつらさは体験した人しか分からないだろうと思います。勾留をはじめてなされた人は例外なく、一秒でも早く外に出たいという希望を持ちます。

勾留に対してなしうる手続はいくつかありますが、今回は勾留理由開示について説明します。

憲法及び刑事訴訟法は、被告人について、裁判所に勾留理由の開示を請求することを認めています(憲法34条後段、刑事訴訟法82条1項)し、被疑者については勾留状を発布した裁判官に対して勾留理由の開示の請求をすることが認められています(刑事訴訟法207条による82条の準用)。また被疑者・被告人本人だけではなく、弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も請求することが出来ます(刑事訴訟法82条2項)。

勾留理由開示があった場合には、裁判所は5日以内に開示期日を指定した上(刑事訴訟規則82条1項、同84条)、公開法廷で勾留の理由を答える必要があります(憲法34条後段、刑事訴訟法83条1項)。

勾留理由開示については、裁判官が抽象的なことを話すに留まり、形骸化されているとも言われています。ただ、私の経験上は事前の求釈明を具体的に行なえばそれに応じてある程度の回答が裁判官より得られることもあり、勾留について問題がある場合には積極的に行なうべき手続と思います。また、副次的な効果として、公開法廷で行なわれる関係上接見禁止がついている被疑者被告人であっても、傍聴席の家族に顔を見せることができるという面もあります。

他方、公開法廷になるべく出たくは無いという意向を被疑者被告人が持つ場合には手続を取りにくいという面もありますので、被疑者被告人の意向を尊重した上手続をなすか否か判断することは当然必要となります。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.11.10更新

総務省は、現在の発信者情報開示制度の改善に向けて、発信者情報開示の在り方に関する研究会を設置してこれまで9回の会合を行なってきました。11月12日に10回目の会合が行なわれています。

そして、同研究会により最終とりまとめ骨子が出されており、制度変更の方向性が明らかになったと言えます。

最終とりまとめ骨子では、発信者情報の開示対象の拡大(電話番号およびログイン時情報)、新たな裁判手続の創設と通信ログの保全、裁判外開示の促進というものが柱となっています。この中でもっとも影響が大きいのは、新たな裁判手続の創設でしょう。

現状では、発信者を特定するためには、SNS等の運営主体のプロバイダにまず仮処分を行ない、接続元のIPアドレスの開示を受けた後で改めて接続に使われたプロバイダの運営会社に裁判を行なう必要がありますが、二回の手続を要するのが負担が大きいとして、問題になっていました。最終とりまとめ骨子では、従前の手続に「加えて」新しく手続を設けて、この難点を解消しようとしています。また、発信者情報開示の難点として、プロバイダがログを短時間で消してしまうという点がありますが、この点をクリアするためにログを迅速に保全する手続も上記開示の手続とまとめて行なうことができるようにもするようです。

現状の開示手続は被害者側の負担が大きく、負担のために使われないということも多いのですが、上記のような方向性での改善があれば現在より多少は開示手続も使われるのでは無いかと思います。もっとも、研究会での議論では、表現の自由が関わる以上開示の是非については訴訟手続でしっかりと審理する必要があるともされており、その点では弁護士が関与しなければ手続を進めていくのは難しいのは従前と変わりないのではないかと思われます。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.11.03更新

gigazineにて、「Appleは環境のためにLightningを諦めてiPhoneをUSB Type-Cに対応させろ」という主張が掲載されています。

記事によれば、「Appleは「環境への負荷を軽減する」という目的から、iPhone 12のリリースを期に電源アダプタとEarPodsの同梱を終了しました。こうしたAppleの姿勢について、IT系ニュースサイトのThe Vergeが、「本当に環境問題を考えるならば、まずLighthingを諦めてiPhoneをUSB Type-Cに対応させるところから始めるべき」と一刀両断して」いるとのことでした。

Appleは新しいiPhone12シリーズにおいて、USB-C - Lightningケーブルのみを同梱して、従前より環境に配慮したとしています。ただ記事でも指摘されているとおり、USB-Cに対応したアダプタをもっている人がどれだけいるかという問題があり(私も持っておりません)環境に配慮したというのに疑問があります。それよりもiPadで行なったのと同じように、LighthingからUSB Type-Cに変えるべきだったのではないかというのは当然の疑問だと思います。

ユーザーの多いiPhoneでもLighthingに変えてしまうと、ライセンス収入がなくなってしまうという収益面の問題はあったのかも知れませんが、環境面から言えば早く移行を行なうべきだと思いました。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.30更新

以前のブログで紹介しました公設事務所所長弁護士意見交換会を本日実施しました。

第二東京弁護士会(公設事務所運営支援等委員会)では、毎年秋に、二弁出身の公設事務所長・スタッフ弁護士を対象として、意見交換会を開催しています。本年は本来は糸魚川で行なわれる予定でしたが、コロナ渦のためZOOMを利用したオンラインでの実施となりました。来年以降コロナ渦の状況が変わればまた現地での意見交換会になるかも知れませんが、場所を越えてオンラインでの議論が出来るのは弁護士過疎地域の弁護士にとっては大きな利点ではあります。

司会として議事を進行させていただきましたが、事件関係の悩みの他にも、事務所運営関係についての質問も多くありました。コロナ渦の状況故、リモートワークやオンライン相談についてどのように進めて行けば良いかという点も議論になりました。事件関係については守秘義務もありますので当然ここではかけませんが、事務所運営関係について一般的なものについては議論の積み残しの点も含めてこちらのブログで何回かにわけて書いていこうかと考えております。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.29更新

cnet Japanで、「マイクロソフト「Teams」のデイリーアクティブユーザーが1億1500万人に」という記事が掲載されました。

同記事によれば、「Microsoft Teams」に関する最新の統計を発表した。最高経営責任者(CEO)のSatya Nadella氏によれば、Teamsの現在のデイリーアクティブユーザーは1億1500万人を超えているという」とのことです。今年3月の時点では4400万人ということだったので、この短期間で3倍近くにまでユーザーが増えたことになります。

コロナ渦で通常の会議からWEB会議に移行したのは日本だけではなく世界的な傾向ですが、このような増え方をみると、改めてコロナ渦が世界に及ぼした影響の大きさという物を感じずにはいられません。

先のブログにもあるとおり日本でも裁判所を含めTeamsがWEB会議用のツールとして広くビジネスで使われるようになりました。ZOOMのような手軽さはありませんが、その分セキュリティ面では優れているツールであり、今後も広く使われていくのではないかと思います。マイクロソフトはTeamsだけではなくOffice365といったサブスクリプションサービスでも売り上げを伸ばしており、コロナ渦は強い追い風になっています。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.28更新

逮捕されると身柄が拘束されて、その後取調が行なわれます。身柄が拘束される中で取調を受けた結果、法律的な知識が不十分なままで供述を行い、事実と異なる供述調書が作られてしまうことはあります。逮捕された場合にできる限り早期に弁護士に相談して法的なアドバイスを受けることが必要です。

この点、逮捕後さらに勾留された場合、資力の無いなどの理由で弁護人を自ら選任できない時には国の費用で弁護人を選任する国選弁護人制度というものがあります。勾留された後に国選弁護人の選任を希望し、要件を満たす場合には国選弁護人が選任され、法的なアドバイスを受けることができます。

もっとも被疑者段階で国選弁護人を付けることができるのは勾留された後であり、逮捕されてから勾留されるまでの間(最長72時間)は、国選弁護人によるアドバイスを受けることが出来ません。そのためこの期間に意に沿わない供述をとられてしまうおそれがあります。私選弁護人を最初から選任できるのであればこれを防ぐことができますが、私選弁護人を選任するだけの資力がない場合にはこれもできません。

この制度の不備を補うため、弁護士会の方で当番弁護士制度(当番として待機している弁護士が接見を行なう。初回接見は無料です)を作り、逮捕された本人や家族の弁護士会に対する依頼に応じて弁護士の派遣を行なっています。派遣される弁護士を選ぶことはできません。なお、引き続き弁護を依頼する場合には原則として自費で私選弁護を依頼することになりますが、弁護士会の刑事被疑者弁護援助制度により弁護士費用の援助が受けられる場合はあります。

上記当番弁護士制度は、国選弁護制度の欠陥(以前は被疑者段階での国選弁護制度はなく、被告人段階ではじめて国選弁護をつけられました)を補うため長年弁護士が自腹を切りかつ労力を払って継続しているものであり、逮捕段階で被疑者に国選弁護人が付けられるようになるのが本来は望ましいことは言うまでもありません。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.27更新

総理大臣がかわってから後、携帯電話会社が料金の値下げを行なうというニュースが良く出されています。本日も「KDDIが新料金プラン導入へ 20GB月4千円以下に」という内容が報道されています。

ただこの報道をよく読むと、サブブランドUQモバイルでこれまで出していない20Gのプランを出すという内容であり、通信量あたりの料金を下げるという話ではないようです。

これまでも総務省が携帯電話の値下げ圧力を携帯電話会社にかけていますが、そのたび携帯電話会社はプランや割引制度を変更するものの、通信量あたりの料金を下げるということはしてこなかったように思われます。キャリアは三社独占で競争の働くところではないので、今後もこうした状況は変わることはなく、携帯電話料金の値下げは期待できないと考えます。

携帯電話料金は高止まりしているだけではなく、複雑なプランや割引制度が乱立して、割引前の値段がわかりにくく、結果消費者が不意打ち的な損害を受けると言うこともあります。この問題も長年に渡り指摘されていますが全く改善していません。こうした状況も、キャリアが三社独占で似たようなサービスを提供し続ける中では変わらないのではないかと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.26更新

民事裁判において、新型コロナウイルスでWEB会議の実施件数が東京地裁で9月は400件となり、導入当初の10倍に急増しているとの報道がありました。

同報道では、「東京地裁はウェブ会議が急増した背景に新型コロナウイルスの感染拡大による関係者の意識や行動の変化があるとみて、さらに活用を進めていく方針です。東京地方裁判所の後藤健民事部所長代行者は「新型コロナウイルスの影響で、結果として弁護士の意識が変わり使ってもらえるようになったのではないか。より迅速で適正な裁判ができるようになることを期待している」と話しています」と東京地裁の見解が掲載されています。

しかし、「弁護士の意識が変わり使えてもらえるようになったから」WEB会議の実施件数が増えたというのは、事実とは乖離している見解のように思われます。

そもそも、期日をWEB会議にするか否かについては裁判所の裁量によるものであり弁護士が決められるものでは本来ありません。また、東京地裁がWEB会議を導入し始めたのは今年の2月以降(しかも、全ての部で導入したわけではありません)であり、コロナウイルス感染拡大以前にWEB会議が実施されたことはありませんでした。感染拡大以前は、弁護士が希望しても一切WEB会議は実施されなかったのです。

また、東京地裁は緊急事態宣言中は一部の期日(身柄の刑事事件、民事保全等)を除いては全ての期日を行なわず、WEB会議で期日を進めるということも行ないませんでした。さらに、緊急事態宣言が開けてからも今日に至るまで法廷を隔週開廷にしており期日がなかなか入らない状態が継続していますが、法廷での期日が入らない週に代替としてWEB会議を実施するということも行なっていません。

むしろWEB会議については東京地裁ではなく大阪地裁など他の裁判所での実施の方が先行しており、東京地裁は他の裁判所に比べても後れを取っております。WEB会議による進行を訴訟当事者から求められても、機材が期日に準備できない等の理由で実施が出来ないということもあります。

9月の400件という数字自体、東京地裁で行なわれている期日のほんの一部に過ぎません。東京地裁の消極的な運用方針により、新型コロナウイルス感染拡大の影響があってもなお「これしかWEB会議が行なわれていない」というのが現状認識として正しいように思われます。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、東京地裁の裁判が大幅に遅延しているのは事実です。東京地裁におかれては、是非とも「より迅速で適正な裁判ができるよう」に従前の姿勢を改め積極的にWEB会議を実施して頂きたいと思います。

投稿者: 弁護士大窪和久

2020.10.22更新

他の裁判所では既に運用が行なわれていますが、東京地裁でも他の裁判所に遅れて、teamsによる訴訟手続を進めるようになってきました。

裁判官によれば、もともと進める予定ではあったが、新型コロナウイルス感染拡大が今も続いている状況に鑑み、前倒しで積極的に取り扱いを行なうようになったということのようです。接続テストを行ない、問題が無いことを確認した上で期日を行なうという流れです(これは他の裁判所も同じ)。

もっとも、弁護士によってはまだteamsは未経験であり、従前の電話会議や弁論準備の方が良いという意見を出す方もおられました。

確かにteamsは他のテレビ会議システム(ZOOMなど)と比べても初見ですと取っつきにくい面があるのは事実ですが、せっかく裁判所がITを使うようになってきたということに加え、新型コロナウイルス感染拡大防止のためには少しでも接触の機会を減らすことが重要ですので、弁護士側でも積極的にteamsを利用していくことが望ましいと思います。またteamsは単に電話会議のかわりになるだけではなく、書面共有など紙に頼らない手続進行もやろうと思えばできるシステムですので、弁護士側も活用方法について裁判所に提案していくのが良いのではないかとも考えます。

 

投稿者: 弁護士大窪和久

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